2014年11月07日

【カリスマの科学第2回】カリスマは2秒待つ

問題
 どちらの方がカリスマ上司になりやすい?
 A. 部下の意見を聞かず、自分の決めた目標をひたすら突き進む上司
 B. 部下の意見にじっくりと耳を傾ける上司


世界の名だたるカリスマリーダーには話上手な人がたくさんいます。例えばスティーブ・ジョブズの説得力あるプレゼンテーション、あるいはヒットラーの力強い演説などはすぐに頭に浮かびやすいカリスマ像です。そのため、カリスマには「明確なビジョンを雄弁に語る話し上手」というイメージが強くあります。

 もちろん、明確なビジョンがあることはカリスマリーダーにとって重要です。相手にメッセージを効果的に伝える話術も欠かせません。しかし自分が話す一方で、周りの人の話を聞かない人はカリスマリーダーとしての条件に欠けています。そもそも、そういった人は集団を率いるリーダーになるチャンスすら逃しているかもしれません。
 Alexsander Haslamの研究は、「自分にはリーダーになる素質があるし、周りの人の意見なんて聞く必要はない」と思っている人は、リーダーとして選ばれにくいことを明らかにしました。集団のトップに立つだけの実務能力に優れていたとしても、唯我独尊で、他人の意見に耳を貸さないリーダーには誰もついていこうとは思わないのです。
 


 カリスマ流聞く技術
 では、周囲の人の話を聞くことにはどんな効果があるのでしょうか。他者の意見を真摯に取り入れることでよりよいアイデアが生まれるという実際的なメリットもありますが、それ以上に、相手との心理的距離感を縮め、信頼関係を構築できるという効果があります。
 しかし、組織でのポジションが上になるほど、また能力の高い人ほどこの「聞く技術」が不十分であることが多いように感じます。あなたは人との会話中に、相手が話している途中で割り込んだりしていませんか?これは話している相手に対して「あなたの話には聞く価値がない」「私はあなたを評価していない」というメッセージを発しているようなものです。たとえ相手の話す内容についての質問であっても、まずは相手の顔を見てじっくりと話を聞いてください。そして、話し終わった後で、質問をするようにしましょう。
  そして、聞く技術としてもう一つとても効果のあるテクニックがあります。
 それは、「相手が話し終わって2秒経ってから話しはじめる」です。
 相手の話を最後まで聞き終えても、相手がしゃべり終えたまさにその瞬間に話し始めてしまっては、まるで相手がしゃべり終わるのをまだかまだかと我慢して聞いていたかのように思えます。相手が話し終えてから少し間をおいて話し始めることで、相手は「この人は私の話をしっかり聞いてくれている」と感じ、あなたに対する信頼感もぐっと高まります。
聞き上手になるには日々のトレーニングが大切です。特におしゃべりな人は、人と話すときに「少し普段より静かにしてみる」「あいづちや返答をいつもより少し間をあけてからしてみる」などから試してみてはいかがでしょうか?

問題の答え
 どちらの方がカリスマ上司になりやすい?
答え B. 部下の意見をじっくりと耳を傾ける上司
理由 周囲の話を聞く上司の方が信頼感を得やすいから。


<参考文献>
S.Alexander Haslam & Stephen D.Reicher(2012)In Search of Charisma,Scientific American MIND July/August 2012 p42-47

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2014年10月24日

【カリスマの科学第1回】リーダーにカリスマ性は必要か

問題 あなたはリーダーにカリスマ性は必要だと思いますか?
1.YES  2.NO


 とあるIT企業の「カリスマ」社長は、その圧倒的な存在感で社員たちを魅了し、職場は活気に満ち溢れています。社員たちの仕事に対するモチベーションは高く、業績も好調。そして今春、高齢者向けソーシャルネットワークサービスを新たにリリースしました。このサービスに対する社長の思い入れは強く、広告宣伝費も潤沢に使って全社を挙げて大プッシュしています。しかし、ネット利用がそれほど多くない高齢者にソーシャルネットワークサービスが普及するとはちょっと思えません。社員一丸となっての努力も空しく、このサービスは1年半後に静かに撤退しました。そもそも企画の段階で、このサービスに反対する人はいなかったのでしょうか。

  上記のIT社長(もちろん架空の例です)は、典型的なカリスマリーダーの例であり、カリスマの光と影を表しています。つまり、社員を活気づけ、より高いパフォーマンスを促進する光の部分と、集団をカルト化し、リーダーの方針に疑うことなく従わせてしまう影の部分がカリスマには共存しているのです。
 この影の部分を危惧し、「カリスマ性はリーダーには必要ない」という人もいます。「経営の神様」ドラッカーも「リーダーにカリスマ性はいらない」と著書の中で述べています。

カリスマ性と包丁は同じ?
 しかしそれでもやはり「リーダーにカリスマ性が必要か」と問われれば、その答えは「YES」です。 なぜならばカリスマ性は包丁と同じ「道具」にすぎないからです。包丁はおいしい料理を作るための大切な道具の一つです。カリスマ性も高い業績を達成するために社員のやる気とパフォーマンスを高めるために有効な道具と言えます。
 井田(1998)は、上司のカリスマ性と部下の仕事に対する意欲との関係を調査しました。その結果、ハードだけどやりがいのある仕事を目の前にしたとき、通常の場合部下たちの労働意欲は低下し心理的ストレスは高くなりますが、直属の上司のカリスマ性が高いと、こういった仕事に対する意欲も高まり、心理的ストレスも低くなるということが分かりました。
 このように考えると、やはりリーダーにとってカリスマ性は必須アイテムと言えるでしょう。
 包丁はおいしい料理を作るための素晴らしい道具にもなりますが、使い方を間違えれば人を傷付ける恐ろしい凶器にもなります。でも、「人を傷つけるかもしれないから、包丁の使い方を覚えるのはやめよう」と言う人はいるでしょうか。
 カリスマ性も使い方さえ気をつければ、周りの人の潜在能力を最大限に発揮する機会とやる気を与えてくれる優れた道具となります。
 ぜひ皆さんもカリスマ性という道具を使いこなし、周りの人を輝かせてください。

問題の答え
1.YES リーダーにカリスマ性は必要である。
理由
 カリスマ性のある上司は、部下をやる気にさせ、想像以上のパフォーマンスを可能にするから。


<参考文献>
井田 政則 1998 カリスマ的リーダーシップー共分散構造モデルを用いてー
立正大学文学部論叢108,73A-87A

【お知らせ】
11月15日(土)に「管理職のためのメンタルヘルスセミナー(入門編)」を開催します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

posted by さいころ at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | カリスマの科学

2014年10月17日

管理職のためのメンタルヘルスセミナー(入門編)→申し込み締めきりました!

すみませんが、

以下の件、申し込み締めきりました!!ありがとうございました!!!

 最近、寒くなってきましたねー。かといって厚着をしていると昼間は意外と暖かかったり...寒暖の差が大きいので風邪ぎみの人も多いですね。

 さて、本題ですが、久々に心理学のさいころ主催でセミナーやります!!

題して、

「管理職のためのメンタルヘルスセミナー(入門編)」

です!!

 今回は、産業系をバリバリにやってる臨床心理士の人をお呼びして、管理職やメンタルヘルスに関わる相談事を受けそうな士業の人を対象に行います。もちろん、それ以外の方もご参加できます!

 もし、真面目な部下が会社を突然無断欠勤したら、どう対応すればよいのでしょうか?
 もし、療養中の社員から「少し相談があるから会いたい」と電話があったら、対応で気をつけるべき点は何でしょうか?

 職場におけるうつ病患者の増加などを背景に、企業におけるメンタルヘルス対策が注目を集めています。
 2014年の労働安全衛生法の改正により、従業員50人以上の会社では年1回の従業員のストレスチェックが義務付けられることとなりました。
 これによって、大手企業だけでなく、中小企業においても従業員のメンタルヘルス対策の強化が求められるようになります。

 本セミナーでは、企業でのメンタルヘルス対策業務に詳しい臨床心理士を講師に招いて、企業の管理職および上司が知っておくべきメンタル不調者へのサポートについてお話します。講師は、企業の内部でメンタルヘルスに関わるサポートを日々行っている方です。

 経営者はもちろん、部下を持つ上司がメンタルヘルスに関する正しい知識を持ち対応することは、大切なスタッフが快適に働くためにとても大切なことです。
 よりよい職場づくりに関心のある方はぜひご参加くださいませ。

*今回のセミナーは、初回キャンペーン価格での提供となります。ぜひこの機会をご利用ください。
*受講者の方には、メンタルヘルスに関する小冊子をプレゼントします。セミナー受講の補助資料としてぜひ職場でご利用ください。

【講座内容】(内容は変更になる場合があります)
・メンタルヘルスの4つのケア
・企業者が知っておくべきメンタルヘルスの3つの予防
・不調者を見つけるヒント
・上司として相談を受ける際のポイント
・職場復帰のタイミングと対応

【日時】
11月15日(土)13:30〜16:30

【対象者】
・企業の管理職の方
・企業の人事・労務担当の方
・部下を持つ上司の方
・企業でのメンタルヘルスの相談を受けることがある経営コンサルタント・社会保険労務士など士業の方
・メンタルヘルスに関心のある方

【講師プロフィール】
寺本亮(てらもとりょう)
臨床心理士。愛知淑徳大学大学院修了。
大学院修了後、メンタルクリニックや企業などにおいて心理職に従事。
 10年以上にわたって、大手製造業・公務員などで職場におけるメンタルヘルス対応に携わっています。


【場所】
名古屋市北生涯学習センター(黒川駅徒歩1分)
http://www.city.nagoya.jp/kyoiku/page/0000051936.html

【定員】
20人

【金額】
2,000円

【持ち物】
・ワークがありますので、筆記用具をご持参ください。

【お申込み方法】
以下のどちらかの方法でお申込みください。
1.facebookでのお申込み→以下にアクセスして参加ボタンを押してください。
管理職のためのメンタルヘルスセミナー(入門編)イベントページ

2.メールでのお申込み
件名を「メンタルヘルスセミナー申し込み」とし、本文にお名前、会社名をご記入の上、下記メールアドレスまでご連絡ください。折り返し、申し込み完了のメールをお送りいたします。
info@saikoro-japan.com


【主催】
心理学のさいころ
担当:山崎 有紀子
 
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2014年06月02日

セミナー「値づけの心理学」開催のお知らせ

 こんにちは、山崎です。今日も暑いですね!

 さてさて、今日は久しぶりにセミナーのお知らせです。
 7月12日(土)に中小企業診断士でアラタコンサルティング代表の末平新さんと共催で「値づけの心理学」というセミナーを開催します。
 マーケティングではなく、心理学から『価格』にメスを入れます。本セミナーは『価格』について顧客心理・事業者心理の両面を専門家が科学的に分析しわかりやすく解説します。

 このセミナーは昨年末から打ち合わせを重ね、温めてきた内容です。
また、末平さん単独で行った本セミナーは一宮商工会議所での開催をスタートにして、好評につき大府商工会議所、そして長浜商工会議所でも開催するに至りました。今回は、さらに専門的かつ実践的な内容を付け加え、パワーアップしました。
 ぜひ、楽しみながら「値づけの心理学」を学び、皆さまのビジネスにお役立てください。

■セミナーの特徴
□クイズとディスカッションによって、一緒に値づけについて考えていこうというセミナーです。もちろん「ディスカッションは苦手だけど値付けについては興味がある!」という方もぜひご参加ください!
□価格はマーケティングの観点から語られることが多いテーマですが、本セミナーでは心理学の観点から、一緒に消費者の根底にあるものを考え、皆さんのビジネスに貢献することを目指しています。


■対象
□経営者、個人事業主、もしくは価格についての知識を深めたい人
□値上げをしたいが、どうすれば良いか分からない経営者。
□値決めを検討中であるが、基準となるものがなく困っている経営者。


■概要
□受付開始 13:00〜13:30

□第一部 13:30〜14:00
●お題 :「値づけが企業の業績に与えるインパクト」
        〜 自社のビジネスモデルを再考する 〜
●講師 :末平 新
●内容 :「値決めこそ経営」と言われるほど重要な”値決め=価格”。
私たちは価格の可能性についてあまりにも無関心なのかもしれません!?
 価格が、値決めが、値づけが企業の業績に与えるインパクトについて語ります。

□第二部 14:05〜15:20
●お題 :「クイズ『値づけの心理学』 〜『価格』について考えてみよう!〜」
●ファシリテーター:末平 新
●専門家:山崎真司、山崎有紀子
●内容 :事例に基づき、皆さんにクイズを出します。
例えば、
・1200円のケーキセット、お得感を出す魔法は?
・普通は3万円から5万円のビリヤードの道具、どうして150万円のものが売ってるの?
・競合他社との値段比較表は効果があるの?

□第三部 15:30〜16:10
●お題 :「生討論『参加型値づけの討論会』 〜値づけの可能性〜」
●ファシリテーター:末平 新
●専門家:山崎真司、山崎有紀子
●内容 :皆さんの疑問にその場でお答えします。
・良い商品なのに、価格だけの勝負になってしまうのはどうして?
・不況でも値上げして続けているあのお店は、どうして値上げし続けられるの?
※時間の許す限り皆さんの疑問にお答えします!!

□最後に 16:20〜16:30
●皆様へのお知らせ
●写真撮影


■講師陣
□末平新(アラタ・コンサルティング)
創業支援から事業再生まで企業の成長段階に応じた革新的な支援をしている中小企業診断士。普段はV字回復コンサルタントと名乗っています。
▼詳細はこちらから
http://www.arata-web.jp/
https://www.facebook.com/ArataSuehira

□山崎真司(心理学のさいころ)
主にビジネス向け心理学担当。現在、ビリヤード専門雑誌「CUES」にて「ビリヤードの心理学」連載中。

□山崎有紀子(心理学のさいころ)
主に心理系大学院受験対策塾の運営を中心に、一般向け心理学講座の講師としても活動中。  


■日時
□2014年7月12日(土曜日) 13:30〜16:30(開場は13:00より)


■場所
□ウィンクあいち 12F 1209会議室

■定員: 30名

■会費: 3,000円(当日受付でお支払ください)

■お申し込み方法
以下の2つの方法でお申し込みできます。
1.facebookからの申し込み
下記イベントページよりお申込みください。

https://www.facebook.com/events/245262682329569/245719238950580/?notif_t=event_mall_reply

2.メールでお申し込み
件名を「7月12日価格の心理学申し込み」とし、
本文にお名前、お申し込み人数、連絡先メールアドレスをご記入の上、
下記メールアドレスまでご送信ください。
info☆saikoro-japan.com (☆を@に変えてください)

メールでお申し込みの場合は、数日以内に折り返し申し込み完了メールをお送りいたします。2,3日経ってもメールが来ない場合は、恐れ入りますが確認のためメールを再度ご送信くださいませ。

よろしくお願いします!


posted by さいころ at 13:36| Comment(0) | TrackBack(0) | セミナー・イベント

2014年05月19日

運動する気になる: すぐに出来る簡単なメンタルトリックがここにあります。

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運動習慣に関する自伝的記憶を活性化する効果の最初の研究です。


新しい研究によると、たとえそれほど楽しくなかった記憶でも、最後に運動した時のことを考えることでもういちど運動したくなります。

ニューハンプシャー大学のBiondolilloら、2014年の研究で、ある参加者には運動に関する良い記憶を、もう一方には嫌な記憶を思い出してもらいました。


この研究では、記憶に関して何も指示を受けなかった人たちとの比較して、運動に関する良い記憶を考えた人は、あとでより運動をすることが分かりました。

一方、運動に関する嫌な記憶を思い出した人でも、あとでより運動をすることが分かりました。


この結果は、参加者の運動に関する満足度、以前の運動へのモチベーションやレベルも考慮に入れたものです。


この研究者は、以下のように説明しています。

参加者は個人的なモチベーションの記憶を記述する指示を受けただけで、この指示は広範な調査の中に埋め込まれたものです。

また、参加者は、運動活動を増やすためにモチベーションとして、日常生活での記憶の使い方については問われたのではありません。

明確な指示や励ましがないのに、私達の研究の参加者の大学生は、大きな公共の大学という多くの邪魔がある中で、日常レベルでの運動活動の増加を報告しました。

これらの結果は、自伝的記憶の活性化が個人が健康的なライフスタイルを選ぶようにさせるための有効なツールになることを示す最初の実験的な証拠を示しています。



記憶の干渉の穏やかな特性を考慮すると、これらの結果は驚くべきものです。

ほんの少しだけメンタルトリックを使うことで、どんなことが可能になるか想像してみましょう。


この記事はPSYBlogの"Get Motivated to Exercise: Here’s a Simple Mental Trick You Can Do Right Now"を翻訳したものです。

写真はFlickrのOliverさんの写真を使用しました。


(翻訳: やまざきしんじ)

2014年04月28日

交渉上手になるために必要な3つのこと

日常生活において、私たちは様々な交渉状況に直面しています。
 例えば、ビジネスにおいて自社の商品の商談をしているとき、あるいは、同僚に仕事を手伝ってほしいとき、あるいは、休日どこに出かけるか家族の間で一致しないとき…そんなときも交渉スキルが必要になるでしょう。

 『Negotiation:Theory and Strategy』の著者でもあるカリフォルニア大学教授のRussell Korobkinは「交渉における原理はその規模に関係ない」と言います。

 では、交渉上手になるための原理とは何でしょうか?

 Scientific American:Mindの7月号に掲載された記事をベースに、研究で効果があると実証的に証明されている交渉の原理を3つご紹介します。
 

1.フェアであれ
Korobkinによると、交渉上手な人は、常に自分の提案が誰にとってもフェアであることを示すそうです。
フェアであるということは、それぞれの状況に見合う扱いを適正に受けていることを意味します。
例えば、商品価格100円のパンをある人には120円で売り、ある人には80円で売るという状況はフェアでありません。
しかし、賞味期限まで2週間のパンと今日が賞味期限のパンを同じ100円で売るのは、これまたフェアではないでしょう。この場合は、賞味期限ギリギリのパンを買う人には、値引きをして80円で売るのがフェアであるようです。
どのような対応がフェアであるかは突き詰めて考えるとなかなか難しい問題ではありますが、要は相手に「自分はただ利用されているだけだ」「えこひいきしている!」と思わせるような対応をしないことが交渉において重要であるということですね。

2.自信満々のポーズをとる(事前に、こっそりと)
ハーバードビジネススクールの社会心理学者エイミー・カディは、姿勢やポーズがメンタル面に及ぼす影響力を研究しています。
彼女が行った興味深い実験では、圧迫面接を受ける前に、控え室で両手を腰に当てた自信満々のポーズを取ったグループと、体を丸めて自信のないポーズを取ったグループでは、その後の面接で、前者(自信満々のポーズ)の方が面接場面で説得力あると面接官から評価されることを明らかにしました(もちろん面接状況では両グループとも普通の姿勢をしています)。自信満々のポーズはやる気や自信のホルモンであるテストステロンの分泌を高め、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減少させる効果があります。
ですので、大切な面接や交渉の前には、トイレの中などで数分間自信満々のポーズをしてから、面接や交渉に望むと普段よりもさらに自信に満ちた交渉ができるはずです。

 なお、上記エイミー・カディの研究に関してはTEDで見ることができます。非常に感動的で素晴らしいスピーチですので、ぜひ見てください(ちなみに美人です)。



3.目標は高く
話をどこからスタートさせるかは、話がどこに着地するかに大きく影響します。
上司との給料交渉の状況において、同じ能力で同じ給料をもらっている人でも、給料の5%アップを交渉する人と、給料の20%アップを交渉する人では、最終的に決定する給料はきっと後者の給料20%アップを求めた人の方が高くなるでしょう。
これは1970年代に心理学者のトバースキーとカーネマンによって明らかにされたアンカリング効果によるものです。
アンカリング効果とは、最初に示された数値や情報が基準点(アンカー)となり、その後の判断に影響を及ぼす傾向のことを指します。
先ほどの給料アップの例に戻ると、5%の給料アップを交渉した場合、せいぜいよくて給料5%アップで交渉終結しそうですが、20%アップを望んだ場合、20%は無理でもそこが起点となって給料を決定しようとする心理的メカニズムが働き、「んー、じゃあ20%は無理だけど10%アップとするか」という結論になる可能性があります。
ですので、交渉状況では「とりあえず大きい目標を言っておく」がいいようです。
ただし、その場合も、非現実的なまでに高い目標では効果がなく、「現実的かつ高い」目標を設定することが重要ですので、この点をお忘れなく…。

(文章:山崎 有紀子)


2014年02月18日

ストーリーテリングが共感を呼ぶ

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ストーリーについて、2つの神経的なメカニクスを説明しましょう。


ストーリーテリング(物語の技術)は、私達の脳と行動にすごい影響を与えます。

Paul Zakは一連の研究で、父子の悲しいストーリーを観た時に、2つの興味深い神経化学物質が生成されることが分かりました。
1.悲しみを感じ、ストーリーに注意を向けさせるコルチゾール
2.つながりや共感を促進し、共感を起こさせるオキシトシン


また、ストーリーを観た後で、もっともオキシトシンが生成された人は、会えない人に金を一番あげようとしました。

Zakら、2007によると、オキシトシンは人を、より寛大にするようです。


このビデオは、研究を説明し、そして、150年に渡るストーリーテリングの理論と研究をつなげています。


クライマックスや大団円といった鍵となる要素がないストーリーは、脳を引きつけません。実際、人はそれを無視します。


オキシトシンは、単により寛大にするだけでなく、それほど気高くない目的に関係しています。

Zakによると、オキシトシンは、広告を受け入れるかどうかを説明することもできます。

ある研究では、微量のオキシトシンを吸引した被験者は、公共広告を見た後で、より寄付をすることが分かりました。


Zakは、こう語っています。

この結果は、どうして子犬と赤ちゃんがトイレットペーパーのコマーシャルに出てくるのかを説明します。この研究は、広告する側が、イメージを使って私達の脳にオキシトシンを放出させ、商品やブランドを信頼させ、販売を増やそうとしているのです。


この記事はPSYBlogの"The Psychology of Storytelling and Empathy, Animated"を翻訳したものです。


(翻訳: やまざきしんじ)

2014年01月24日

プロプレイヤーのモチベーションの源泉は?



 野球やバスケットボールの有名選手は複数年契約で巨額の年俸を受け取っています。単年度契約に比べて複数年契約は、選手の側から見るとリスクに強いため魅力的に見えます。
 でも、単年度契約の方が、毎年頑張ったりしないのでしょうか?複数年契約だと、契約更新のシーズンだけいつも以上に頑張るなんてことがありそうです。
 これは、「契約効果」(contract effect)というものです。

 ミズーリ大学のKen Sheldon教授と、学部生Mark Whiteは、これを全米プロバスケットボール(NBA)と野球のメジャーリーグ(MLB)のプロ選手230人の10年以上の成績から調査しました。 
 このデータから金銭的な影響が大きい契約更新するシーズンと、その影響の少ない契約更新した直後のシーズンの成績を比べたのです。

 すると契約更新のシーズンは、いつもよりも成績が上がっていることが分かりました。
 さらに予想されるように、シーズン中に契約更新のサインをすると、成績はいつも通りに落ちていました

 契約更新の前に選手の成績が上がるというのは当たり前の結果とも思えます。でも、心理学では内発的動機づけという言葉があります。報酬や頼まれたから行うよりも、自らの意思で行う方がモチベーションが高いというものです。
 
 ビジネス書などでは、「トム・ソーヤのペンキ塗りの話」もよく引用されます。 
 これは、トム・ソーヤがいたずらの罰としてペンキ塗りを命令されてやっている時に、友達が近くを通りかかります。トムはこの時にとても楽しそうにペンキ塗りをすることで、友達が是非ともペンキを塗ってみたいと思わせるのです。
 結局、トムは、友達の「宝物」と交換でペンキ塗りをさせてあげるのです。

 一流プレイヤー達は、トムの友人がペンキ塗りを喜んでやるように自発的に行うのだとしたら、むしろ契約更新直後の方が成績がいいはずです。金銭的な心配もないし、好きな(はずの)野球やバスケットボールに打ち込めるのです。
 しかし、実際には外発的動機づけが大きかったようですよね。
 
 この研究は、一流選手のモチベーションの源泉としての、外発的動機づけ(この場合はお金)の影響の大きさを明らかにしたものです。
 何百万人のプレイヤーの頂点に立つその分野のトップのバスケットボールや野球の選手の結果ですが、これはビジネスマンにも応用できそうな知識ですよね。


 この記事はミズーリ大学の"Athletes’ Performance Declines Following Contract Years, MU Researchers Show"を参考に書きました。

文中の写真はflickrのPaolo Rosaさんのものを使用しております。


(文:やまざきしんじ)

2013年11月15日

一人で学ぶ?みんなで学ぶ?

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高いスキルを有した人材になるためのコツにはどういったものがあるでしょうか?
高いスキルを持つには、高いスキルを持った人の近くにいることが大きな鍵です。では、そのためにはどうしますか?

カナダのブリティッシュコロンビア大学のMichael Muthukrishnaは、コミュニティのサイズと技術の伝承の関係を調査しました。これはそれぞれ100人の被験者を対象に、デジタル写真編集と、紐を縛るという2つの技術を、次のグループに伝えるという実験を10回やります。そこから、この技術の伝承の伝言ゲームがどのくらいうまくいくかを調べるというものです。

この時、技術の伝承については1人の師匠が1人の弟子に教えるという方法(昔ながらの職人モデル)と、5人のグループの師匠が5人のグループの弟子に教えるという方法(グループ指導モデル)の2つの指導方法で、それぞれ技術の伝承の精度がどうなるのかを調べました。

このうち、デジタル写真編集についてのグラフを論文より見てみましょう。下のグラフで、横軸は技術を伝承していく世代、縦軸は画像処理のスキルレベルです。赤い線は5人のグループで技術を伝承した場合、青い線は1人で技術を伝承した場合です。

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これを見て明らかなように、1人で技術を伝承するとレベルはどんどんと落ちていきますが、5人のグループで技術を伝承するとレベルはどんどんと上がっていきます。対象となるスキルや、伝承にかける時間によっても変わるでしょうが、1人よりも5人の方が世代を経た場合にスキルの向上に役立つのは間違いないでしょう。


この知見は、これから増えていくだろう学校での学習や独習について、また仕事などで使用する様々な技能についても応用できそうです。つまり、一人が一人に教えるモデルでなく、学ぶために複数の人が集まる場が大事ということを示唆しているのではないでしょうか?

高いスキルを要求される人たちは、似たものが集まる場にでかけてみてはいかがですか?
また、物事を学ぶ時には人と一緒に行うと効率的に学習できそうですよね。


経営学者のマイケル・ポーターは産業クラスタということを述べていますが、まず、これを思い出しました。分かりやすい例がシリコン・バレーでしょうか。シリコン・バレー近辺にはハイテク企業が多く、そういった人材もハイテク企業を起業するために必要なものも揃っています。また、愛知県には自動車産業があるため、自動車メーカーだけでなく、その部品に必要な金属、合成ゴム、プラスチックなどのメーカーや各種機械メーカーが揃っています。




また、リチャード・フロリダはクリエイティブクラスという言葉を流行らせました。クリエイティブクラスが住むところは、外部に開放的で人口が多く文化的なものが多いということです。歴史的に見ても、一定以上の人口がいるところは、それだけで文明が発達するキーになりやすいです。東京は長らく世界最大の都市でしたが、現在も文化的許容度が高い良い都市ですよね。




この記事はブリティッシュコロンビア大学の”Social networks make us smarter”を参考に書きました。

元の論文はこちら。文中のグラフもこちらを使用しております。

写真はflickrのjiscinfonetさんのものを使用しました。


(文: やまざきしんじ)

2013年11月05日

失敗の後に、楽観さを取り戻す簡単な方法

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ケルン大学のKai Kasparらは、手を洗うことで楽観さが増すことを示しました。この実験は、1回目に困難なタスクをします。その後にもう一度タスクを行うと、一度手を洗ったグループは高いパフォーマンスを示すのに対して、手を洗わないグループはパフォーマンスが悪くなります。これはどうやら手を洗うことで、楽観さを回復しているようです。

以前も”気持ちをリセットする簡単な方法”という記事で、手を洗うことで気持ちがリセットされるという記事を書きましたが、今回も同じような結果を得ています。仕事で上手くいかないことがあったら、是非一度手を洗いにいってください!


この記事はケルン大学の”Washing your Hands makes you optimistic”を参考に書きました。

この写真はflickrのcafemamaさんの写真を使用しています。

(文: やまざきしんじ)
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