2013年01月21日

ダニング・クルーガー効果

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ダニング・クルーガー効果(Dunnig Kruger effect)というのは、能力がない人が自分の能力を把握できないというものです。

「自分の無能さを、把握できないほどに無能」

という書き方をすると皮肉すぎですが、「人は自分が得意でない分野では自分の能力を見誤る」と言うならば納得できるのではないでしょうか。


例えば数学の能力が低い人になればなるほど、自分の数学の能力は実際よりもより高いと判断します。基本的に人は自分の能力を過信しているのに加えて、数学の能力が低い人ほど、自分の数学の能力が低いとは思いません。

これは数学だけでなく、他の様々な分野で同じことがあります。実際に自分のことを思い返してみても、本当に苦手な分野はテストでの成績が平均よりも上なのか下なのかもよく分からなかったりしました。


このダニング・クルーガー効果は2000年のイグ・ノーベル賞を受賞しています。たしかに、賢い人ほど自分を賢いと思わず、そうでない人ほど賢いと思うというのは面白いことですよね。そういえば、「パソコン詳しい」、「数学詳しい」と自分で思っている人(言っている人)はたいして詳しくないという法則もありますね。


このダニング・クルーガー効果から言えることは、「自分の苦手な分野では、かなり自分は本来より過信してるぞ」ということです。これをいつも心に命じておきましょう。


ちなみに、以前さいころニュースでも、このDunningとKrugerが行った”8割の学生は自分の実力を過大評価”という研究を紹介したこともあります。

(文・絵: やまざきしんじ)

2013年01月15日

きちんと検証された2つの効率的な勉強法

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勉強をするポイントはなんでしょうか?生まれつきの知能も大事かもしれませんが、むしろ勉強するためのテクニックが大事ということが言われています。

ケント州立大学John Dunloskyらは、よく使われている学習テクニックがどのくらい有効なのかを調べました。この研究によると、予備テストというような何度もテストをすることと、一つの内容を何回かに分けて勉強することがやはり有効ということがわかりました。

以前、”学習におけるひとつの冴えたやりかた”というタイトルで、暗記には覚えるよりも、思い出す練習をすることがいいということを書きましたが、やっぱりテストを何度もして”思い出す”練習をすることが有効ということです。


一方で、要約する、教科書やノートに線を引く、キーワードを記憶する、イメージ記憶、何度も読む、といったことは効果があまりなかったり、限定的だったりすることが分かりました。たしかに、教科書に線をいっぱい引いている人はあんまり勉強できなさそうで、実際に勉強できる人は問題集を解いてますよね。

勉強法は工夫すれば上達していきますが、そうはいっても自分一人の経験では、本当に有効かどうかなかなかわかりません。こういった研究があると、たった一人の経験でなく、正しいことがわかりますね。

この記事は以下を参考に書きました。
J. Dunloskyら, 2013, "Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques: Promising Directions From Cognitive and Educational Psychology. ", Psychological Science in the Public Interest, 2013; 14 (1): 4 DOI: 10.1177/1529100612453266

(文・絵: やまざきしんじ)

2013年01月11日

その3秒が命取り?

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仕事を効率的に行うためには、邪魔をされないことが大事です。これはよく言われていますよね。会社ではメールを決めた時間以外は読まないという自分ルールを決めている人もいるかもしれません。

ミシガン州立大学のErik Altmannらが仕事の妨害と集中力に関して300人を対象として研究をしました。この研究では、ちょっとした邪魔がミスを2倍にすることを明らかにしました。タスクの途中で、稀に2文字の入力をするように言われると、その後のミスの確率が2倍になります。

これは、ほんの僅か(平均2.8秒)だけ邪魔が入っても、その後のミスが増えることを示しています。もちろんずっとミス率が上がり続けるわけではありません。しかし、仕事中に、ちょっと窓の外を見る、メールをチェックする、同僚の話に相槌を打つ、ほんのわずかなことがミスを誘発するんですね。注意しないと...


この記事はミネソタ州立大学の"BRIEF INTERRUPTIONS SPAWN ERRORS"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)

2013年01月10日

退屈なルーチンワークの日には何をするべきか

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仕事で退屈するというのはダメそうな感じがします。厳しい納期や、営業の締め日の後にダラダラ過ごす一日も格別かもしれませんが、それは単なる休息ですよね。

でも、そんな退屈な一日を上手く使うヒミツがあるようです。

イギリスのセントラルランカシャー大学のSandi Mannらは、80人を対象に新しいペアのプラスチックのコップを考えてもらうという創造性の実験をしました。

この時、半分の40人には、最初に電話帳の電話番号を書き出すという作業を15分してもらって、それからコップを考えてもらいました。別の40人は、いきなりコップを考えてもらいました。すると、最初に単調な作業をした人たちの方がより創造的な発想をすることができました。


次に60人を対象に別の実験をしました、今度は30人は電話帳の電話番号を書きだしてもらって、別の30人には電話帳の電話番号をただ読んでもらいました。すると、今度は単に電話番号を読んだだけの人の方がより創造的でした。

つまり、電話番号を読んだだけの人>電話番号を書きだした人>いきなりコップについて考える人、という順で創造的だったということですね。


退屈な作業の日には、合間に創造的なタスクを入れる。創造性を必要とするような作業の前には、やらなきゃいけなかったけど放置してた面倒な領収書の整理をちょっとやる、なんてことがいいかもしれませんね。


この記事はThe British Psychological Societyの"Boredom at work can make us more creative"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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2013年01月09日

ダッチオークションでスリル満点化?

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皆さんは、ダッチオークションというのを知っていますか?

私は知らなかったのですが、最初は高い金額ではじめて、そこから入札がないとどんどんと値段を下げていくというオークションの方法です。

例えばパソコンを売るときに、10万円で買う人いない?、じゃあ9万円なら?、じゃあ8万円なら?、とどんどんと値段を下げていきます。買い手は、その値段なら買っていい、という時に入札をします。


ドイツのカールスルーエ工科大学のMarc Adamらは、このダッチオーションでの参加者の興奮状態について心拍数や皮膚電位などで調べました。

この研究によると、ダッチオークションは金額がどんどん下がっていくもののためか、参加者は興奮することが分かりました。また、ある程度興奮した参加者は、そこから自分の入札を遅らせることで、さらにスリルを味わい興奮をします。

逆に、そこで入札をしてしまい落札してしまうと興奮はそれほどしません。よくあるパターンかもしれませんが、むしろ買わないで、ギリギリまでねばってる方がスリルが味わえるんですね。


買わないほうが興奮するというのがなかなか皮肉な結果ではありますが、スリルを味わえるという点で居酒屋さんなどでイベントっぽくダッチオークションを組み合わせると面白いかもしれません。落札者以外の人がスリルを味わえるという点で体験型のイベントにピッタリですね。


この記事は以下を参考に書きました。
Karlsruhe Institute of Technology. "Time pressure enhances thrill of auctions." ScienceDaily, 3 Jan. 2013. Web. 9 Jan. 2013.

(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2013年01月07日

ダイエットの失敗理由トップ4

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新年を迎えて、様々な目標を立てている方がいますね。よくある目標としては、ランニング、英語の勉強、ダイエット、読書などでしょうか?昨年と全く同じ目標を立てた方もいるかもしれませんね。

ロヨラ大学の栄養と体重管理の専門家Jessica Bartfieldによると、20%の人だけがダイエットに成功するそうです。それでは、ダイエットのポイントはどういうものでしょうか?ダイエットのコツは”新年の決意”や”ガッツ”でなく、”技術”です。


それでは、ダイエットの技術を高めるために、Bartfieldが挙げたダイエットで失敗する理由のトップ4を見て行きましょう。

1.食べるもののカロリーの過小評価
専門家も含め多くの人は、自分の食べるカロリーを過小評価します。計量カップとスプーンできちんと測ってみると、意外と多いことに気づきます。

2.消費するカロリーの過大評価
1週間あたり1キロの体重を減らすためには、1日あたり1100kcalを削減する必要があります。これを運動で行うためには、毎日120分以上の活動が必要です。
毎日30分だけ、軽運動の時間を増やすようにするのが現実的で、毎日1万歩歩くことを目指しましょう。しかし、このことは食べることを正当化できませんので注意しましょう。

3.食事のタイミングが悪い
最適な食事タイミングは、起きて1時間以内に朝食を食べて、3,4時間ごとに健康的な食べ物を食べてください。また、新陳代謝を安定させるために、5時間ごとには何かを食べましょう。

4.睡眠時間が短い
睡眠時間が6時間未満だと、グレリンという食欲を刺激するホルモンが高くなるという研究があります。さらに、睡眠時間が少ないと、ストレスを増すコルチゾールのレベルが上がってしまいます。


これは具体的なダイエットの方法ではないかもしれませんが、この4つの理由には思い当たる人が多いのではないでしょうか?


この記事は以下を参考に書きました。
Loyola University Health System. "Top four reasons why diets fail." ScienceDaily, 3 Jan. 2013. Web. 7 Jan. 2013.

(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 13:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2013年01月02日

肌の露出と、リアル・バーチャル

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。昨年は、後半から更新頻度を少し下げていましたが、今年はもう少しペースをあげていく予定ですのでよろしくお願いいたします。

さて、今年一回目の記事は、少しマニアックなカナダのラヴァル大学のAnna Lomanowskaらによるセカンドライフのパブリックスペースにいる404人のアバター(男性192人、女性212人)を対象とした肌の露出に関する研究についてです。

この調査によると、男性キャラクターは大半が71%が少し(0-25%)しか肌を露出していないのに対して、女性キャラクターは肌を多く(51-75%)露出していることが最も多かったです。ちなみに、この露出量は現実世界と違って、ウェストとバストの比率などのセクシーかどうかといった数値とは無関係でした。

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サイバースペースの服装については、(リアルな)本人の体型に関わらず好きな服を着ることができ、住んでいるエリアの気候なども考慮する必要がありません。このことによって、本人の服装へのより本当の趣味が出るとも考えられます。またリアルとバーチャルの性向の違いといった研究はこれからもどんどんと増えていきそうですね。


この記事は以下の論文を参考にしました。
Anna Lomanowskaら, 2012, "Virtually Naked: Virtual Environment Reveals Sex-Dependent Nature of Skin Disclosure", PLoS ONE, 2012; 7 (12): e51921 DOI: 10.1371/journal.pone.0051921


(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 恋愛・男女関係