2013年06月21日

肥満の原因は食べ過ぎ、運動不足、どっちだと思いますか?

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皆さんは、肥満の原因はなんだと思いますか?


ほとんどの人は肥満の原因は食べ過ぎか、運動不足かと考えているのではないでしょうか。もちろん、仕事のストレスや遺伝なども要因としては考えられますね。

肥満の原因が、食べ過ぎなのか、それとも運動不足にあるのか、どちらを信じているかによって、体重が変わってくるという研究がミシガン大学ロスビジネススクールのBrent McFerranと香港科学技術大学のAnirban Mukhopadhyayによって最近行われました。

この研究は計5カ国で行われたものです。まず、韓国、アメリカ、フランスの3カ国を対象とした研究では、食事が肥満の原因と考えていた人の方が、よりBMIが低かったことが分かりました。これはありそうなことですよね。

そして、カナダでの研究では、運動不足が肥満の原因と考えている人は、よりチョコレートをたくさん食べていることが分かりました。これによってBMIの原因は、やはり食事量にありそうだということが分かりました。

最後に、香港の研究では、運動不足が肥満の原因とプライミング(暗示)された人は、食べ過ぎが肥満の原因とプライミング(暗示)された人よりも、より多くのチョコレートを食べてしまうことが分かりました。


この研究では、肥満の原因が食べ過ぎよりも、運動不足と考えている人はより食べてしまうということですよね。私は、食べる量も大事だけど、意外と運動が大きな要因と考えていたのですが、BMIという観点から見ると、危険な考えだったみたいですね。


この記事はAssociation for Psychological Scicenceの"Beliefs About Causes of Obesity May Impact Weight, Eating Behavio"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2013年06月13日

確証バイアス なぜ、あなたは考えを変えられないのか?

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人は、自分の世界観を確認する情報を探し、それに合わないものを無視します。

不確実な世の中で、人は正しいことを好みます。この正しいことは、物事を理解しやすくしてくれます。実際に、心理学者によっては、それは基本的な衝動であると考えています。

物事が正しいことを望むために、自分が正しいという確信を得るための証拠を探します。それは、しばしば憂鬱だったり、滑稽な結果になってしまいます。

・無能な人を雇ってしまった人は、その人がちゃんと仕事を期日までにしている印象だけ持っていて、他のメンバーがその無能な人を手伝ってあげていることに気づかない。
・自分のチームが最高だと信じているスポーツのファンは、勝った試合だけを覚えていて、格下のチーム相手の不愉快な負けを全く覚えていない。
・田舎暮らしを好きな人は、新しい仕事のために都市に来ると、交通の不便さや迷惑な隣人などは忘れてしまい、農場の市場や庭木の手入れがどれほど楽しいかを話します。

これらのことは、普通は気づかれることなく自動的に行われます。これは、新しいイメージをするよりも、前からあるジグソーパズルのようなイメージにピースをはめ込む方が簡単なことに少し似ています。こういったことは、自分が正確で、正しく考えていて、首尾一貫しており、自分は物事をちゃんとわきまえているという考えの助けになります。

心理学者は、このことを確証バイアスと呼んでいます。これは、私たちの生活の様々な領域に影響を与えています。いくつか例を挙げてみましょう。

1.セルフイメージ
「おぉ。綺麗ですねぇ。髪の毛に何かしてるんですか?」

誰が褒め言葉を嫌いでしょう?誰もいません。それがたとえ心からのものでなくても、私はその褒め言葉を受けとります。でも、こういうのはどうでしょうか?

「おぉ、あなたは本当にスライムみたいですよね、知ってました?」

侮辱を好きな人はいるでしょうか?たしかに、侮辱は好きではないです。でも、信じようが信じまいが、時々、人は自分で侮辱を探しだそうとするのです。

Swannら1989の研究では、スライムほどでないものの、のろまだったり、鈍かったり、それほど運動が得意ではないといった悪いものでも、自分の自己イメージを確認しようとするのです。


これは自己嫌悪の一種ではありません。この研究では、高い自尊心を持つ人でさえ、自分のネガティブな自己像を確認しようとすることを明らかにしました。

つまり、私たちは、たとえ自己像が悪くなっても、正しくありたいと思っているのです。


2.金融
Parkら,2010の研究では、オンライン株取引投資家が、期待している株に関する情報をどのくらい集めているかを検討しました。


調査では、確証バイアスが大きいことを見つけました。投資家は、ほぼ特定の株についての自分の直感が正しいと確認する情報だけを集めていました。強い確証バイアスを持つ人々は、もっとも過信をしていて、その結果もっとも投資の成果が出ていませんでした。

つまり、私たちは、お金を失っても、正しくありたいと思っているのです。


3.政治
人々は、政治においても、いつも見たいものを見ます。

嫌味の最も分かりやすい例は風刺です。風刺では、しばしば当てこすりをします。テレビタレントのステファン・コルバートがしばしば言うように、論点について自分の考えていることとは反対のことを言うのです。(「ジョーク」と呼ばれてるヤツですね!)

LaMarre,2009の研究によると、コルバートの嫌味に同意しない人は、彼が嫌味を言っているとは思わず、本当にそう思っていると解釈していました。


素晴らしいことに、リベラルも保守も同様に自分が見たいことを見て、自分の観点を確認するのです。

つまり、私たちは、ジョークかどうかよりも、正しくありたいと思っているのです。


それはバイアスのせいだ
何年もの間、確証バイアスは、様々な間違った信念に関して非難されています。ここに少しだけ挙げてみましょう。

・他の国や人種について自分の偏見に合致する情報にだけ気づくため、人は偏見を持っています。
・人は、UFOやケネディ暗殺、占星術やピラミッドや月面着陸の嘘など、様々な奇妙なことを信じています。これも、自分の信念を修正するのでなく、補強する情報だけを見ているからです。
・19世紀初頭、医者は様々な病気を血を抜くことで対応していました。死んだ患者は無視して、よくなった患者を見て、その治療法を判断していました。実際に、多くの軽度の患者は、何もせずともよくなるのです。


バイアスと戦え
確証バイアスと戦う方法は、言うのは簡単ですが、実践するのは難しいものです。

反対の説についてもよく考えて、それをテストしなければいけません。簡単そうに聞こえますが、これは私たちの直感に反しています。そして、自分が間違って考えていたり、間違った情報を持ってると想定することは楽しいことではありません。それには努力が必要です。

自分の政治の信念を変えるような本を読んだり、好きな映画の批判や、どのくらいの人が違った生活を選んでいるのかを受け入れることは、不愉快なことです。

確証バイアスと戦う方法の一つは、もう少しオープンになろうと努力することです。もっと疑いと持つことはできるのでしょうか?私たちは、真実に気づいて、本当にすごい偉業を達成できるのでしょうか?

つまり、自分の考えを変えることを。


この記事はPSYBLOGの"The Confirmation Bias: Why It’s Hard to Change Your Mind"を翻訳したものです。


(翻訳・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 発想法・問題解決