2013年08月28日

フェイスブック?それともツイッター?年齢と自己愛はソーシャルメディアの選択に影響する

フェイスブックは鏡、ツイッターはメガホン

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この写真はHelga Weberさんの写真を使用しております。

フェイスブックとツイッターについての研究は、自己愛とソーシャルメディアの使い方の関連を明らかにした(Panek et al., 2013)。

ミシガン大学で行われたこの研究によると、フェイスブックの使い方は鏡のようなものであり、その人のパーソナリティを反映している。一方、ツイッターはメガホンのような役割だ。つまり自分の意見を広く伝えるために使われているのだ。

この結論に至るために、Panekと共同研究者たちは2つの研究を行った。第1研究では、大学生にソーシャルメディアの利用の仕方をたずね、その後パーソナリティ検査を行った。この若者集団においては、ナルシストは自分の意見を人に伝えるためにツイッターを使う方を好んだ。

この研究の主任研究員であるElliot Panekはこの結果を以下のように説明する。

「若者たちは、自分の意見の重要性を過大評価している。ツイッターを通して、自分の仲間関係を広げ、そして様々なテーマに関する自分の意見を伝えようとしているのだ。」

第2研究では、平均年齢35歳の対象者に対して、ソーシャルメディア利用について質問した。この調査の結果、大学生よりもわずかに年上のナルシストはフェイスブックを好むことが示された。

Panekは、この年齢集団に関する結果を以下のように説明する。

「彼らの使い方は、自分の自己イメージを喧伝し、その自己イメージに人がどんな反応をするかチェックするというものだ。中年の場合はすでに自分の社会的自己を形成しているので、すでに自分の仲間である人たちからの承認を得るためにソーシャルメディアを使っていると言えるだろう。」

この記事はPSYBLOGの"Facebook or Twitter? How Age and Narcissism Motivates The Choice"を翻訳したものです。

(翻訳:山崎有紀子)

2013年08月27日

ルールを壊す10代は、より起業家として成功する

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成功した起業家の脳や10代の頃のリスキーな行動を研究しました。

新しい研究によると、成功した起業家は、万引き、中退やドラッグ取引などの適切で無い行動を普通の人よりも3倍多くしていたと分かりました。

LevineとRubinstein,2013の研究では、このことをアメリカでの若者12,686人を対象とした30年以上にわたり追いかけた調査から調べました。


彼らは、特に自分の事業を持っている成功した起業家について、どのような認知的なタイプや他の要因が関係があるのを調べました。

自然なことに、成功した起業家は、頭がよく、自尊心が高く、高学歴でした。しかし、加えて、起業家はリスクに惹かれる必要があるのです。

最高の起業家は、しばしば10代の頃にルールを破っていた経歴がありました。マリファナを吸ったり、学校をサボったり、暴行ですら、より行う傾向がありました。

しかし、このような悪い面は、とても安定した家庭環境と関係があるのです。成功した起業家は、以下のような家庭とは不釣り合いにリスクを好むようです。

・高収入
・高学歴
・安定してる

そう、不遇な若者というわけではないのです。

女性についてでなく、男性は平均的には、より攻撃的で、より高いリスクを取り、そしてより起業家になります。女性が自分の事業を作り上げられるのはたった28%だけです。


より多くのリスクは、より多くの成果を意味する?

しかし、より多くのリスクは割に合うのでしょうか?

この研究によると、金銭的な意味においては、リスクは割に合うかもしれません。成功した起業家は、平均27%長く労働しているにも関わらず、サラリーマンに比べて時給が41%高いことが分かりました。

しかしながら、この研究は起業家の家庭生活や健康の面については何も述べていません。たぶん、経済的な面ほどはよくないでしょう。

また、リスクを取ることと自尊心が高い傾向は、判断においては容易に失敗する危険な組み合わせです。起業家には、自分がやり過ぎないように手綱を持ってくれるリスク回避傾向の人を必要とするのです。


この記事はPSYBLOGの"Rule-Breaking Teens Make More Successful Entrepreneurs"を翻訳したものです。

写真はFlickrのCristee Dicksonさんのものを使用しました。

(翻訳: やまざきしんじ)

2013年08月26日

働きすぎは肉体面にも注意!

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普通、働き過ぎというと、燃え尽きとか幸福度が低下するとか精神的なことに影響を与えているとまず考えてしまいませんか?


カンザス州立大学のSarah Asebedoらは、1979年から1994年に渡った12686人を対象としたアメリカの若者の縦断研究を使用して、働き過ぎが健康面と精神面に与える影響を調べました。ちなみに、この研究では、1週間50時間以上の労働を働き過ぎと定義しています。

この研究によると、働き過ぎはもちろん精神面や幸福度にも影響を与えているのですが、それよりも肉体的な面に影響を与えているとのことです。

(この研究では実際に健康状態を調べたのでなく、食事を抜く頻度を調査しています)


たしかに、働き過ぎが、精神的なストレスを増大させたり、余暇時間や家族との時間を奪ったりといったことに影響を与えそうですが、健康面にも大きな影響はありそうですよね。そして、精神的な面よりも、注意すれば多少の緩和が出来そうです。


そういえば、私も忙しかった時期は、夜8時くらいにインスタントラーメンを食べて、あとは12時すぎにコンビニ弁当を買って帰るといった時期がありました。今から考えると、精神的な面だけでなく健康的にもリスクが高かったですね。


Asebedoによると、このような働きすぎに対しては、まず働き過ぎが肉体的にも精神的にも影響があることを認識して、それを和らげるようにということを述べています。忙しい時には暴飲暴食をしたり、休日にほとんど運動もせず、ぼーっと一日DVDを見てすごしたりといったことがありますもんね。精神的なストレス解消も大事ですが、不健康という肉体的な面にも注意しないといけませんね。

また、部下の残業が多い上司は、精神的なストレスや燃え尽きには気をつけているかもしれませんが。食事をちゃんと食べているかなど、肉体的な健康面にも気をつけてあげてください。


この記事はカンザス州立大学の"Well-being not a priority for workaholics, researcher says"を参考に書きました。


(文: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 12:14| Comment(0) | TrackBack(0) | メンタルヘルス/幸福

2013年08月20日

右脳派vs左脳派、これってホント?


一般的に右脳vs左脳という言葉で何かを語る時には、おおよそ間違っていることが多いと思います。

左脳派は、ロジカルで分析的で、細かいところが気になる。
右脳派は、クリエイティブで、主観的で直感的で、全体的に把握する。

こういったことはよく言われますが、このような左脳派vs右脳派という対立図式は、一般的にはよく言われるものの、このような左脳派や右脳派などはないというのが定説だと思います。それでは本当のところはどうなんでしょうか?


ユタ大学のJared Nielsenらの研究では、7歳から29歳の1011人のfMRIでの脳の画像を解析して、右脳派と左脳派といった個人差があるかを確かめるというものです。

この研究では、個人が右脳を優先的に使うとか、左脳を優先的に使うといった偏りを見つけることはできませんでした。やはり、右脳派vs左脳派なんてのは存在しないということです。

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(図は参考論文より)

脳の各領域の接続については個人差があるようですが、右脳派vs左脳派といった単純な図式ではないようです。

”分析的vs直感的”といったような内容で、左脳と右脳という言葉を安易に使っている人も多くみかけますが、「あの人は直感派だよね〜」というのを敢えて「あの人は右脳派だよね〜」という必要は全然ないと思います。


この記事はNielsen JA, Zielinski BA, Ferguson MA, Lainhart JE, Anderson JS, 2013, "An Evaluation of the Left-Brain vs. Right-Brain Hypothesis with Resting State Functional Connectivity Magnetic Resonance Imaging.", PLoS ONE 8(8): e71275. doi:10.1371/journal.pone.0071275を参考に書きました。


(文: やまざきしんじ)

2013年08月15日

ダメな上司にありがちな4つの特徴

上司の50%には能力がないのに、彼らはどうやってあなたの上司になったのだろうか?


調査によると、65%から75%の人が自分の上司を仕事をする上でのマイナスポイントだと評価している。

これは単なる根拠のない嘆きなのか、それとも正しい意見なのか?


実際、多くの場合は正しい。というのも上司に関する調査では、上司のほぼ50%にその能力がないことを示しているからだ(DeVries, 1993)。

上司が職務を果たせない理由は非常に単純だ。Leslie and Van Velsor (1996)は様々な組織や雇用者に対して調査を行い、ダメな上司の問題を以下の4つに要約した。(Hogan & Kaiser, 2005の研究で記載)

1.対人スキルが低い。
ダメな上司は、怒りっぽい皇帝のように上からあなたを見下している。彼らは鈍感で冷たくて、チャリティーで寄付をするかのような優しさしか示さない。

2.仕事ができない。
彼らは過度に野心的な目標を何度も作っては、目標を達成することに何度も失敗する。彼らは自分の目標をやりとおさないし、部下の信頼を裏切る傾向がある。

3.チームを構築できない。
これはおそらく上司としてもっとも重要なスキルだろう。チームビルディングでは、信頼を構築し、役割と目標を設定し、円滑なコミュニケーションを促進し、リーダーシップを提供することが必要だ。ダメな上司は完全にこのどれもできない。

4.昇進に値しない。
彼らがどうやって昇進できたのか誰も知るよしがないが、その新たな地位が彼らの能力を超えていることは明らかだ。彼がその地位に落ち着くと同時に、あらゆることが崩壊しはじめる。

もし、上司の50%がそれほどひどいのならば、そもそもどうやって彼らはその地位を得たのだろうか。

その答えは、ダメな上司はまず抜擢されるために有利な長所を持っていて、その一方で、その長所を上回る短所を持っている、というものだ。

Hogan and Hogan (1994)は、これについて何十年も研究をし、多くのダメな上司はパーソナリティ障害だと明らかにした。


パーソナリティ障害を見分けるのは難しい
多くのダメな上司はナルシストである。そして悲しいことに、人は最初はナルシストを好ましい人だと思うのだ。彼らは回りにいると楽しい人のように思える。

しかし、やがてはナルシストは自分の間違いから学ぶことができず、肩書きと馴れ合っているだけだということに私たちは気づくことになる。


時に魅力的に思えることが、時間の経過とともにそれは傲慢というものだったと明らかになる。不幸にもこれが通常明らかになる時にはすでに手遅れなのだ。

選択プロセスの失敗
管理職は面接によって外部から募集されることがよくある。
ナルシストとサイコパスは面接が得意だ。これらの状況でよい印象を与えることに彼らは長けている。

面接の代わりに、その人をよく知っている人(つまり部下)から上司としての能力に関する情報を収集するとともにより形式的な採用ツールが使用されるべきだ。

そしてそうなったとき、部下のあなたは上司の能力に太鼓判を押すことができるだろうか?

この記事はPSYBLOGの"4 Qualities of Truly Horrible Managers"を翻訳したものです。

(翻訳:山崎有紀子)



2013年08月06日

雑誌で連載させていただくことになりました

この度、ご縁がありまして、BABジャパン様のCUE'S(キューズ)というビリヤード雑誌に連載をさせていただくことになりました。

さいころニュースのコンセプトそのままに、ビリヤードプレイヤーの役に立つ心理学ネタを提供していくつもりでおります。

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よろしければご一読いただければ幸いです。ちなみにDVDもついて1100円とお得な雑誌です!
(逆に言えばDVD買うと雑誌がタダでついてきます!しかも今号のDVDは私の好きな内垣プロ!!)

(文: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 13:37| Comment(0) | TrackBack(0) | その他

2013年08月01日

一流選手は、”あがる”

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今回紹介するのはノルウェイスポーツサイエンス学校のGeir Jordetのプレッシャーに関してPKから調べたという研究です。これは1976年から2007年のワールドカップ、ヨーロッパ選手権、UEFAチャンピオンズリーグの37大会の366回のPK(ペナルティ・キック)を対象としたものです。

FIFAプレイヤーオブザイヤー、ワールドカップ得点王、バロンドールのそれぞれ3位までの選手とUEFAの選んだポジションごとの年間最優秀選手、南アメリカ年間最高選手のいずれを取った選手を、実績のある選手と考えます。

例えば昨年のバロンドールの3位までの選手はメッシ、クリスティアーノ・ロナウド、イニエスタの3人で、2010年のワールドカップではミュラー、ビジャ、スナイデル、フォルランの4人が5点を取っています。ここに挙げただけでも、全員がワールドクラスの一流の選手であると言えそうです。


この研究ではPKの73.8%が成功し、26.2%が失敗していました。ちなみにポジションごとの成功率はフォワードは80%、ミッドフィルダーは72.9%、ディフェンダーは67.7%です。これは納得できる数字でしょう。フォワードの方がキックが上手く、鋭いシュートを決められそうですし、一方でディフェンダーはあまりキックのうまくない選手がいます。

そして、ここからがポイントですが、実績のある選手は、実際に受賞をする前には88.9%PKを決めていました。これは平均的なフォワードよりもかなり良い数字です。さすがに一流プレイヤーといったところでしょうか。しかし、実際には受賞をした後にはこの数字が65.0%にまで下がってしまうのです。

どうやら一流プレイヤーはPKにおいては一流ではないようです。もしかするとこれはリーグ戦などのよりプレッシャーのかからないシーンでは別かもしれません。しかし、ワールドカップやチャンピオンズリーグのような大事なシーンでは、一流選手は、二流選手以下に変わってしまうようです。ただし、受賞前にはPKでも一流のようなので、”名前”がプレッシャーになっているようですね。


これは、「当然、決める」というプレッシャーと考えられます。試合などでは「絶対勝てる」選手がプレッシャーなどで往々にして驚くような負け方をすることがありますが、このPKの結果はそれを示していそうです。

PK失敗といえば、ベッカムやバッジョが思い出されるかもしれませんが、65%というと意外と低いんですね。


この記事はGeir Jordetの"When superstars flop: Public status and choking under pressure in international soccer penalty shootouts", Journal of Applied Sport Psychology 2009を参考に書きました。

(文: やまざきしんじ)