2013年09月24日

何故、わずかな報酬のために、人はズルをするのか?

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得るものが少なくても、ちょっとしたズルはルールに従うよりも幸せと自尊心につながります。


短期的には、ズルする人はたとえ報酬が少なくても、気分がいいからズルをするのです。

ワシントン大学のNicole E. Ruedyらによる様々な研究の結果によると、私たちはズルをすることで罪悪感のようなネガティブな感情が引き起こされると思っていますが、どうやら違うようです。

Ruedyら2013年の研究では、問題解決のタスクの間、ズルをする人は「チーターズ・ハイ」(ズルによる、ハイ)を経験していました。彼らはズルしない人よりも、より満足し幸せを感じていたのです。

この研究は、騙さないことがどれほど重要なのかを思い起こさせます。困ったことに、これらの人は良い気分にさえなるのです。

おかしなことにこの研究ではほとんどの人が、他人はズルをすると気分が悪くなると考えていました。つまり、ズルをするとどういう気分になるかという予測が完全に間違っているということです。


ちょっとした稼ぎ

この研究で、ズルがあまり悪い気分にならないのは、他の誰も傷つけないズルだったのが理由の一つです。被験者は、単に数学や論理パズルの答えを誤魔化すだけでした。

Nicole Ruedyは、こう説明しています。
これまでの研究によると、例えば電気ショックを与えたりして人は誰か他人を傷つけた時、その行為によって嫌な気分になります。我々の研究では、直接誰も傷つけることがないが、道徳的でない行動の後に起こる「チーターズ・ハイ」を明らかにしました。

例えば万引きのようなズルをなぜ人はするのかと悩むなら、この研究はその説明の助けになります。
たとえ得られるものが小さくても、ズルをした時にいい気分になるのが、人が道徳的でない行動をする理由です。


この記事はPSYBlogの"Why Do Cheaters Cheat When The Stakes Are Low?"を翻訳したものです。

写真はFlickrのMr_Steinさんの写真を使用しています。


(翻訳: やまざきしんじ)

2013年09月17日

理想的な労働環境を作るための6つの心理学のコツ

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完璧なオフィススペース: 美しいカーブ、自然な眺め、緑


普通、オフィスで座って、仕事をします。

スクリーンから少し目を離したら、何が見えますか?
どのくらい机は整理されてますか?それは、(個室でない)オープンなオフィスですか?
窓の外が見えますか?植物が視界に入りますか?
自分の席の近くの装飾を何か選びましたか?

人がどのように働き、どのくらい快適に過ごせるかに対し、これら全てのことが心理学的に効果があります。それでは、心理学の研究に基づいた、理想的な労働環境を作るための6つのコツを見ていきましょう。


1.開放的な環境を避ける(出来るなら)

個室でない、開放的なオフィスは、コミュニケーションを促し、チームを結束させると考えられています。少なくとも、理論上。

303のアメリカのオフィスビルのデータを分析したKimとDear,2012年の研究によると、コミュニケーションを加速させるという多少の事実はありましたが、それがチームを結束させるという証拠はありませんでした。

この最初に思いつく、開放的な環境のコミュニケーションにおけるちょっとした利点が、デメリットに比べて激しく過大評価されています。(個室でない)開放的なオフィスで働いたほとんどの人は、それがどういうものかを正確に把握しています、うるさくて、気が散らされて、プライバシーがない、と。

予想通りに、プライベート環境の保たれたオフィスで働く人は、職場環境においてかなり幸せです。

ほとんどの人は、開放的なオフィスかプライベート環境の保たれたオフィスかを選ぶことができません。そのため、ヘッドフォンを使う、小さな仕切りを作る、机の下に隠れる、などの自分なりのプライバシーを保つ方法を作る努力をすることでしょう。


2.散らかったデスク・綺麗なデスク論争

散らかったデスクは、有益でしょうか、それとも有害なんでしょうか?散らかったデスクは本当に、散らかった精神の表れなんでしょうか?

どうやら研究によると、職場環境での秩序や無秩序は、異なった心理的な影響を及ぼすようです。

この研究(英語記事)では、散らかったデスクは創造性を増す傾向があり、一方で整然としたデスクは従順さと、一般的な道徳的な行動を促進します。


つまり、散らかったデスクと綺麗なデスクのどちらが良いかは、あなたがどのような成果を求めるかによるのです。


3.カーブは美しい

心理学では、散らかったデスク・綺麗なデスク論争には明確な答えを示せませんでしたが、カーブか直線かということには明確に答えられます。

DzkirとReadの2011年の研究では、被験者はエッジが直線のインテリアと、エッジが曲線のインテリアを示されました。

すると被験者は、曲線の環境をより平穏で、穏やかで、リラックスできると感じました。カーブの勝ちです。

Vartanianら、2013年の研究でも、まったく同じ効果が他の実験で示されました。人は、一般的にカーブした空間の方をより美しいと判断するのです。


4.眺めのいい部屋(もしくは風景画)

多くの人は、自然の中を散歩することが心を穏やかにすることを知っています。実際に、研究でも、自然を散歩することで20%記憶力が増える(英語記事)ということが分かっています。


では、職場環境の中に小さな自然を持ってくるのはどうでしょうか?

Berto,2005年の研究で、実際に確認しました。この研究では、単なる自然の絵でも認知的な機能を回復させることを示しました。

VerlardeとTeit,2007年の研究では、風景を見ることの利点は、健康や幸福だけでなく、短期的なストレスを軽減させる効果まであることが分かりました。


5.植物

自然の中を散歩したり、自然の風景が心を穏やかにするとしたら、きっと植物もよい働きをしそうです。

実際に、Raaasら2011年の研究では、オフィス環境に4つの植物を置いたところ、人々の注意力は、植物のない環境に比べて回復することが分かりました。


6.装飾

無駄がなく、清潔で、効率的な職場環境は、本当に仕事が行われているモデル環境と見なされています。

しかし、綺麗なデスク提唱者のような、職場ミニマリスト(最小限の物を置く人)は、研究によると残念な結果になりました。

KnightとHaslam,2010年の研究では、装飾のないオフィス環境と、実験者か被験者によって装飾されたものと比べました。

幸福、細部への注意力、情報のマネジメントなどに職場の装飾の効果がありました。

そう、装飾された職場は、装飾のない職場よりも良かったのです。自分で装飾することを許されることでエンパワーされた人は、高い生産性を持ち、より幸せを感じました。

被験者の一人は述べています。私は多くの人の感想と同じだと確信しています。


植物と絵のある職場に入ると素晴らしい。それがたとえガラスの箱(職場でも)、より家庭的と感じるのです。



この記事はPsyBlogの"6 Psych Tips For Creating The Ideal Workspace"を翻訳したものです。


(翻訳: やまざきしんじ)

2013年09月10日

嘘の返信は時間がかかる

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デジタルコミュニケーションは大事ですし、重要度を増しています。

一方、実際に会うよりもメールやチャットなどのデジタルメディアの方が嘘をつきやすいという研究が有ります。会話よりもチャットのほうが嘘をつきやすいという研究がありますし、手紙よりもメールの方が嘘をつきやすいという研究があります。


ブリガムヤング大学のTom Meservyらは100人以上の大学生を対象として実験をしました。大学生には事前に半分は嘘の回答をしてもらうように頼んで、コンピュータを使ってやりとりをしました。すると、嘘の回答をする時には返信までに10%ほど長い時間がかかったのです。より返信に時間をかけるということは、文章を編集などをすることが出来るので、より嘘を本当らしく推敲することができます。


嘘をつくのは認知的な負荷がかかるので、普段より時間がかかる可能性があります。でも、実際に回答に10%も余分に時間がかかるというのは面白い結果ですね。実際の会話でなくオンラインなので、よりしっかりと嘘を考えているのかもしれません。

ただし、実際に知人とのメールやメッセージのやりとりで時間がかかってしまうのは、様々な理由が考えられます。また、時間がかかるというだけでは嘘かどうかよく分かりませんし、実際にこの知識を使えるかというとかなり難しいと思います。

この記事はブリガムヤング大学の"Digital deception: People who lie while texting take longer to respond"を参考に書きました。


(文: やまざきしんじ)