「男性は、できるだけ多くの女性とセックスしたいと思うが、女性はセックスの相手を慎重に選ぶ生き物である」という考え方が、広く普及している一般論だと思われますが、the journal Trends in Ecology and Evolutionの4月号に掲載された新しい研究は、人間の場合、コトはそれほど単純なものではないと指摘しました。
Basis for Male Promiscuity Questioned
「男性は多情、女性は貞淑」というこの考え方の科学的基礎は1948年のベイトマンのショウジョウバエの研究に辿ることができます。
ベイトマンは、オスはメスよりも交尾相手が多く、また繁殖度(子どもの数)も多いことを観察で明らかにしました。
この事実は、メスが卵子を作るコストは、オスが精子を作るコストよりも高いことに基づくものであり、メスの繁殖能力は卵子を作る能力に規定されるが、オスの場合は受胎させたメスの数に規定されるとベイトマンは結論づけ、それゆえに、オスは競争的で節操なく交尾をし、メスは競争的でなく、相手のえり好みをするのだ、と指摘しました。
ベイトマンの原理(wikipedia)
ベイトマンの研究結果は、人間の男女の性行動の特徴についても長らく適用されてきましたわけですが、St. Andrews大学のブラウン博士と共同研究者たちは、18の異なるコミュニティの人間を母集団にした研究を行い、ブラウンの原理が人間に必ずしもあてはまるわけではないことを示唆しました。
ブラウン博士らの研究によると、男女間の子どもの数のばらつきは、人口密度や婚姻制度などといったその人が住む社会の要因に大きく左右されるそうです。
たとえば、人口密度の大きい都会では、男女ともにセックス相手を慎重に選びますが、人口の少ない地域では、男女ともにえり好みをしません。
また、一夫一婦制のコミュニティでは、男女の繁殖度(子どもの数)に違いはありませんでした。
これらの結果は、行動に柔軟性やバラツキが許される自由度の高い環境では、ベイトマンの理論はあてはまらないことを示しており、人間の性行動の複雑さを表すものと言えるでしょう。
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ベイトマンの理論に基づく男女観は日本でもかなり浸透しており、「男の人にも節操はある!」と考えている女性の方が、逆に現実を知らない夢見がちなオトメとして見下されるような感じもしなくもありません。
しかし、最近では草食系男子とか言って、あまり女性にガツガツしない男性の存在もフィーチャーされてることですし、もうそろそろベイトマン的発想で男女を見る時代も終わりに近づきつつあるのかもしれません。
なんとなく参考に。↓
主婦と科学。=どうぶつたちの婚姻の科学。=(ほぼ日刊イトイ新聞より)
2009年06月09日
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