2009年06月21日

ポジティブな広告が必ずしも効果的なわけではない

幸福感のようなポジティブな情動を喚起する広告が必ずしも効果的ではないことがthe Journal of Consumer Researchに掲載された研究で示されました。

The Complicated Consumer: Positive Ads Aren't Always The Most Effective

 カリフォルニア大学のLoraine Lau-Geskとミネソタ大学のJoan Meyers-Levyは、なにかしらの情動を喚起する広告に対する消費者の態度を調査。
 この研究によって、広告のレイアウトデザインだけではなく、広告に費やす注意量といった要因が消費者の広告への反応に影響することを明らかにしました。


「ある状況下では消費者はネガティブな情動よりもポジティブな情動を喚起する広告により好ましい反応をするだろうが、いつもそうだとは限らない。広告に対してどれぐらい好ましい反応をするかは、広告に向けることができる注意量が十分あるかどうかによる」と著者は言います。

 ある広告に興味を持っている人とは、その広告について考える心的資源を費やすことができるということであり、そのため、そのような消費者には、ほろ苦いノスタルジーや、不安、罪悪感のようなもっと複雑な情動に訴える広告が効果的であるそうです。

 対照的に、その広告に関心のない消費者は、主に広告の情動的アピールの好ましさに反応しやすいので、幸福感といったポジティブな情動を喚起する広告を提示するのが効果的とのこと。
 
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 広告や広告に掲載されている商品に関心のある人は、それに対してじっくり時間をかけて広告を検討するので、より複雑・詳細な情報を提示するのが効果的で、逆にその広告に関心がない人には、複雑なものよりも感情にダイレクトに訴えかけるような広告の方が効果があるといった研究です。
 
 社会心理学では、説得に関する「精緻化見込みモデル」というモデルがあります。
 これは広告メッセージを理性的に処理する能力は、個人の認知処理能力の高さおよびメッセージ内容に対する動機づけ(興味)と関連すると提唱したものです。
 つまり、広告メッセージに関心のある人は、メッセージそのものを吟味する「中心ルート」を通して情報処理を行いますが、関心のない人は、広告内容とは関係のない情報(起用しているタレントや広告イメージ)などといった周辺てがかりを通して情報処理を行うというものです。
 
 今回の研究も、精緻化見込みモデルで説明可能な研究結果と言えますが、正直なんでいまさら的な感想もなきにしもあらずの研究とついつい思ってしまいます。
 
 ちなみにこの研究を行った1人、Loraine Lau-Geskは、消費者の認知と情動の関連を主な研究テーマとする若手研究者ですが、調べてみると以下のような研究もありました。むしろこっちの研究のが面白そう。

Age-related differences in responses to affective vs. rational ads for hedonic vs. utilitarian products
posted by さいころ at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動
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