というのも、それらの書籍の中で示される「やる気アップ!」「作業効率アップ!」のルールやノウハウは、大抵が著者の経験のみから編み出されたいささか主観的なものであり、客観的根拠に欠けたものに思えるからだ。
最近では、脳科学や心理学などの科学的知見をベースにした自己啓発書も増えているが、これらの本も、一見科学的な装いをしているに過ぎず、「あえて学術用語を使って説明しなくても…」とツッコミたくなるものがほとんどと言っていいだろう。
『短期間で組織が変わる行動科学』は、そういったいわゆる「なんちゃって学術的自己啓発書」とは異なり、学習理論をしっかりと踏まえて日常生活に応用した信頼できる自己啓発書だ。
目標を達成するための罰・ほうびの使い方や効果的な目標設定の方法など、個々のノウハウも学習理論に基づいているのはもちろん、客観的にデータを取りその効果を評価すること、個人の能力とは無関係に誰もが行動主義的プログラムで行動を変えることができるというアンチ8:2の法則な考え方など、まさに学習理論の根本思想を本書の中でも強調している点はいかにもガチンコの行動主義信奉者っぽくて好感が持てた。
本の装丁はイマドキのビジネス書っぽい軽めな感じで、著者の石田淳氏もワイドショーやビジネス書でよく見かけるため、本の中身も軽いと思いがちだが、行動科学のベースが濃厚に反映された(しかも分かりやすい!)良書である。
コメントありがとうございます。
石田さんの著書は他にも読んでみたいと思っています。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします!