2010年06月02日
アファメーションより疑問文
<画像はFlickrより>
仕事であれレジャーであれ、人は何かを行うとき、独り言を心の中で(人によっては口に出して)言うことがある。
例えば、少し骨の折れる仕事をしているときに「この仕事、期日中にできるかなぁ?」「ここはこうやってしたほうがいいかなぁ?」と自分に問いかけていることはないだろうか。
もしかすると、問いかけなんて気弱な独り言ではなく、「私はこの仕事を期日中にできるはず!」と強く自分に言い聞かせている人もいるだろう。
自己啓発の世界では、このような肯定的な自分への語りかけであるアファメーションは、目標達成に向けて極めて効果があると推奨している。
しかし、Psychological Scienceに掲載される以下の研究では、アファメーションよりも、疑問文での問いかけを行った方が、課題成績はよくなることを示している。
Will We Succeed? The Science of Self-Motivation
イリノイ大学のDolores Albarracinらによるこの研究では、50人の研究参加者を対象に、独り言の種類とモチベーションの関係について実験を行った。
参加者は、「私はこの課題ができるだろうか?」と疑問文で声に出して言うか、あるいは「私はこの課題ができる」と肯定文で言った後に、アナグラム課題に取り組む。
この結果、肯定文で独り言を言った場合よりも、疑問文で言った場合の方がアナグラム成績は良かった。
Dolores Albarracinは疑問文での独り言はモチベーションの向上に影響すると考え、さらに実験を行った。
この実験では、前回の実験と同じく参加者は疑問文(「Will I〜」)で独り言を言うか、肯定文(「I will〜」)で独り言を言った後、課題を行うことに加え、モチベーションを測定する質問紙にも回答した。この結果、やはり疑問文で独り言を言った場合の方が、課題成績もよく、モチベーションも高かった。
「私たちの研究は、言語が自己調節にいかに影響するかを科学的に証明したものであり、どんな独り言を言うかで行動が変わることを示している。
自己啓発において、アファメーションは目標達成の能力を高めると説くが、ある具体的行動を行う場合には、疑問形での問いかけの方が効果があるようだ」とDolores Albarracinは言う。
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これまでいいといわれてきた肯定文に脳が慣れているために、慣れの少ない疑問文のほうに効果が見られている、という可能性はありますか?
また何年かしたら肯定文がいいよ、となり、、、というサイクルがあるのかしら?とちょっと気になりました。
こんにちは!ご質問ありがとうございます。
脳の慣れが少ない疑問文だったから脳に新鮮でモチベーション(成績も)が上がった、という可能性はあるかもしれません。
ただ、おそらくこの研究の被験者は大学生だったんじゃないかと思うのですが、そもそも大学生が肯定文によるアファメーションに慣れていたのかどうかというところもナゾです。
そういった脳の慣れ傾向を統制した実験が今後の課題となりそうですね。
それから、肯定文疑問文サイクルについてですが、確かに今後ありえそうですよね。
しかし、今回の研究の優れた点は、独り言とモチベーションの関係を科学的に研究したところであり、もし今後肯定文賛成派が出てきたとしてもその時には以前と異なり、科学的に肯定文の効果を証明することが求められるでしょう。
あるいは今回の研究では「(アナグラムという)具体的な課題状況」と限定して疑問文の効果を提示しているので、通常の肯定文によるアファメーションと疑問文によるモチベーションアップ法の使い分けが提唱される世の中になる可能性もありそうです。