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最近、”Lie to Me”というアメリカのドラマを見ています。これは感情研究の第一人者のポール・エクマンをモデルにしたドラマで、相手の表情で嘘を見抜くというライトマン博士の大活躍を描いたものです。表情を見抜く能力だけでなく、はったり能力も異常に高いのがアメリカ的ですが、見ていて非常に楽しめます。
このドラマの中で嘘をついた時の特徴が説明されていますが。
・会話の相手の反応を見るため、目をそらさずにむしろ相手をよく見る
・嘘をつくために、認知的な時間が必要であるため、一瞬考える
といったところが大きなポイントでしょうか。ちなみに嘘をつく時に右を見るとか左を見るとか一部の人達が言っていますが、これは話半分に聞きましょう。
さて、Association for Psychological Scienceのプレスリリースに
”Lie Detection: Misconceptions, Pitfalls, and Opportunities for Improvement”(嘘発見について 勘違い、落とし穴、改良の機会)という記事がありました。
ここで述べられていることのポイントを述べると、
1.嘘を見抜く時に、しぐさなどの非言語的な要素を重視しすぎることが多い
2.嘘を述べている時と真実を述べている時の差は非常に小さいので、気づきにくい
3.嘘を作っている時は認知的には負荷がかかっている。認知的な負荷は会話のちょっとした遅延になりがち。例えば事件での出来事を逆順に言わせると、認知的な負荷がさらにかかるので、嘘か真実か見抜きやすい。
といったところです。”Lie to Me”を見ていても、相手がしゃべっているのをビデオで撮っていて、スローモーションでチェックをしています。また、3の逆順で言わせるといったこともしていました。
”Lie to Me”の宣伝だかなんだか分からない記事になってしまいましたが、”相手の嘘を見抜くしぐさ”といった通俗的なものに惑わされずに(もちろんその中にはいくつかの真実もあると思いますが)、むしろ会話の中で相手の微妙な遅延に気づくようにしないといけません。とても難しいと思いますが。
元の論文はこちらです。
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