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ダニエル・シャクターの”なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか”を読んでいて、一番納得がいったのが固有名詞が覚えにくいというところでした。固有名詞の中でも特に人名を物忘れすることが多いです。
20,40,70歳の人に一ヶ月の間日記をつけてもらい、どういう言葉を度忘れしたかということの記録を取ったら、やはり固有名詞をど忘れして、特に人名が多かったということです。
これは「固有名詞には意味が無い」ということに由来していると考えられます。つまり、”リンゴ”という言葉には、赤い物や美味しいといった意味が与えられていますが、”山田”という言葉には特に意味がなく、単に”山田”と呼ばれている人達を表しているだけの意味しか持たないということになります。
私が”山田”さんに会った時に、それが”田中”や”鈴木”でなく、”山田”であるということを思い出す手がかりは特にありません。このことが人名を覚えにくくする原因と考えられます。
また、人名でなく、一般名詞の場合は、もし万が一思い出せなくても言い換えができるものが多いです。例えば、”ソファ”という言葉が思い出せなくとも、”椅子”という言い換えをすることができます。固有名詞の場合はこのように言い換えることができないので、思い出せなかった時に回避する(ごまかす)こともできません。
それでは、このような人名の覚えづらさ・思い出しづらさを克服する方法はないのでしょうか?シャクターによるとコード化が使えるテクニックとなります。このコード化は記憶術にとっては一般的な手法ですが、例えば”山田”さんの名前を覚える時に、山田さんの顔を思い出しながら、山と田んぼをイメージして、山田さんが山の田んぼで稲刈りをイメージするといったものです。これによって、”山田”さんをという名前を忘れた時のヒントになる可能性があります。
私も人の名前はなかなか覚えられないので、コード化のテクニックを使おうと思います。
(文: SY)
なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか―記憶と脳の7つの謎 (日経ビジネス人文庫)
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