
(c) かき|写真素材 PIXTA
販売活動で返報性が用いられるというのを書きましたが、それよりも強力なのがこの一貫性です。Wikiにも一貫性の原理として載っています。
ポイントとしては、人はそれまで行ったことを続けようとする強力な力があるということです。しかも、この力は本人が自覚しないというのが販売時に強力な武器になります。
ビジネス書では”フット・イン・ザ・ドア”(片足だけ中に入る)として載っていることも多いです。いわゆる小さなお願いをして、そこから徐々に大きなお願いをするといったものです。
小さなプレゼントをして相手に何かを買ってもらおうとするのが返報性を使ったテクニックだとすると、小さなお願いを聞いてもらってそれから相手に何かを買ってもらおうとするのが一貫性を使ったテクニックです。
相手に「これがいい」と言わせてから値段交渉を始めたり、「この日あいてる?」と聞いて返事を待ってから内容を伝えたりといったことも一貫性の応用で日常的によく用いられるテクニックです。
また、この一貫性はこのように分かりやすいパターンだけでなく、事前に差し支えないアンケートや何かの協力依頼をお願いしておいて、後日(例えば2週間後)に大きなお願いをするといった方法もあります。このように一貫性の魔力は時間を置いても有効です。
一貫性のテクニックについてはそれぞれの選択を自分が自由に選択しているので、それが相手の罠でなく自分の意志になっているというところが非常にやっかいです。消費者としてはこの一貫性のバイアスに負けないようにNoと言う必要があります。
この件と強く関わっているフェスティンガーの認知的不協和理論についてはまた別途書きます。
(文: SY)
この古典的名著では、一貫性についてかなりのページが割り当てられており、様々な実験が載っています。非常にオススメです。
影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか
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この本は影響力の武器ほどページ数がないため読みやすく、よくまとまった良著です。
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