2011年06月07日

スポーツにおける”セルフトーク”

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ギリシアのテサリー大学のスポーツ心理学者のAntonis Hatzigeorgiadisらが、スポーツ心理学のセルフトークについての32の研究のメタ分析を行いました。

※メタ分析というのは同じような目的の様々な複数の研究をまとめるような研究です。心理学などでは全く同じ実験条件でも対象が人であるため違う結果になりえます。このような場合に複数の研究を通してみることでより正しい知見をえるためにメタ分析を行います。

この研究は、スポーツにおける”セルフトーク”の効果についてのメタ分析です。”セルフトーク”というのは、”左手を添えるだけ”とか”チャー・シュー・メーン”のようにスポーツの間に自分の中でのしゃべるのことです。この研究では”セルフトーク”がスポーツのパフォーマンスを向上させることが分かりました。


ちなみに”セルフトーク”にも様々なものがありますが、”肘を上げる”とか”左手は添えるだけ”のような”技術的なセルフトーク”の方が、”集中、集中”とか”穴だけを見ること”といったような”モチベーションのためのセルフトーク”よりも有効であることが分かりました。また、当然ですが”技術的なセルフトーク”は、上級者よりも初級者に対しての方が有効となります。私の考えでは”技術的なセルフトーク”の効果は習熟したスキルの実行においては、技術的なフォーカスの結果、集中が切れるため逆効果になると思いますが。

また、これも当然かと思いますが、このような”セルフトーク”は、ゴルフやボウリングのような静かなスポーツに対してより有効で、サッカーやサイクリングのような激しいスポーツではあまり有効ではありません。

実際にこのような”セルフトーク”はスポーツのパフォーマンスを向上させますが、この「”セルフトーク”が効率的にパフォーマンスを向上させるには、そのような練習が必要」とAntonis Hatzigeorgiadisは述べています。


ちなみに私はむかし真剣にビリヤードをやっていたのですが、その時、あるプロによく言われたのは、「試合の時に出来ることが本当の実力」といったことです。練習の時に難しい事ができても、それを試合の時にできないといけません。また、試合の時に出来るようになるには、練習しておくことはもちろんですが、そのような試合をこなさないといけないわけです。

私も集中のための”セルフトーク”というのを持っていて、練習の時も試合の時も行っていました。


この記事はAssociation for Psychological scienceの"Thoughts That Win"を参考にしました。


(文: SY)

スポーツのメンタルタフネスといった本はありますが、これが一番参考になった本です。ただし、この本では、”技術的なセルフトーク”を戒めています。”技術的なセルフトーク”の効果は習熟したスキルの実行においては逆効果ということだと思います...

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