2011年06月19日

アファメーションで気分が低下...人によっては若干向上

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「ポジティブになることで成功する」といった自己啓発書がたくさん出ています。こういった本では「自分は出来る」、「自分は成功する」と自分に声をかけて宣言することで成功するといったことを書いています。このような宣言を”アファメーション”と言いますが、このアファメーションは本当に意味があるのでしょうか?

一方、こういったアファメーションの負の要素について言われることもよく言われます。例えば、無謀とポジティブを取り違えて、リスクを考慮しないといったことです。また、以前の記事で、アファメーションをするよりも疑問文で問いかけた方が実際には有効といったことも書きました。

では、アファメーションが実際に効果があるかどうかはともかくとして、アファメーションをすると本当にポジティブになるのでしょうか?


ウォータールー大学のJoanne Woodらの研究によると、そうではないようです。この研究では、被験者には、自己啓発本にありがちな「私は、愛される人だ」というフレーズを繰り返しとなえてもらいます。その後で、被験者の気分を計測し、被験者の感情を確認します。

この結果は、自尊心に依存することが分かりました。下の表のように、自尊心が高い人は少し気分が向上するので、自尊心が低い人は気分が低下します。つまり、アファメーションは、人によるということなのです。個人的には自尊心が高い人はアファメーションの必要はあまりないと思いますが…

自己啓発と自尊心.001.jpg

自尊心が低い人はアファメーションをしても自分は欺けないということでしょうか。アファメーションと自分の本心のギャップが自分を苦しめていると考えられます。


ちなみに、Woodらの研究ではアファメーションだけでなく、自尊心が低い人がポジティブなことを考えると同時にネガティブなことを書きだすという実験もしています。この場合は、良い気分になりました。

これはポジティブ・ネガティブの両方を受け入れるということでしょうか。結局、自分が受け入れられないような、偽りのポジティブ感というのは気分を低下させるだけのようです。


やはり、アファメーションをするよりも、現実的な手段にフォーカスしたり、リスクを検討する方がいいということですよね。もちろん、自尊心が高い人は、アファメーションが有効でしょうが。


関連記事:
"アファメーションより疑問文"

apsの"The Problem with Self-Help Books: Study shows the negative side to positive self-statements"を参考にしました。

元論文はこちら
Wood 他,Positive Self-Statements: Power for Some, Peril for Others. Psychological Science, 2009; DOI: 10.1111/j.1467-9280.2009.02370.x
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