2011年06月27日

予測できないものに人は注目する

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(c) Ryo.WATANABE写真素材 PIXTA


私たちは、様々なことから学習をします。例えば、太陽が東から昇ることや、リモコンのボタンを押すとテレビがつくことを覚えます。こういった、きっかけとその結果についての哲学的な考察は昔から行われてきましたが、実際に人間がどのようにこのようなことを把握するのでしょうか?

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のOren Griffithsらの研究によると、人間はある”きっかけ”とその”結果”を学習する際には、”予測”が大事な役割を果たしているということです。


これは例えば、”ガオーッ”という鳴き声が聞こえたら危険がある、ということを学習する場合に、動物の場合は普段の生活の雑音から”ガオーッ”という音だけをより分けられることと、そして新しいことを覚えられるゆにこれまでに聞いたことがない音があったらそれに注意を払うといったことが必要です。


このプロセスを理解するためには、人間の場合は”予測”がポイントになります。

被験者にアレルギーテストの観察という作業をさせて実験をしました。この時に、ある人が”リンゴにアレルギー反応を示す”ということが毎回起こればすぐに、リンゴにアレルギーがあると学習します。そして、ある人が”リンゴにアレルギー反応を示さない”ということが毎回起これば、今度はリンゴにアレルギーがあってもなかなか学習しません。一方、ある人がリンゴにアレルギーがあるかどうかよく分からない状態の場合もすぐに学習します。

これは何が起こるか分からない場合には、事象により注意を向けるということです。

このことは人の学習について様々な示唆を与えると思います。

予測と学習.001.jpg

正しい学習→新しい事象に対して学習を強化
間違った学習→新しい事象に対して、すぐ学習できない
予測できていない→新しい事象に対して、すぐ学習する

ということです。つまり間違った学習をする位ならば、予測できていないとみなす方がいいということです。ただし、どれが正しい学習でどれが間違った学習なのかというのは、後からしか分からないという問題があります。


この記事はapsの"What Do We Pay Attention To?"を参考にしました。


元の論文はこちらです。
Griffiths, O., Johnson, A., & Mitchell, C.J. (2011). Negative transfer in human associative learning. Psychological Science.

(文: SY)
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