2011年07月15日

小さなお皿と大きなフォーク

パスタ[1529760] - 写真素材
(c) kono写真素材 PIXTA


食べ物の心理学としては、盛りつけの量(ポーションの大きさ)が多いとよりたくさん食べると言われています。また、食べ物はそのままで、より大きい皿を使うとよりたくさん食べてしまうという研究もなされています。これは、皿のサイズが小さいと同じ量の食べ物でも、よりたくさんに見えるためです。


しかし、ユタ大学のArul Mishra, Himanshu MishraとTamara Mastersが、これに加えて興味深い研究をしました。

Mishraらの研究は、人気のあるイタリア料理店で実験をしました。ここで大きなフォークと小さなフォークを使って、どれだけの量を食べるかを実験しました。皿の大きさの結論から推論すると、大きなフォークを使うと食べ物の量がより少なく見えるため、よりたくさん食べると考えられましたが、実際には小さなフォークを使った人の方がよりたくさん食べました。

通常のものよりも20%多く食べ物を取れる大きなフォークと、通常のものよりも20%少ない食べ物を取れる小さなフォークを使いました。例えば、最初に850gの量を盛り付けた時に、小さなフォークの人は540g食べて310g残したのに対して、大きなフォークの人は380g食べて470g残しました。これは、大きなフォークを使うと、食べ残した量が40%以上増えたことを意味します。なお、この食べ残しの量はほぼ常に40%増えました。


この原因としては、フォークのサイズが自分が食べた量の手がかりになっていると考えられます。これは、例えばカキやカニのように食べた後の殻があれば、それが食べた量の手がかりになって満腹度に影響するのですが、そのような殻がない時にフォークのサイズが満腹感の手がかりなっていると考えられます。


また、Mishraらの研究ではさらに面白い点がありました。

この研究はレストランで行われたものですが、研究室で実験を行うと小さなフォークよりも大きなフォークの方がよりたくさん食べてしまうという結果になりました。つまり、レストランと研究室では反対の結果になってしまうのです。これはレストランでは”がっつり食べよう”と思っているのに対して、研究室では”実験に協力しよう”と考えているためと考えられます。

このように実験場所によって被験者の行動理由が変わってしまい、実験結果も変わってしまうというのも、心理学の実験の面白いところです。


それでは、皆さんもうちでは小さなお皿と大きなフォークを使ってください。それと、商売されている人は大きなお皿と小さなフォークで、お客さんにたくさん食べさせて、稼いでくださいね。



この記事は以下の記事を参考にしました。
University of Chicago Press Journals (2011, July 14). Size matters: Why do people eat less when they have big forks?. ScienceDaily. Retrieved July 15, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/07/110714150949.htm

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(文: SY)

また、食べ物の心理学を考える際には、以下の本がオススメです。
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posted by さいころ at 16:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動
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