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時間が十分にあるということは、お金が十分にあるのと同様に滅多にないことだと思います。たしかにみんな時間がないし、そして同様にお金もありません。
しかし、私たちはお金よりも時間の方が不足しているんじゃないでしょうか?これは、時間が貴重な資源で、お金のように蓄えたりできないといった意味ではありません。
最近の研究では人間は時間の余裕を過剰に見積もってしまうことが明らかになりました。
例えば、今1万円欲しいから30日後に1万1千円返すといったことは例えあったとしても、今1万円欲しいから30日後に1万4千円返すといったことはほとんどないと思います。しかし、時間については、今1時間欲しいから30日後に1時間25分返すといった契約を結んでしまいます(実際にはこのような契約はできませんが)。
これは、人間が、将来のお金の価値をある程度割り引いて考える、つまり今の1万円の方が、来年の1万2000円よりも良いと考えてしまいますが(金利を考えたら来年の1万2000円の方が合理的な判断です)。これと同様のことが時間でも行われていて、将来の時間の価値を割り引いて考えているのです。そして、お金よりも時間の場合はこの割引率が大きいのです。つまり、今日の1万円は来月の1万1千円の価値だとしても、今日の1時間の価値は来月の1時間25分程度の価値とみなしてしまうのです。
このように将来のお金よりも将来の時間を過少に評価するのは、お金と違って時間には明確な単位がないからと考えられています
また、これは逆に将来になればもっと時間に余裕があるという幻想も意味しています。そういえば、職場でも「今日はいろいろ割り込みやトラブルがあったけど、明日なら出来る」と言う人がいると思いますが、そういう人には明日もいろいろ割り込みやトラブルが入ってしまうものです。
このような時間についての割引への対策は2つ考えられます。
1.人は未来の時間については過剰に見積もってしまうので、他人からのちょっとしたそして本質的でない仕事の依頼があったら断りましょう。
2.仕事などで自分がどのように時間を使っているか計測しましょう。特にちょっとした用事や割り込みやトラブルが自分の仕事の上でどの位の割合になっているかを計測しましょう。計測することで、実際の余裕を数字として認識することが出来ます。
1と2の対策をセットに習慣づけることで自分にしかできないことをする時間を増やしていくことが大事です。
The New York Timesの”Future Shock Concept Gets a Personal Twist”を参考にしました。
元の論文はこちら。
(文: SY)