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人はみんな幸せを求めています。お金をいっぱい持っている人でももっとお金が欲しいというし、家族みんなが健康な人でも食洗機が欲しい、もっと大きな車が欲しい、家が欲しい、と多くのものを望みます。そして人はもっと幸せになりたいと望んでいます。もっとお金があって、仕事は楽で、社会に認められて、友達や家族と仲良く暮らしたいと思っています。実際には何度もこのブログで書いているように、お金を上手く使うと幸せになることもできますが、お金と幸せは違うものです。
それではいったいどのくらいの幸せを求めるのがいいのでしょうか?このヒントはバージニア大学の大石繁宏らの研究に隠されています。大石らの研究96ヶ国を対象とした大規模な調査を対象としていて1981,1990,1995,2000年といった長期に渡るデータを分析したものです。
この研究では、幸福度のスコアは、収入、高い教育が終わっていること、社会的な関係、政治的な関与といったものと強い相関があることが分かりました。ただし、この相関は10段階で評価した幸福度の9までを説明することはできますが、幸福度10については説明することができません。
つまり、10段階で1−9までの幸福度は通常の幸福の延長線上にあると言えます。一方、幸福度10という完全な幸せを求めるためには、常に新しい事業を始める、常に新しい恋愛を続ける、どんどんとハードルを上げて新しい挑戦をし続けるなどといったことをしなければいけません。ただし、このような幸福は安定しないものです。
一般には幸福はより幸せであればあるほど良いと思われているのですが、完全な幸せといったものは通常の幸せの延長線上にないということです。幸せを求める時には、完璧な幸せ・究極の幸せを求めるのでなく、現在の延長線上の幸せや安定感のある幸せといったものも考えてみるといいのではないでしょうか?
ちなみに大石らの研究からの記事は以前”幸福の鍵は、やっぱり平等”という記事でも書きました。
この記事は、以下を参考にしました。
"The Optimum Level of Well-Being, Can People Be Too Happy?",大石他,PERSPECTIVES ON PSYCHOLOGICAL SCIENCE, Volume 2−Number 4,2007
(文: SY)