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今、スマートフォンが流行っていることを否定できる人はいないでしょう。70歳を越える母親からしょっちゅう「スマートフォンにした方がいいかしら??」という相談を受けますし、このさいころニュースもスマートフォンとiPadからのアクセスが6%程度になりました。
フィンランドのアールト大学のAntti Oulasvirta,Tye Rattenbury,Lingyi Maとアメリカのインテル研究所のEeva Raitaがスマートフォン使用の研究をしました。これは、フィンランドとアメリカの被験者を対象としたものです。この研究は、ラップトップPCとスマートフォンの使い方の差を調べることで、スマートフォンの使い方を明らかにしています。
AndroidのスマートフォンとPCに、操作の記録をするようなアプリケーションをインストールすることで、どのように使われているかを調査しました。
この研究の結果から分かったことは、意外なことではないかもしれませんが十分に注意しないといけないものです。
まず、スマートフォンを使うと”チェック行動”が習慣化されます。これは、メールのチェック、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアのチェックやニュースのチェックなど、短時間でちょっとチェックするという習慣ができてしまうことです。この”チェック行動”は1回ごとのチェックは短時間ですが、非常に高い頻度で行います。また、この”チェック行動”が習慣化されることで、使用者は自由な時間がどんどんと削られてしまいます。実際に、何をしてるでもなく、電車の時間中ずっとスマートフォンを使っているという人はよくいると思います。
また、”チェック行動”をしている使用者は、常に友達とつながっている感覚があってポジティブなものと捉えているよりも、使いすぎて時間がなくなるというネガティブなものと捉えているようです。
この”チェック行動”はスマートフォンを使うきっかけにもなります。つまり、電子メールをチェックしたついでに他のアプリケーションを使うというものです。”チェック行動”をきっかけにスマートフォンを使用して、様々なアプリケーションを使ってしまうのです。
この研究はいくつかのことを表しています。
1.スマートフォンの”チェック行動”は個別には短時間だが非常に高い頻度で行うことで多くの時間を奪ってしまう。
2.この”チェック行動”をしたからといって使用者が幸福になるのでなく、逆にチェック中毒で時間がなくなるというようなマイナスの面を持つ。
3.”チェック行動”をきっかけとしてスマートフォンの様々なアプリケーションを使う。
つまり、消費者としてはこのような”チェック行動”を自制しないといけないわけです。私もスマートフォンを使っているのでこれは非常に感じます。いや、もっと使用を減らすべきだ、と感じてはいるが減らせないという意味です。これは使用を減らすような仕組みを用意すべきということでしょう。
また、アプリケーション開発者、特にゲーム開発者にとっては1つのデザインモデルを与えています。使用の呼び水となる”チェック行動”という短期間ですぐできる行動部分と、そこから切り替えて使う実際の”ハマる”ような長時間かかるゲームのメイン部分の2つの組み合わせという設計をすることが大事です。このような階層的なゲームモデルがこの研究から示唆されます。
この記事は以下を参考に書きました。
Aalto University (2011, August 18). Study exposes habit formation in smartphone users. ScienceDaily. Retrieved August 22, 2011, from http://www.sciencedaily.com-/releases/2011/07/110725101222.htm
元の論文はこちら。
(文: SY)