予想どおりに不合理[増補版]
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ダン アリエリー Dan Ariely
早川書房
売り上げランキング: 3464
早川書房
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行動経済学者として有名なダン・アリエリーの本です。行動経済学というと、何やら経済学っぽいですが、ほぼ社会心理学の本と思ってもらっていいです。
ヒレカツ定食 900円
トンカツ定食 750円
チキンカツ定食 650円
とあると、真ん中のトンカツ定食が一番売れるというのは有名な話です。
一方、中古車屋さんで、
走行距離の多いA社の車
走行距離の普通のA社の車
走行距離の普通のB社の車
とあると、比較しやすいため走行距離の普通のA社の車が選ばれます。この本ではこのような事例がいろいろと書かれています。
例えば、アンカリングの実験として、学生に様々な商品を買ってもいいと思う値段を紙に書いて入札をしてもらいますが、一番上に学生番号の下2桁を書いてもらいます。すると、その学生番号の数字にひっぱられて入札金額が変わってしまいます。コードレストラックボールの平均入札金額は、学生番号の下2桁が00から19の人が8.6ドルなのに対して、学生番号の下2桁が80から99の人では26.2ドルと、約3倍になってしまいました。
また、保有効果の実験として、大学で稀少なバスケットボールの試合のチケットが当選した人に対して「チケットをいくらなら売りますか?」と質問して、外れた人に対して「チケットをいくらなら買いますか?」と質問をすると、この回答の値段は大きくことなります。
売る側は平均2400ドル、買う側は平均175ドルと10倍以上の差になっています。これはチケットに当選した人は、保有効果が働いてチケットにより高い価値を見出すからです。この実験の場合は通常の商品やチケットのように参考になる価格がないというもポイントになると思います。
このように様々な実験を行って、その結果どうなったのかが書かれているわけですが。それぞれが、人間は合理的な生き物である、という直感に反する結果になっています。もちろん、これらの合理的でない部分を認識しておくことで、間違った判断をする罠にかかりにくくなるとは思います。
値段もほど良い値段ですし、意外とページ数はありますが面白い実験がたくさん載っているのであっという間に読んでしまう本だと思います。
(文: SY)