ビジネスパーソンの仕事上の悩みの上位には必ず「時間が足りないこと」がランクインするそうです。
確かに私もやりたいことはあるけれどなかなか時間がうまく使えておらず、時間の使い方には常に悩まされています。
本書は、効率的に仕事を行い目標達成を目指すための行動科学に基づいたノウハウを紹介しています。
目標達成のための流れは
@目標を具体化
「英語をマスターしたい!」という目標は漠然としているので、「2年後にトーイックで900点を取る」といった具体的な目標に変換する。
A小さい課題(行動)にブレイクダウン
目標を具体化したら、それを小さい課題に分解します。
例えば先ほどの「2年後にトーイックで900点取る」という目標であれば、「1年後にはトーイックで850点取る」という小さい課題を設定します。さらに課題を小さく分解し「半年後には800点取る」というように細分化していきます。
半年後 800点
↓
1年後 850点
↓
2年後 900点
そして、こういった目標のために日々必要な行動を設定します(例えば「毎日トーイックのテキストを3ページする」「毎日単語を3つ覚える」など)。
この時設定する行動は、目標に効果のある行動を選択することが重要です。これをピンポイント行動と呼びます。
B即時強化でご褒美
ピンポイント行動を行うたびにご褒美を設定することで、こまめに行動が強化され行動が持続されます。
ここでいうご褒美とはケーキやカバンといったお金をかけたものである必要はありません。
本書では、ポイントカードを作り、ピンポイント行動を行うたびにスタンプやシールを貼るという工夫をお勧めしていました。
シールは私も活用したことがありますが、確かに大人でもシールやスタンプはなぜか心が躍るのでいいアイデアだと思います。
これらの流れは、それほど斬新というわけではないかもしれません。特に目標を小さな課題に細分化するということはさまざまな自己啓発書などで奨励されています。
しかしB目標のための小さな行動にも報酬を与える、という工夫は職場でもなかなか導入されていないのではないでしょうか?
職場での報酬といえばボーナスなどがありますが、望ましい行動や結果の直後にもらえるわけではないので、それほど効果があるものではありません。
それよりも日々のピンポイント行動(アポイントの電話を1日20件した、など)を実行するたびに、ポイントカードにシールを貼るというこまめな強化を行う方がずっと効果的です。
上記の即時強化の考え方はいかにも行動科学の理論に基づいた発想です。
また、机の整理や職場の整理整頓ではビジュアル化することを提唱しています。
机の引き出しの整理ではモノを置く場所を決めておく、ということはよく言われていることですが、ちゃんとそろった状態をイラストなどで視覚化しそれをすぐ見える場所に貼っておくことで、どこに何を戻すべきかが瞬時に理解することができます(これによってモノがどこにあるか探す手間が短縮されます)。
著者は「いわゆる天才を伸ばすことには興味がない」と述べています。そして行動科学とは「いつ・誰が・どこで」やっても同じような効果が得られる仕組みであり、本人のやる気や能力といったものは関係ないと力強く主張します。
行動科学という響きに冷たい印象を持つ人もいるかもしれませんが、実は人間の力を信頼したヒューマニスティックな学問と言ってもいいかもしれません。
『短期間で組織が変わる行動科学マネジメント』に比べると少し内容が薄いという欠点はありますが、その分著者自身の具体例なども豊富なため活用しやすく、石田淳ファン(私)にはたまらない本となっています。(文:山崎Y)
超! 自分マネジメント整理術 行動科学で3倍の成果を上げる方法
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