2011年09月15日
ツイッターの心理学
ツイッターの心理学の研究は、誰がツイートしているか?どのくらいツイートしているか?何を話しているか?そして、それはなぜか?、を明らかにします。
現在、世界で1.9億人(※)のユーザがツイッターをやっていて、毎日6500万人がツイートをしています。アメリカのインターネットユーザーの19%が、ツイッターか似たようなサービスを使っており、前年の2倍のユーザが使っています。
※訳注2010年時点
それでは、誰が、なぜ、何を、ツイートしているのでしょうか?そして、ただのちょっとした文字の転送システムが魅力的なんでしょうか?
ツイッターがなかった2006年までは無理でしたが、以前からのソーシャルネットワークにいていない面を研究から指摘されています。ここに10の研究があります。いくつかは明らかなものもあります。
私たちが研究にとりかかる前に、ツイッターに不慣れな人のために簡単な説明をしましょう。
ツイッターって何?
ツイッターは、ソーシャルネットワークとブログを混ぜあわせたものです。ブログとしては、ユーザーは公開された140文字の”ツイート”(つぶやき)を読み書きします。ソーシャルネットワークとしては、ユーザーは誰か他の人を”フォロー”して、他者と会話します。また、”リツイート”という仕組みや他者のメッセージを自分の他の”フォロー”している人に転送することができます。
1.ツイッターは、伝言ゲームのようなもの
メッセンジャーは短くて、素早くそして簡単に拡めることができます。ツイッターは、ユーザーに速いペースの会話を好ませます。(Boydら,2010) 通常の会話との違いは、様々なやりとりの中の一部となっていることです。それは、パーティーで10の違ったグループに同時に参加しているようなものです。
あなたが通常の会話で認識するプロセスの全ては、ツイッターでも行われています。多くの情報は、単に繰り返されます。しかし、メッセージは、人が自分なりに評価したり、再解釈や誤解をしたりすることで、伝言ゲームのようにだんだんと改変されていきます。
しかしツイッターは、違った方法でも使われるため、常に会話のようには捉えられていません。会話としてのみでなく、時々は指示や、驚きの表現や、考えることを助けるものです。言い換えれば、ツイッターはソーシャルであるだけでなく、情報システムの一部なのです。
2.人は、友達につられてツイッターを始める
Javaら2007の初期のツイッターのネットワーク分析は、人は友達が既に使っているから使う、ということを示しています。このネットワークは、電話のネットワークの分析結果に似ています。
ユーザーの多くは、単にインターネットに何かを期待した人です。新しいサービスはしばしば無料なので、ユーザーはこのような標準的な技術を簡単に”様子見”して、確認することができます。そして、よく知られたように、無料というのは私たちにとって大変に魅力的な価格です。ユーザーの数よりも、それを何に、そして何故つかっているのかの方が興味深いです。
3.ほとんどのツイートは、バブル
学問的な研究ではないですが、分析会社からツイッターでの1週間以上の話していた2000のツイートをカテゴリーに分けた結果があります。これらは6つのカテゴリーに分けられています(Javaら2007も同様の割合を報告しています)
1.無意味なバブル 41%
2.雑談 38%
3.リツイートなど 9%
4.宣伝 6%
5.スパム 4%
6.ニュース 4%
”無意味なバブル”と呼ぶものは、社会的なやりとりとも言われます、これは「おつかれ」、「おはよう」などのちょっとしたやりとりです。誰か「元気?」といって「うん、元気」、と返す時は、情報は少ないものの、”無意味”ではありません。
4.平均年齢は31歳
ツイッターユーザーの平均年齢(メジアン)は31歳です。MySpaceは26歳、フェイスブックは33歳、LinkedInは39歳です。予測される、ツイッター人口の増えそうな年代は18−24歳です。(Pew, 2009)
※この記事は2010年のものです。
5.男性はツイッターのリーダー
HeilとPiskorski,2009の研究は、ツイッターの性別の違いについて、いくつかの示唆があります。研究では、女性は男性よりもツイッターを少し多く使っています(ユーザーの55%は女性)、しかし、男性は女性よりも平均40%(※)多くフォロワーを持っています。また、男性は女性よりも2倍多く男性をフォローします、そして女性は男性を25%多くフォローします。一方、男性も女性もツイートする頻度は変わりません。
※訳注: 原文では15%だが、元の記事より修正。
この研究は、女性は男性と女性の両方からのソーシャルネットワークに注意を払っているという仮説を示しています。
”心理学的に男性と女性はとても似ている”という記事で指摘しているように、男女の性差のレポートは注意すべきです。しかし、ツイッターは、平均的には少し男性向きなのかもしれません。
6.20%は”インフォーマー”で、80%は”ミーフォーマー”
Naaman,2010は、ツイッターから集めた350のメッセージからユーザーを以下の2つに分けました。
・インフォーマー: 20%の、他者に情報を伝えたり、返事をしたりする人
・ミーフォーマー: 80%の、自分達自身についてついて話す人
インフォーマーは、多くの興味のあることを伝えたり、自分自身について話さないので、より大きなソーシャルネットワークを持つ傾向があります。
この2つの分類は、ツイッターを使う異なる方法のヒントになります。また、ツイッターの”会話”としての面が誇張されていることを示しています。もし80%のユーザーが他人に返事をしなければ、ソーシャルではありません。
7.トレンドは一回であり、短期的
特定の話題のツイートは稀に1週間以上続きますが、普通は2,3日も続きません(Kwakら,2010)。ほとんどの話題は、1回限りのトレンドですぐに消えて、普通は二度と戻ってきません。トレンドの85%は新しいものです。
このようにトレンドが短い理由は、特定のキーワードやフレーズが使われるのは、とても特定の具体的なものだからと考えられます。
8.平均ツイート数は1
ツイッターユーザーの人生でのツイートの中央値は1です(HeilとPiskorski,2009)。このことは、ほとんどの人はサインアップして他の人をフォローするか全然使わないことを示しています。繰り返しますが、これは”無料”の力が、参入の敷居を下げていることを示しています。
一方で、ユーザの10%がツイートの90%のを占めます。このことは、他のソーシャルメディアがそこまで一部に偏重ではないことと対照的です。HeilとPiskorskiは、この点は、Wikipediaのようだ、と述べています。たくさんのフォロワーのいるユーザの多く(全てではない)は、当然のことながら、有名人です。
この一部のヘビーユーザがいることは、興味深い人でいるということは、誰もが手に入れられる才能ではない、という事実を反映しています。ほんの少しの人だけが、有名である、興味ふかい、と思われる上手い方法をみつけています。
9.心配の存在が、ユーザーに興味を起こさせる
ツイッターはしばしば私たちの自己中心的な時代にとって完璧なものと厳しく言われます。それは、フォロワー(追従者)を集めて、自分たちについて語り、そして、それ以外のことを聞かないからです。
Qiuら,2010の研究は、社交的な人の間で、心配ごとの存在がツイートを起こさせることを示唆しています。同じ研究は、しかし、社交的でない人にとっては、このようなことが起こらないことも示しています。
ツイッターについてポジティブな言い方をすると、ツイッターは簡単に使える単に楽しいおもちゃにすぎない、のです。それは、ブログよりもかなり簡単で、めちゃくちゃできて、いろいろ書かなくてよくて、そしてインターネットを少し家庭的に使えるようになります。同時に、それはフェースブックや他のソーシャルネットワークのようにあなたにたくさんの情報を見せて支配しようとしたりしません。ツイッターは自分が見たいものだけを見えるもので、フェースブックほどソーシャルじゃないツールなのです。
10.ツイッターは、ソーシャルというよりも、情報
ツイッターは他のソーシャルネットワークよりも、より情報重視で、ソーシャルでないという意見がJohnsonとYang,2009から出されています。この二人は、人が他人のツイートを興味深い情報ソースとしてみなしていることを発見しました。
この研究によると、人はツイッターを通して見つけた情報から大きな満足を得ます。しかしながら、ソーシャルな面では満足するといったことはありません。
ネットワーク分析は、サイトのソーシャルな面を軽視します。ツイッターは、他のソーシャルネットワークよりも比較的に低レベルの相互関係を持ちます。ツイッターユーザーの22%だけが、相互的なリンクを持っていいます。一方、Flickrでは68%がYahoo!では84%が相互的な関係を持っています。
よく6次の隔たりといいますが、Kwakら,2010の研究は、ツイッターでは他の誰かとつながるには5以下のステップでつながり、93.5%は平均4.12ステップでつながることを示しました。このことは、多くのフォロワーを持つ少数の有名人がソーシャルネットワークの大きなハブになっているためです。
ツイッターの将来
もちろん上記のことは、まだ発展途中の研究からの考察の第一歩です。ツイッターの使い方や分析の新しくて興味深い方法がどんどんと作られています。それでは、ここから少し別の架空の冒険にでかけましょう。
HughesとPalen,2009の研究は、集合や緊急のイベントとしてのツイッターの使用についてみつけました。2つのハリケーンと、2つの政治討論の間のツイートは、人が互いに情報を共有するためのツイッターの使用が増えていることを示しています。
また、別のツイッターの情報についての特徴があります。ツイッターでは情報がソーシャルネットワークを素早く効果的に進むので、危機にはうってつけです。実際に、研究者はツイッターをモニタリングして地震のような緊急のイベントを見つけることができました。(Sakakiら,2010)
また、ツイッターは国の気分の指標にもなります。Alan Misloveらはアメリカの3億のツイートを集めて、感情の内容を解析して、”国の気分”のビデオを作りました。これは人々のツイートの感情的な内容が、日毎にどうかわっているかを示しています。赤がネガティブ、グリーンがポジティブです。
興味深いことに、ツイッターの分析は、以前の記事の”月曜はそんなに悪くない”という記事を裏付けるものにもなりました。
また、ツイッターは健康介入として研究者に使われはじめてもいます。(Young,2009)
ツイッターとマイクロブログの学術的な調査については、Danah Boydのサイトと、こちらの”最も影響のある心理学のツイッターアカウント”を参照してください。また、PsyBlogもツイッターをしています。
この記事はPSYBLOGの”Twitter: 10 Psychological Insights”を翻訳したものです。
(翻訳: SY)
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