2011年09月30日
心理学実験の”今そこにある未来”
(c) Graph-S|写真素材 PIXTA
フランスのマルセイユ大学のStephane Dufauらの研究は、"Science XL"というiPhoneアプリを使ったものです。この実験自体は、言葉と反応速度を調べる認知心理学実験ですが。この実験をスマートフォンでやっているところが画期的です。
この実験は3ヶ月間で5000人が参加しましたが、これをスマートフォンを使わずに研究室に来てもらってやろうとすると1年がかりです。また、交通費や謝礼を出すことを考えるとかなりのコストになってしまいます。これをスマートフォンを使うことで短期間・低コストで行うことが出来ました。
これまでもWebを使ってアンケートをするといったことはありましたが、Webを使った場合は反応速度などを測ることができませんでした(精度が悪すぎる)。スマートフォンを使うことで、反応速度を測ることができるようになり、より高度な実験を行うことができるようになりました。
現在はスマートフォンの保持者ということで被験者の属性が制限されてしまいますが、今後スマートフォンがさらに普及していくことでこのようなマイナス面も減っていき、心理学実験のプラットフォームとしてのスマートフォンの役割がどんどん大きくなっていくことでしょう。
このことは、分野にもよりますが心理学畑の学生にとっても、アプリ開発能力が大事になっていくことを意味するかもしれません。実際に自分で開発を出来ないまでも、どういったことが出来るのかを知っておくことや、すぐに開発できそうな友達を持っておくことが大事です。
この記事は以下を参考に書きました。
University of Royal Holloway London. "Smartphones revolutionize psychological experiments." ScienceDaily, 29 Sep. 2011. Web. 30 Sep. 2011.
元の論文はこちら。
Stephane Dufau, Jon Andoni Duñabeitia, Carmen Moret-Tatay, Aileen McGonigal, David Peeters, F.-Xavier Alario, David A. Balota, Marc Brysbaert, Manuel Carreiras, Ludovic Ferrand, Maria Ktori, Manuel Perea, Kathy Rastle, Olivier Sasburg, Melvin J. Yap, Johannes C. Ziegler, Jonathan Grainger. Smart Phone, Smart Science: How the Use of Smartphones Can Revolutionize Research in Cognitive Science. PLoS ONE, 2011; 6 (9): e24974 DOI: 10.1371/journal.pone.0024974
(文: SY)
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/48252253
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
http://blog.sakura.ne.jp/tb/48252253
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック