2011年10月03日

男だって協調性がある!

握手 - 写真素材
(c) shouストックフォト PIXTA


女性は男性よりも、周りと協調することが上手いと言われています。たしかに私たちの生活を考えると、女性の方が周りの雰囲気に合わせることが上手い気がします。しかし、この直感は正しいのでしょうか?

シンガポールマネージメント大学とオランダのアムステルダム自由大学の両方に属するDaniel Ballietらの研究は、過去50年の社会的ジレンマについての272の研究を対象としたメタ分析です。メタ分析というのは、これまでに行われた様々な研究の結果を集めてさらに精度を高めた研究です。このメタ分析の対象はアメリカ、オランダ、イギリス、日本を中心とした18ヶ国のもので、延べ31,642人を対象としています。


ちなみに社会的ジレンマというのは、囚人のゲームとして知られているような状況です。囚人のゲームでは、二人が黙秘すれば二人とも解放される、片方が自白してもう一方が自白すれば自白した人はより軽い刑で黙秘した人は重罪、二人とも自白したら普通の罪になる、といったものです。

この囚人のジレンマのような社会的ジレンマの状況は、個人の利益と社会の利益のどちらを重視するかといった問題といえ、通常の生活においてもよくある状況です。例えば、個人的には残業したくないけど残業をすれば、会社にとっては利益になるといった状況や、原始時代においては猛獣を狩る時に誰が先陣になるかといった状況になります。


この研究では、社会的ジレンマの状況では、男性も女性と同じくらい協調的な行動をすることが分かりました。さらに、男性は相手が男性の場合により協調的になり女性も相手が男性の場合により協調的になることが分かりました。

この研究では、この男性は男性と、女性も男性とより協調する理由を進化心理学的に説明しています。昔は、男性は狩猟や戦いのために男性と協調する必要がありました。一方、女性は多くの場合は男性を取り合うという点で他の女性が敵になり、男性は味方になります。また原始的社会では女性は成人すると他の部族に行くことが多く、女性は部族内の他の女性とは血縁でないため協調しないということになります。

この理由付けが正しいかどうかはともかくとして、研究の結果は意外なものだと思います。

一般的には”女性の方が男性よりも協調的である”と言われていますが、実際には違うようですね。私も人あたりの柔らかさやコミュニケーションスタイルと協調性を混同していたようです。


この記事は以下の記事を参考に書きました。
American Psychological Association. "Men and women cooperate equally for the common good, study finds." ScienceDaily, 22 Sep. 2011. Web. 3 Oct. 2011.

元の論文はこちら。
Daniel Balliet, Norman P. Li, Shane J. Macfarlan, Mark Van Vugt. Sex differences in cooperation: A meta-analytic review of social dilemmas.. Psychological Bulletin, 2011; DOI: 10.1037/a0025354


(文: SY)
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