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(c) Daichi|画像素材 PIXTA
スポーツにおいて、”ノッテる”、”ノッテない”というのが本当にあるのか、それともバラツキを勝手に解釈しているだけなのかは難しい問題です。
この問題については、トマス・ギロビッチの研究が有名で、彼の書いた”人間、この信じやすきもの”という本にも載っています。この研究はバスケットボールのフリースローの結果について、1投目のフリースローの成功/不成功の結果は、次のフリースローの成功率と相関がないというものです。ギロビッチは非常に有名な心理学者でこの本も有名なため、この結果も広く知られています。そして、この結果は、”ノッテる”、”ノッテない”というのが幻想であることを示唆しています。
この研究が正しいのかどうかを、イェール大学のGur Yaariとイスラエルのエルサレム・ヘブライ大学の Shmuel Eisenmannが2005年から2010年のNBAの300,000回の以上のフリースローのデータを元に研究しました。
この新しい研究によると、よく知られたギロビッチの結果に反して、スポーツでは”ノッテる”、”ノッテない”ということが本当にあるようです。この研究の結果、1回目をミスした場合、2回目のフリースローの成功率が72-73%程度なのが、1回目を成功した場合、2回目のフリースローの成功率は78-80%程度になります。このように、1投目に成功すると、有意にフリースローの成功率が上がっているのです。
元のギロビッチの研究から25年経っています。ギロビッチの研究は、1シーズンの1チームのデータ、および2シーズンの別の1チームのデータを元にしていました。Yaariらは、より大規模なデータを使うことで以前の研究の結果の誤りを示したのです。
元の論文情報はこちら。
Gur Yaari, Shmuel Eisenmann. The Hot (Invisible?) Hand: Can Time Sequence Patterns of Success/Failure in Sports Be Modeled as Repeated Random Independent Trials? PLoS ONE, 2011; 6 (10): e24532 DOI: 10.1371/journal.pone.0024532
この記事は以下を参考に書きました。
Yale University. "Athletes' winning streaks may not be all in our -- or their -- heads." ScienceDaily, 5 Oct. 2011. Web. 7 Oct. 2011.
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(文: SY)