2011年10月15日
目標設定のダークサイド
(c) shen|写真素材 PIXTA
目標はどこにでもあります、しかし目標設定は全てがいいものでなく、危険でもあります。
目標設定についてはたくさんのことが言われています。また、個人にとっても、企業にとっても、政府にとっても、信仰の対象にまでなってきていて、現代の労働者は、しばしば、自分自身を目標に向かわせるために、自分でパフォーマンスのレビューをしています。目標がしばしばバカバカしかったり、無意味なものだったりするという事実もあるののに、それはどうやら無関係なようです。
すべての国が目標に向けて行動しています。他の国と同様に、ここイギリスでも政治家は目標設定をしています。経済指標から保険医療の改善項目や犯罪指標まであらゆることに目標が設定されていて、計測できるものは目標とされてしまいます。
制御できない目標
心理学者は、目標設定への並外れた流行の一端を担っています。1970年代から1980年代の大規模な研究は、どのように人が目標に反応するかを伝えます。
BanduraとSimon,1977の初期の研究では、平均より50%オーバーの肥満の人を被験者としました。これらの被験者は、食事行動を変えることがとても難しい人で、多くは子供の頃から肥満でした。
彼らの減量実験では、あるグループは食事をできるだけ制限するようにと言われ、もう一方は具体的な目標を決められました。
4週間後、できるだけ制限すると言われた人に比べて、具体的な目標を決められた人は2倍食事量を減らしました。
このように具体的な目標の力は、長らくあらゆる分野において発見されています。例えば、食品工場の労働者は、具体的な目標を示されることで、劇的にパフォーマンスが上がり、怪我も減ります。
コールセンターでの研究では、具体的な目標を設定することで病欠が減り、安全性とパフォーマンスが向上しました。
肉体的および認知的なタスクは、具体的な目標によって促進されます。エンジニアと科学者に対する研究でも、ベストを尽くすという形や目標が全くないよりも、目標が具体的ならばよりパフォーマンスが上がるという結果があります。
反動が始まる
具体的な目標の力が有効であるという研究は無数にあり、また具体的な目標は曖昧さを減らします。マネージャーが「ベストを尽くせ」と伝える時、それは相手に解釈の余地を残してしまいます。他の人の「ベスト」は、あなたが考えている「ベスト」よりも少ないかもしれません。もし目標が曖昧ならば、人は自分勝手に解釈します。そのためにも明確な目標がいいのです。少なくとも理論的には。
ただし、実際には予想外の結果になることもあります。ここに悪い目標設定の副作用を書きます。(Ordonezら,2009)
・具体的すぎる
具体的すぎる目標に取り組むのは用意ですが、全体を見失ってしまうことがあります。個別の目標は、最終目標に従うものであって、個別の目標に全てが従うわけではありません。
・多すぎる
目標が多すぎると、簡単な目標に集中してしまいがちです。そして、難しい目標が重要なものだと、最終目標に失敗してしまいます。
・短すぎる
短期的な目標は、短期志向を生んでしまいます。ビジネスを5年、10年、20年と続けていくのでしょうか?ニューヨークで雨の日にタクシーを捕まえるのが難しい理由は、運転手はそれほど良い仕事ではないから、運転手はその日の目標を達成したら家に早く帰ってしまうのです。どうして、儲かる時に仕事を止めてしまうのでしょうか?それは、目標設定の期間が短すぎるからです。
また、よくない目標設定が我々の学習能力やモチベーションに害をなすという証拠もあります。さらに目標を達成しようと倫理的でない行動をしてしまうこともあります。
個人的な目標設定
組織心理学の研究には様々な示唆があります。組織心理学は、従業員にベストなパフォーマンスを出させるように管理するためのものです。
組織心理学で言われていることは、悪い目標設定は職場や組織において実行されるかもしれないが、基本的な考え方は正しいということです。もし、自分が具体的な目標を設定したら、目標がよいものである限りは、あなたはよりよく実行できます。
最終目標から逸れないために、目標設定のダークサイドを覚えておくことは価値のあることです。目標は役に立つかも知れませんが、目標があまりにも柔軟すぎてもいけません。
また、他人でなく自分で目標を設定する時、完全にコントロールする利点があります。もし上手くいかなかったら、目標を捨てることができます。適切でなくなれば、変更することができます。漠然と1つか2つの目標を持つことは、悪いことではありません。
目標がパフォーマンスをしばしば改善することにはほとんど疑問の余地がありません。しかし、多くの組織のように目標の奴隷にならないようにしなければなりません。
この記事はPSYBLOGの"The Dark Side of Goal-Setting"を翻訳したものです。
(翻訳: SY)
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