2011年11月30日

見積もり時間はいつも少なめ

腕時計とキーボード - 写真素材
(c) YsPhoto画像素材 PIXTA


”計画の誤り”(planning fallacy)というのはよく言われます。実際に、人は作業の見積もりが苦手というのは散々言われています。

では、実際にはどうなんでしょうか?

Buehlerら,1994の研究によると、大学生が学位論文を書くのにかかった時間は、”現実的な見積もり”よりも3週間長く、また”最悪かかる見積”よりも1週間長くかかりました。

また、Buehler, Griffin, とRoss,2002の研究では、学生がレポートにかかる時間を見積もりました。その結果、”50%の確率で終わる時間の見積もり”に終わった人は13%、”99%の確率で終わる時間の見積もり”に終わった人は45%となりました。


このように人は直感で見積もりをすると実際にかかるよりも、かなり短い見積をしてしまいます。もちろん、このような傾向があってもより正確に見積もる方法はあります。仕事で定期的に見積もりをしている人ならば実践しているように、きちんと記録し続けて、見積もりを実際を見直すことでより正確な見積もりをすることができます。

また、記録をすることで、自分の見積の傾向が分かります。例えば「違和感があっても、出した見積の1.5倍にするとちょうどいい」といったことが経験的に分かってきます。完全に初めて行うような仕事の見積もりは、これまでの経験がききません。これも、記録をしていれば、「違和感があっても見積もりの2倍で、最悪ベースについては最初にふと思ったものの3倍くらいでちょうどいい」といった経験を得ていくのではないでしょうか?


この記事はDavid Dunningら,2004の"Flawed Self-Assessment Implications for Health, Education, and the Workplace"を参考に書きました。


参考文献:
Buehler, R., Griffin, D., & Ross, M. (1994). Exploring the ‘‘planning
fallacy’’: Why people underestimate their task completion times. Journal of Personality and Social Psychology, 67, 366–381.

Buehler, R., Griffin, D., & Ross, M. (2002). Inside the planning fallacy: The causes and consequences of optimistic time predictions. In T. Gilovich, D. Griffin, & D. Kahneman (Eds.), Heuristics and biases: The psychology of intuitive judgment (pp. 251–270). Cambridge, England: Cambridge University Press.


(文: SY)
posted by さいころ at 06:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 発想法・問題解決
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