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レオン・フェスティンガーの認知的不協和(cognitive dissonance)として知られるものは、人は2つの矛盾する認知に直面した時(認知の不協和状態)に、どちらかの認知にもう一方を合わせることでこの不協和状態を解消するというものです。
例えば、”タバコを吸っている”人が、”タバコは身体に悪い”という情報を得た時に、”でも自分は運動をしているから大丈夫”といった理由を作り出します。
A タバコを吸っている
B タバコは身体に悪い
だったのが、
A タバコを吸っている
B’ タバコは身体に悪い、が自分は運動をしているから大丈夫
と変わるのです。
この認知的不協和の実験として有名なのは、FestingerとCarlsmith,1959の実験です。これは、71人のスタンフォード大学の男子学生を被験者として、”実験として”つまらない作業をさせました。この後、別の被験者に、「この実験は楽しかった」と言います。なお、この実験では、被験者はそれぞれ、1ドル、20ドルの報酬をもらっていました。
その後に、この実験を楽しめたかどうかを聞いたところ、1ドルをもらった被験者の方が実験を楽しんだと答えました。また、1ドルをもらった被験者の方が実験の意義も感じていました。これは、
1ドルの被験者 あまり報酬も貰えなかった、楽しかったと他の人に伝えた
20ドルの被験者 報酬はたくさん貰えた、楽しかったと他の人に伝えた
1ドルの被験者は、「少ない報酬、楽しかったと言った」ことから、「少ない報酬だったが、実験に意義があって、楽しい作業だった」と思うのです。一方20ドルもらった被験者は、「楽しくない作業でも、報酬のために面白かったと言った」と思うことができます。
この認知的不協和は、自分の考えや行動を後づけで正当化するものとみなすことができます。このような認知的不協和が、自分や他人に常に働いていることに注意しないといけません。
(文: SY)