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コーネル大学のDavid Dunningらは、大学2年の学生141人の実際のテストの成績と、成績と実力についての自己評価を使って、自分の能力を人はどのように見ているかを研究しました。

このグラフは縦軸が認識した順位で、菱形のマークが自分の本当の実力、正方形が自分の今回の成績、▲が実際のテストの点数の順位です。そして、横軸の右にいくほど実際の順位が高い人です。
これを見るとわかるように、成績が悪い人ほど自分の実際の成績と成績の自己評価の差が大きくなっていることが分かります。そして、上位20%位の人はこれが逆転して、自分の実際の成績が自己評価を上回っています。
この理由の1つめは、まず成績が高い人ほど、実際の問題を解く能力が高いだけでなくメタ認知能力が高く、自己認識を正確にしているようです。逆に、成績が悪い人は、実際に問題が解けないだけでなく、自分が解けたかどうかも分からないということになります。
また、成績がトップ20%近くの人が自分の成績が想像していたよりもよくなっているのは、成績上位者は自分が解けなかった問題がわかるだけでなく、他人はその問題が解けているに違いないと想像するためです。つまり、”勉強の出来る”自分の物差しで他人を測っているために、結果的に自分は他人よりも出来ていないと思ってしまうようです。
人は自分の成績が思ったよりもいいと思ってしまうようです。私も、学生時代の通知表などが出てきて、思ったよりも悪くてゲッソリするのですが、これはこの効果でしょうか。いや、もう今更すぎてどうでもいいですが...
この記事は以下を参考に書きました。
David Dunningら,2003,"Why People Fail to Recognize Their Own Incompetence" ,Current Directions in Psychological Science, Vol. 12, No. 3. (1 June 2003), pp. 83-87. doi:10.1111/1467-8721.01235 Key: citeulike:460284
(文: SY)