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少し前に”スポーツでノッテる?ノッテない?”という記事で、プロバスケットボールの1投目のフリースローが成功していると、2投目の成功率が高いという記事を書きました。これは有名なギロビッチの実験の結果”1投目と2投目の結果は無関係である”というのをくつがえす面白い結果でした。
イスラエルのヘブライ大学のTal NeimanとYonatan Loewensteinは、バスケットボールの3ポイントシュートについてのNBAとWNBAの2シーズンのデータを使って調査をしました。バスケットボールの3ポイントシュートは、通常のシュート(2ポイント)と違って、ゴールから離れたところから行う難しいショットで、NBAでスリーポイントシュートの名手として有名なレジー・ミラーですら成功率が40%しかありません。その代わりに成功した場合の得点が1.5倍になり、またディフェンス側をゴール前から引き出すためにも有効なショットです。
この研究の結果分かったことは、まず3ポイントシュートを成功させると、その後も3ポイントシュートを選択することが多いということです。これは「調子がいい」などと考えて、より多く成功したことを続けるという点では合理的な選択です。
しかし、これが影響しているのか、3ポイントシュートを成功した後は、その後の3ポイントシュートの成功率が下がっていることが分かりました。3ポイントシュートを成功させたことで、効率的に成功できるエリアの外からでも3ポイントシュートを狙ってしまったためと考えられます。
図では簡単のため難易度を距離だけで書いています。いつも成功する距離で決まったならば、調子がよい時はもう少し遠くからでもスリーポイントシュートを狙うのが合理的な判断で、実際にスリーポイントシュートを成功した後は、再度スリーポイントシュートを狙うことが増えています。しかし、スリーポイントシュートの成功率が落ちているということから、本来の最適な場所よりもさらに遠くからでもスリーポイントシュートを狙っていると考えられます。つまり「調子にのって自滅する」という傾向が確認できたと言えます。
前回書いた記事はフリースローという全く同じ状況で好調不調の波はあるかという内容の記事だったのですが、今回のスリーポイントシュートについては成功してしまうと、それ以降のショット選択に過剰に影響を与えてしまい、難しすぎる状況でもスリーポイントシュートを狙ってしまうということです。
この記事は以下を参考に書きました。
Tal NeimanとYonatan Loewenstein, 2011, Reinforcement learning in professional basketball players, Nature Communications 2, Article number: 569 doi:10.1038/ncomms1580
(文: SY)

