2012年01月25日

精神病は見分けられる?ローゼンハン実験

医療イメージ - 写真素材
(c) UYORI写真素材 PIXTA


昨日は私の39歳の誕生日でした!!自分におめでとう!!!というわけで、1973年に行われた有名な心理学の実験を紹介します。

デビッド・ローゼンハンが1973年に行った実験は、精神病院の患者の判断能力を調べるもので2つの実験からなります。

1つめの実験は、アメリカで3人の女性と5人の男性が”偽の患者”として、幻聴が聞こえるフリをしていくつかの精神病院に入るというものです。どの精神病院でも幻聴のフリをした”偽の患者”は入院を許可されました。その後”偽の患者”は普通に戻って、「もう幻聴は聞こえない」とスタッフに言ったのですが、どの患者も退院を許さませんでした。

この1つめの実験では、精神病院は”偽の患者”を本物の患者と間違えるということを明らかにしました。


2つめの実験は、精神病院に「偽の患者を送り込むよ!」と宣言をするというものです。そして病院は193人の患者のうち、41人が”偽の患者”かもしれないと判断しました。さらに、うち19人は少なくとも精神科医と別のスタッフから”偽の患者”と見なされました。しかし、実際にはローゼンハンは一人も”偽の患者”を送り込んでいなかったというものです。

この2つめの実験では、精神病院は本物の患者を”偽の患者”と間違えるということが明らかになりました。


人の心や精神病というのは非常に難しいものです。一方で、学問としては、個人の能力や才能に依存しないことや科学的であることが必要とされます。

このローゼンハン実験を読んで、カール・ポパーが著書「推測と反駁」でアドラーについて書いた以下の話を思い出しました。

1919年のあるとき、わたくしは格別アドラー的とも思われないような一事例をかれに報告したことがある。しかし、かれは、その小児患者を見たことさえないのに、自分の劣等感理論によってその事例を事もなげに分析してみせたのである。わたくしは、少しばかりショックを感じて、どうしてそれほど確信がもてるのか、とかれに尋ねるとかれは「こういった例は千回も経験しているからだよ」と答えたので、わたくしはとうとう次のように言わざるを得なくなったのであった。「でもこの新しい事例で、先生の経験は千1回目になるんだと思いますが」と。

(藤本隆志ら訳、法政大学出版局版より引用)

今回のニュースは一見あまりビジネスには関係ありませんが、このような曖昧な技能でなく、ちゃんと分かるエビデンス(証拠)ベースの考え方こそが大事というのは、ジェフリー・フェッファーがよく書いていることですね。


元の論文情報はこちら
David Rosenhan, 1973, "On being sane in insane places", Science 179 (4070): p.250–8. doi:10.1126/science.179.4070.250

ローゼンハン実験についてビデオはこちら。


(文: SY)

ローゼンハン実験も紹介されています。
心は実験できるか―20世紀心理学実験物語
ローレン スレイター
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 158778



バリバリのビジネス書です。エビデンスに基づきましょう、ということを述べています。オススメ!
事実に基づいた経営―なぜ「当たり前」ができないのか?
ジェフリー フェファー ロバート・I. サットン
東洋経済新報社
売り上げランキング: 260207



ポパーの本はこちら。アドラーとのエピソードが載ってます(他の本でも載っていた気がしますが..)
推測と反駁-科学的知識の発展-〈新装版〉 (叢書・ウニベルシタス)
カール・R.ポパー
法政大学出版局
売り上げランキング: 465086

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/53294550
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック