もし、あなたのお気に入りのサッカーチームが大事な試合で負けた時にどういう気持になるでしょうか?定期試験で苦手科目に落第したらどういう気持になるでしょうか?
この答えは「悲しくなるけど、想像してたほどではない」だと思います。これまでの心理学の研究では、人は自分の感情を予測するのが上手くないと言われてきました。また、それに関連して、人は思ったほど悪くはならないので”保険は控えめに”といった記事も書きました。
それでは、「悲しくなるけど、想像してたほどではない」というのは本当なのでしょうか?
テキサス大学のサミュエル・ゴスリングらは、感情の予測に関する11の研究のメタ分析(似た多くの研究をまとめて1つの知見を得るもの)をしました。この結果から分かったことは、「悲しくなるけど、想像してたほどではないかもしれないし、想像通りかもしれない」というものです。
以前から言われているように、人は自分に何かおこった時の悲しい感情を予測することは苦手で実際よりも悲しくなると予測します。しかし、予測する際に、実際の自分の悲しさという絶対的な悲しさでなく、相対的な悲しさ(グループの中で自分はどのくらい悲しくなるか)を予測する場合はそれなりに正確です。また、例えば試験に落第すると悲しくなるが、その悲しみは落ちる前にあれこれ考えているほどではない、ということを知っていることで、その悲しみを低減することもできます。あれ?あまり新しい知見がない気もしますが...
人は未来を予測する際に、特に自分の感情については悲観的な傾向がありますが(逆に楽しいことも過大に評価しがちなので無駄な浪費をしちゃうこともある)、この傾向を知ることと、他の人との比較で考えることで少し客観的になれそうですね。
この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "Are we bad at forecasting our emotions? It depends on how you measure accuracy." ScienceDaily, 27 Jan. 2012. Web. 30 Jan. 2012.
元の論文情報はこちら。
Samuel D. Gosling and Michael Tyler Mathieu, 2012, The Accuracy or Inaccuracy of Affective Forecasts Depends on How Accuracy Is Indexed: A Meta-Analysis of Past Studies., Psychological Science, 2012
(文・絵: やまざきしんじ)
ゴスリングの書いた本です。私は未読ですが^^;;