
ウィチタ大学の David Xuの研究は、擬似的な株売買のゲームを使って、ブローカーがバイヤーをどのくらい騙すか?というものです。
この株取引は170人を対象とした実験で、テキストチャット、オーディオチャット、ビデオ、実際に会う、の4種類の方法で行われました。ここでブローカーは、株が不正操作されていることを知っていますが、買い手はそれを知らされていません。そして、ゲームの後に買い手が、どのくらい騙されたかというのを確認したというものです。
この結果から、テキストメッセージ、ビデオ、実際に会う、オーディオチャットの順に相手を騙しやすい(騙してしまいやすい?)ことが分かりました。
以前書いた”電子メールでは嘘をつきやすい”という記事では、電子メールは手紙よりも嘘をつきやすいという内容を紹介しましたが、この内容とほぼ同じと考えられます。
人はその行動の結果との心理的距離が離れていることで、標準的なモラルからより逸脱するというバンデューラ(Bandula)のモラル離脱(moral disengagement)フレームワークがほぼ当てはまるのではないでしょうか?
※ただし、オーディオチャットと実際に会うの順番がこの理論から導き出される予想と違うので、この部分の検討は必要です。
知らない人や遠くの場所やテキストメッセージといった心理的距離が遠い場合に、人はモラルから逸脱しやすいものです。逆にこの傾向を知ることで相手に嘘をつかせないヒントも得られると思います。
この記事はウィチタ大学の”WSU researcher: People lie more when texting”を参考に書きました。
(文・絵: やまざきしんじ)