
人は、見えているものをそのまま見ているわけではないというのはよく言われています。これは、食べ物についても同様でお腹が空いていると食べ物が明るく見えているようです。
フランスのニース・ソフィア・アンチポリス大学のRémi Radelらの実験を紹介します。標準体重の42人の学生を使って実験をしました。3,4時間何も食べないで正午に研究室に来てもらいました。そして、片方のグループでは食事をしてもらって、片方のグループでは待ってもらってから空腹のまま実験をしました。
この実験はコンピュータの画面に1/300秒という人が認識できるぎりぎりの時間だけ映した80の単語を見て、表示されてた文字の明るさがどのくらいだったと思うかを調べるというものです。この実験から、空腹な人は、食べ物に関する用語はより明るく見えるということが分かりました。
食べ物は明るく見えると美味しそうに見えるというのは知っていると思いますが、人は空腹になると食べ物に関するものが実際に明るく見えてしまうということですね。
元の論文情報はこちら。
Rémi Radelら, 2012, "Evidence of Motivational Influences in Early Visual Perception: Hunger Modulates Conscious Access.", Psychological Science, 2012
この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "When our eyes serve our stomach." ScienceDaily, 2 Mar. 2012. Web. 6 Mar. 2012.
(文・絵: やまざきしんじ)