2012年03月17日

ストップorゴー?衝動性の心理学

アクティブだと衝動的.jpg

マシュマロの実験などでも分かるように、セルフコントロールは成功のポイントになります。一方で、世の中では、”まずやる”、”思いたったら行動”といった言葉ももてはやされています。果たして、このような行動を急かすような言葉はセルフコントロールに影響を与えるのでしょうか?


イリノイ大学の学部生Justin Heplerの実験は、このことを明確にするものです。

1つめの実験では、被験者は、”はじめ”や”アクティブ”といった行動に関する単語か、”停止”や”休止”といった静止に関する単語のどちらかを一瞬見せられてから、セルフコントロールのテストをします。これは、すぐに報酬をもらうか、後でより多くの報酬をもらうかを選ぶものです。

この結果、”はじめ”や”アクティブ”など行動に関する単語を見せられた人は、セルフコントロールが低下しました。つまり、目の前の報酬を選んだのです。

2つめの実験では、同様に一瞬単語を見せられますが、その後で禁止ワードを判断するような簡単なコンピュータゲームをやりました。この実験でも同様に、セルフコントロールが低下していました。


この2つの実験ともに、”はじめ”や”アクティブ”といった行動に関する言葉が、セルフコントロールを失わせることを意味しています。過剰に、”やってみる”、”行動的”というモットーはもちろんやらない人が大部分な世界においては有利に働くかもしれません。一方で、セルフコントロールを失って、目の前のことに飛びつきやすい傾向にしてもいるようです。


心理学では、学部生がこのように面白い研究をしていることも多いですよね。大発見ではないですが、面白い実験で人の行動が少しづつ分かっていくのが心理学の醍醐味だと思います。


この記事はイリノイ大学の"Study suggests motivation to be active may lead to impulsive behavior"を参考に書きました。


(文・絵: やまざきしんじ)
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