2012年03月26日

もう一歩踏み込むフット・イン・ザ・ドアで、さらにカイゼン

さらに一歩.jpg

フランスの南ブルターニュ大学のVirginie Herboutらの研究は、従業員19000人のテーブルウェアの世界的企業での約半年の5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)に使われた、フット・イン・ザ・ドアについての研究です。

フット・イン・ザ・ドアというのは、相手にお願いをする時に小さなお願いをしておくと相手はお願いを聞きやすくなるというものです。例えば、相手に、寄付をお願いする前に、「簡単な3つの質問だけのアンケートにご協力ください」とお願いしておくと、その後に寄付をしてもらえる確率が増えます。

さいころニュースでも”一貫性の魔力”としてフット・イン・ザ・ドアについて解説したことがあります。また、フット・イン・ザ・ドアに加えてさらに説得力を増す”自由だ”テクニックの解説でも、フット・イン・ザ・ドアの効果を書きました。


この研究では、5Sのプロジェクトに呼ばれた従業員は、最初に簡単なアンケートに答えます。これがフット・イン・ザ・ドアになっています。

ただし、一部の人達は、この簡単なアンケートの前に10人ごとの小グループで、以下のことを質問されます。
・あなたの環境で、最初に5Sに取り組むべきなのはどこか?
・5Sによって、あなたの仕事がどうなるか想像してください。
・誰が5Sプロジェクトに興味を持ちそうか?誰が自発的に5Sをしていたか?どのようなことをしていたか?

そして、この質問後に、それぞれが「このプロジェクトに感じていること」、「やろうとすること」、「プロジェクトへの期待」をみんなの前で書きだすということを行いました。


この結果、単なるフット・イン・ザ・ドアのグループと、最初にみんなの前で書き出したグループとでは、5S活動の行動数が変わりました。

もう一歩踏み込むフット・イン・ザ・ドア.001.jpg


また、行動数だけでなくその行動の難しさを5段階で評価すると、以下のようにみんなの前で書き出しグループの方が複雑な5Sの活動も行なっていました。

もう一歩踏み込むフット・イン・ザ・ドア.002.jpg


見て分かるようにフット・イン・ザ・ドアといっても、少し拡張をすることで効果が増えることが分かります。これは2回のフット・イン・ザ・ドアを使用した効果とも言えますし、また同時にみんなに見えるようにした効果とも言えます。この両方の方法はそれぞれ効果があるという研究は別にありますが、この実験では2つの効果の切り分けは行われていません。

原因の探求は別にしても、このようにフット・イン・ザ・ドアをもう一歩踏み込むことで、さらに効果があるということは明らかなようです。


この記事は以下の論文を参考にしました。
Virginie Herboutら, 2008, "Foot-In-The-Door Application in Organization: How Employees Could be More Effective?", European Journal of Scientific Research Vol.21 No.4 (2008), pp.729-735


(文・絵: やまざきしんじ)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/54633705
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック