2012年04月24日
悲しい出来ごとは覚えてる?性格や性別で変わる?
自伝的記憶というのは、自分の人生を振り返った時の思い出す出来事です。
私は、大学2年生の時に、留年リーチで迎えた物理(熱力学)の試験をときどき思い出します。また高校の入学式の日に教室でラブクラフト全集を一人ポツネンと読んでいたことも強い記憶があります。
では、自伝的記憶ではどのようなことを思い出しやすいのでしょうか?
カナダのアルバータ大学のEkaterina Denkovaらの研究はこの自伝的記憶に関するものです。この研究では平均21.3歳の18−34歳の71人の被験者に、「家族の誕生を覚えていますか?」、「入院したことありますか?」などの115の自伝的記憶を聞き出して、性別や性格と覚えていることの間の関係を調べました。
まず、外向性の高い人は、男女共にネガティブなことよりもポジティブなことをより覚えている傾向があります。やはり、外向性は記憶にもポジティブな影響を与えているんですね。
一方、 神経症傾向の高い男性は、神経症傾向の低い男性よりも、よりネガティブなことを思い出します。神経症傾向の高い女性では、同じネガティブなことを何度も何度も思い出す傾向があります。ちなみにこのような記憶の反芻はうつ病に関係していることが知られており、あまりよくない傾向かもしれません。ネガティブな記憶の反芻は落ち込んだ時に、ネガティブな記憶を思い出して悲しみ、そしてその結果さらにネガティブな記憶を思い出すという悪循環になるのです。
また、ネガティブな記憶を思い出す、”再評価”という方法で記憶に対峙する男性は、ネガティブなものをよりポジティブな記憶に”再評価”できる傾向があります。一方、ネガティブなことを思い出さない”抑圧”をする人は、特に効果がありませんでした。
一方で、女性で、ネガティブなことを思い出さない”抑圧”をする人はネガティブなことを思い出しやすく、気分も落ち込みがちでした。
これを見ると、女性の方がネガティブな記憶への対処が苦手なようですね。性格や性別が記憶に影響を当たるのは、言われていれば当たり前だと思いますが、全然思いもよりませんでした。
この記事はイリノイ大学の"Personality, habits of thought and gender influence how we remember"を参考に書きました。
(文・絵: やまざきしんじ)
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