ウィスコンシン大学マジソン校のRobin TannerとAhreum Maengの研究は、タイガー・ウッズの顔をモーフィング(コンピュータ処理をして2つの顔を混ぜ合わせるもの)すると、消費者にどのような反応があるかというものです。
この研究の中の1つの実験は319人の学生を対象としたものです。
まず、元画像のセールスマンの写真がありますが、これに35%だけタイガー・ウッズをブレンドしたものと、タイガーと同じくらいの年齢で魅力度の別人の男性を35%ブレンドしたものの2つの画像を用意します。

上の画像の赤い四角の2つの画像が、タイガー・ウッズブレンドと、別人ブレンドの2つの顔です。真ん中の画像はいわれてみれば、タイガー・ウッズに似てなくもないなー、といったレベルじゃないでしょうか?
そして、まず167人の学生を対象としてこのセールスマンから買いたいかを、+5(ぜひ買いたい)から、-5(絶対買いたくない)までの11段階で評価してもらいました。ちなみにこれは、タイガー・ウッズのスキャンダル(不倫騒動)の前に評価したものです。

結果を見て分かるように、タイガー・ウッズに少し似ているサラリーマンからは商品をより買いたいと評価されます。
次に、タイガー・ウッズのスキャンダルの3ヶ月後に残りの152人が同様に評価をしました。

これを見ると分かるように、スキャンダル後はタイガー・ウッズに似ているセールスマンからは買いたくないと感じているようです。
この実験自体はとても面白いものだと思います。たまたま評価の途中でスキャンダルが起こったからできたもののようです。
さて、この実験は何を示しているでしょうか?写真を見て分かるように、タイガー・ウッズに似ていると言われないと分からないような程度でも、好感度に評価するということです。これからはCGやモーフィングなどを駆使して、消費者が分からないようにタレントの顔などと合成することで、知らない間に好感度が上がるようなマーケティング行われるかもしれませんね。
(この記事中の写真は論文から引用しました)
この記事は以下の論文を参考にしました。
Robin TannerとAhreum Maeng, 2012, "A Tiger and a President: Imperceptible Celebrity Facial Cues Influence Trust and Preference.", Journal of Consumer Research, December 2012, DOI: 10.1086/665412
(文: やまざきしんじ)