2012年05月26日

広告では「私たち?」、「あなたと私?」

私たちはいい.jpg

広告の文章を書く時には、「あなたと私!」と呼びかけるのか、「さいころユーザーの私たち」と呼びかけるのがいいのか、どちらでしょうか?

商品と感情的な結びつきの強いMiniのユーザーやハーレーダビッドソンのユーザーは、きっと会社から「私たち」と言われても違和感がないでしょう。一方、ティファールのフライパンユーザーが、メーカーから「私たち、ティファラー」とか言われると違和感がありそうです。

フロリダ大学の Aner Selaらの研究は、消費者とブランドとの関係と、ブランドからの呼びかけ方に関するものです。

この研究によると、ブランドから消費者へ「私たち」と呼びかけることで、より親近感を持ち、アイデンティティを共有します。ただし条件があって、消費者が既に親近感を持っている場合のみです。


実験では、被験者がウェルス・ファーゴ銀行とアテナという健康保険会社の広告から引用したもの読みました。すると、被験者は健康保険会社よりも銀行により親近感を持っていることが分かりました。まぁ、健康保険は更新の時期くらいしか会社とは接触しないからでしょう。

ちなみに広告では、「私たち」と書いたもの、「あなたとウェルズ・ファーゴ」と書いた2つのバージョンを用意しました。すると、ウェルズ・ファーゴを既に使っているお客さんにとっては、「私たち」と書いた広告がより効果ありました。

一方、アテナでは、顧客であるかどうかに関わらず「あなたとアテナ」と書いた広告がより効果ありました。


つまり、ウェルズ・ファーゴのように親近感を持ちやすいブランドの場合は、既に使用しているユーザーに対しては「私たち」と呼び掛け、それ以外の親近感を持ちにくいブランド、まだ使っていないユーザーに対しては「あなたと**」のように「私たち」を使わないのが有効なようです。

確かに、見ず知らずの人から馴れ馴れしく「私たち」と言われると反発したくなる気持ちが分かります。また、感情的に訴えるブランドの場合はユーザーは「私たち」と言いたくなる気持ちも理解できます。広告だけでなく、新規顧客率や親近感で、店員の対応やお店のデザインなどを変えるのがベストということかもしれません。また、広告も顧客向けか非顧客向けかの媒体によって呼びかけが変わってくるということも示していますね。


この記事は以下を参考に書きました。
University of Chicago Press Journals. "Why do consumers dislike corporate brands that get too familiar?." ScienceDaily, 16 May 2012. Web. 25 May 2012.

この記事の元の情報はこちら。
Aner Selaら, 2012, "We' Are Not the Same as 'You and I': Causal Effects of Minor Language Variations on Consumers' Attitudes toward Brands.", Journal of Consumer Research, October 2012


(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動
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