2012年05月29日
目標に集中するより、経過に集中のウソ
目標設定についてはいろいろなことが言われています。目標はブレイクダウンすること、目標よりも経過に集中することといったことが言われています。
しかし、よく言われていることと、本当に役に立つことは違います。以前書いた”ポジティブな空想の罠”という記事では「成功をイメージすると逆効果になる」という記事を書きました。また、”目標を人に話すといけない理由”という記事では、「目標を他人に話すことで、むしろコミットメントの力が弱まる」ということを書きました。目標設定や目標達成の方法に関しては、様々な本に書かれていますが、間違ったこともたくさん書かれています。有名な人が本に書いていることが事実とは限らないのです。
香港科学技術大学のAmy Daltonとカリフォルニア大学ロスアンゼルス校のStephen Spillerの研究は、目標の数によって、どのような手法を使うかの関係についです。
この研究では、目標の数が目標達成方法にどう影響を与えるかを明らかにしています。この研究から、目標の数によって適切な目標達成方法が変わることを紹介します。この研究では、目標の数が1つと6つのそれぞれの場合に、目標か経過かどちらに集中するといいかを明らかにしました。
この上のグラフは、目標へのコミットメントが7段階評価でどれだけ向上するかを示したものです。これを見れば分かるように、目標自体に集中するべきか、もしくは「いつやるか」・「どこでやるか」・「どうやってやるか」といったように経過に集中するべきか、は目標の数によります。
1つの目標ならば経過に集中した方が効果的です。これは納得がいくことです。しかし、目標が増えると、計画に集中するよりも目標に集中した方がいいのです。
これはなぜでしょうか?この研究では、目標の数が多いのに経過に集中すると注目すべきことが多すぎるため、むしろコミットメントが下がると考えられます。
ちなみに目標の数は1つがやはり一番効率的です。2つ以上の目標からは効率が一気に落ちます。そして、この研究によると4つ以上の目標がある場合は経過に集中しない方が効果的です。
この記事は以下の論文を参考にしました。
Amy Daltonら, 2012, "Too Much of a Good Thing: The Benefits of Implementation Intentions Depend on the Number of Goals.", Journal of Consumer Research, October 2012
(文・絵: やまざきしんじ)
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