これは、「アルコールを飲むと魅力的になる」というように人が考えている(感じている)ことによります。このようにモノには、人に何かをさせる力があるのでしょうか?
モノには人に行動をさせる力があると言えます。「これは効果がある」と信じていると、実際に効果があるというプラセボ効果は有名です。また、「アルコールを飲むと陽気になる」と信じている人は、アルコールを飲むことで他人に話しかけやすくなります。
このことは諸刃の剣となります。良いプラセボ効果になることもあれば、効果があるという思い込みが冷静な判断を妨げることもあります。
もし、研究者が自分の研究は効果があると信じていれば被験者にそのようなメッセージを知らずに出してしまい、プラセボ効果が生まれてしまうということも考えられます。

そのようなことのないように二重盲検(double blind test)というテストを使います。この二重盲検というのは、被験者と、観察者(医師など)の両方が、どちらが対象群(効果を測るための偽薬など)でどちらが実験対象なのかを知らないで行うというものです。

ちなみに、二重盲検を使ってないケースもしばしばあります。このパターンでのテストだと、実験者の意図が被験者に伝わってしまう可能性があるので、厳密なテストとはいえないかもしれません。

このように、実験というのは慎重に行う必要があります。また、実験だけでなく、実体験で「この方法が効く!」という場合でも、何がその効果を生んでいるか切り分けるために、可能な限り二重盲検のような手法を使いましょう。
この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "The power of suggestion: What we expect influences our behavior, for better or worse." ScienceDaily, 6 Jun. 2012. Web. 12 Jun. 2012.
(文・絵: やまざきしんじ)