
幸福は銀行口座に預けてあるお金からはやってきません。以前書いた”年収と幸福度”という記事では、たしかに収入が増えると幸福度が上がるという内容を書きました。
しかし、お金よりももっと大事なことがあります。カリフォルニア大学バークレー校のCameron Andersonらの研究は、経済状態、社会的地位と幸福度の関係に関するものです。
この研究によると、経済よりも社会的地位の方がより幸福度に影響を与えているようです。ここでいう社会的地位というのは「大企業の社長さん」といったものでなく、会社の中での地位、昔からの友達の間でのポジション、趣味のゴルフ仲間でのポジション、よく行くバーの常連内での立場、こういったものを指しています。つまり、社会的地位というのは自分の属している様々な狭い社会の中で、どのくらい尊敬されているか、影響力があるか、といったものです。
この研究の大学生を対象とした調査では、経済状況よりも、友人関係などの社会的地位の方がより幸福度に影響を与えていることが分かりました。また、MBAの学生の卒業前後での社会的地位と経済状況の変化と幸福度の関係を調査したものでも、社会的地位の方が幸福度に影響を与えていることが分かりました。
たしかに収入よりも、日常の中での人間関係の方がより幸福度に影響を与えていそうです。MBA卒の新入社員ならばかなり稼いでそうですが、会社内では一番下の地位で、友人関係も新しく作りなおさなければならず、様々なコミュニティ内で新参者となります。収入が増えても、やはり幸福度は下がってしまうようですね。
転職などを考えている人は、こういった社会的地位(狭い社会でのポジション)が幸福度には大事ということも考慮して行うことがいいでしょう。
この記事は以下を参考に書きました。
Association for Psychological Science. "Respect matters more than money for happiness in life." ScienceDaily, 20 Jun. 2012. Web. 22 Jun. 2012.
(文・絵: やまざきしんじ)