
トランプのカードと言われて思い出すのは、どのスート(種類)のどのカードですか?
ある程度の年代の人なら、キャンディーズの「ハートのエースが出てこない」という歌のサビを思い出すかもしれません。
それでは、「この52枚のトランプから一枚だけ選んで伏せて下さい」と言われたら何を選びますか?
カナダのサイモンフレーザー大学のJay Olsonらの研究は、ジョーカーのない52枚のトランプがどのように好まれ、そして覚えられやすいかというものです。
この研究によると、ナダのブリティッシュコロンビア大学の大学生96人の被験者に1/10秒だけカードが提示された時、被験者が一番識別したものは、スペードのエースでした。そして、次にスペード以外ののスート(種類)のエースでした。また、エース以外にも、スペードは見やすいという結果になりました。また、0.25秒だけカードを表示していき、覚えられやすいカードを調査すると、やはり一番覚えやすいのがスペードのエースで、次にスペード以外のエースが覚えられやすかったです。また、JQKという図柄のカードは覚えられにくかったという結果になりました。
また、48人の被験者に2つのカードからどちらのカードが好きかを調べる調査では、一番好まれたのはハートとスペースのエースでした。また、スートとしては、ハート、そしてスペードが好まれている事がわかりました。また、女性は2や3といった数字の小さなカードを男性よりも好むことが分かりました。
また、オンライン、およびオフラインで、「任意のカードを選んでもらう」という実験では、一番選ばれたのはスペードのエースでした。また、ハートのエース、クイーン、キングも人気のあるカードでした。一方、一番選ばれなかったのは6で次に5でした。
なお、詳細なデータは"Psychology of Magic"のページに詳しいです。論文や各カードごとのデータも読めます(英語ですが)
トランプのカードの研究というのはあまり心理学っぽくないですが、手品の心理学という切り口で研究しているのは面白いですね。
この記事は以下の論文を参考に書きました。
Olson J A., Amlani A. A., Rensink R. A. (2012). Perceptual and cognitive characteristics of common playing cards. Perception, 41(3), 268–286. doi:10.1068/p7175
(文・絵: やまざきしんじ)