
オハイオ州立大学のItzhak Ben-Davidらの研究は、株式の投資家の行動に関するものです。
この研究は、ディスポジション効果(disposition effect)に関するものです。このディスポジション効果というのは「投資家は、株価が上がった時は比較的早く売るが、下がった時にはなかなか売らない(損切りしない)」というものです。
このディスポジション効果については、様々な研究があり、この理論を支持するものもしないものもあります。
Ben-Davisらは、1990年から1996年の大型ディスカウントブローカーの77000口座の株式取引の分析しました。この研究結果によると「投資家は、ちょっとした下がった時よりも、ちょっと上がった時に売るという可能性は高くなかった」ということが分かりました。つまり、ディスポジション効果はないということです。
ちなみに、より損失がある人は、下がった株をより早く売る(損切りをする)ことが分かりました。また、男性と頻繁に株取引をする人は、上がった株をより早く売る(利確する)ことが多いことがわかりました。
この研究は、ディスポジション効果自体はなく、人はむしろそのような傾向よりも、別の傾向に依存しているということを示しています。実際に、私たちはディスポジション効果があるかないか、ということよりも、そのような傾向があるかもしれないので注意して冷静に売買をするということでしょうか。...私はバイ&ホールド派ですが。
この記事は以下を参考に書きました。
Itzhak Ben-David他, 2012, "Are Investors Really Reluctant to Realize Their Losses? Trading Responses to Past Returns and the Disposition Effect.", Review of Financial Studies, 2012; 25 (8): 2485 DOI: 10.1093/rfs/hhs077
(文・絵: やまざきしんじ)