先日、名古屋ライフハック研究会でズーム・メソッドの発表をしてきました。今回はこのズームメソッドについてズームイン・メソッド中心に説明します。
基本的なポイントは、対象との心理的距離が大事ということです。特にポイントは対象との心理的距離が近すぎると、批判的志向や創造的な志向ができなくなるということです。あ、もうほとんど書いちゃいました...
例えば”箱と自分から脱出するクリエイティブ思考”という記事では、問題文に「高い塔から逃げる囚人を想像してください」と書く代わりに、「あなたは」と書くとパズルの正解率が落ちることを述べました。また、”社内でのより良いアイデアの出し方”という記事では、自分のアイデアに思い入れがあるために、より創造的なアイデアを出しにくいということを書きました。つまり、人は物事との距離が近いと、創造的になれないのです。

このように対象との距離が近いというのは全体が見えないということも意味しています。以前書いた”ストーリーを売れ: ”入り込んで”説得する”という記事では、ストーリーを語ることで相手はそのストーリーにハマりこんでしまって説得されやすくなるということを書きました。
つまり、相手を説得したい時には相手と対象との心理的距離を詰めること、そして物事の全体を引いてみせていたものを、より詳細なストーリー、数字を入れて、より具体的により近くに見せるのです。

これがズームイン・メソッドです。相手の視界に対象を近づけて全体像から意識を逸らして詳細な部分を意識させることで、相手の創造的な思考力や批判的な思考力を奪って、説得をするのです。以前に書いた”カリスマの3つのテクニック”のうちの2つのテクニック、私たちで語る、結果をイメージさせるストーリーで語るというのも、まさにこの手法ですね。
一方で、私たちはこのようなストーリーがあったら少し引いて見るように気をつけなければなりません。この遠く見るためのズームアウト・メソッドについては、また別の記事で書きます。

(文・絵: やまざきしんじ)