
今日はイギリスのオックスフォード大学のJohannes Abelerらの嘘に関する研究を紹介します。これは、ドイツで行った実験で、意外と人は家にいると嘘をつかないというものです。
1つめの実験では、家に電話をして、コイントスをするように頼みました。そして、裏が出たら15ユーロを受け取るか寄付でき、表が出たら何も貰えないということを告げられ、電話でどちらが出たかを尋ねられました。
ランダムに電話をかけた658人の調査では、55.6%の人が表が出たと言い、何も貰えませんでした。簡単に嘘がつけて、バレない実験なのですが、非常に正直な結果ですね。これがドイツ人気質なのでしょうか。
2つめの実験は94人に対して、4回のコイントスをお願いしました。今度は1回裏が出るごとに5ユーロという条件で行いましたが、この時もやや表が出るのが多く、平均よりも貰えない人が多いという結果で、正直な結果が帰ってきました。
また、この2つの実験では、被験者の性別、年齢、収入、宗教などの属性を訪ねましたが、属性に関わらず正直であるということが分かりました。
一方、Houserらの2011年の研究は、ドイツの研究室で502人の大学生を対象にほぼ同じ実験をしたものですが、こちらでは76%の人が裏が出たと答えていました。76%という数字は、嘘をついていたことになりますので、人は研究室のような環境では嘘をつくようです。
家に電話する実験では嘘をつかず、研究室での実験では嘘をついていたことから、人の嘘の頻度は場所によって変わるという結論が導かれます。研究室のような場所で嘘をつかず、自分の家では嘘をつかないということから、職場や客先では嘘をつきやすくなるのかもしれません。
この記事はオックスフォード大学の”Study suggests we are basically honest – except when we are at work”を参考に書きました。元の論文はこちら。
(文・絵: やまざきしんじ)