
カリフォルニア大学サンディエゴ校のManuel Cebrianとイギリスのヒューレット・パッカード研究所のLuis Vaqueroは大学のクラスでの成績について調査しました
これは290人の学生の80,000回に渡るやりとりを分析したものです。
この研究によると、成績が良い人は他の学生とオンラインでのコミュニケーションをより多くしていることが分かりました。また、成績の良い人だけの小さなグループを作って、成績のよくない人達とはあまりやりとりをしていない分かりました。逆に他人とのコミュニケーションが少ない人たちは成績が悪いです。
いわゆる成績の良い人の集まりのエリートグループは、授業の最初の日に形成されます。また、エリートグループの成績上位者は、成績下位者がグループに入らないように排除するため、成績下位者はがんばってもエリートグループには入れません。
また他人への情報の拡散の頻度も成績上位グループと成績下位グループでは異なります。他人とのやりとりの約0.1%は、さらに他人へと拡散していくようなものでしたが、この拡散していく情報のうち51%が成績上位グループのもの、35.97%が成績中位グループのもの、13.03%が成績下位グループのものでした。これは、成績上位グループの方が影響力が大きいということを意味しています。
たしかに大学のときは、誰と仲良くしているかによって、例えば「どんなことを普通は知っているか」や「どんなことが出来るか」といった基準が変わってくると思います。コミュニケーション回数がポイントなのはいいのですが、そのようなエリートグループに入るかどうかが最初に決まってしまうというのが面白いですね。これはアメリカでの研究なので、日本でそのまま適用されるかはわかりませんが、私の経験では日本にも適用できそうです。
このことは、第一印象が大事ということは意味しませんが、最初にエリートグループに入れるかどうかは後々まで響いていくということですね。もしかすると、いろいろなコミュニケティにおいて同様のことが言えるのかもしれませんね。
この記事は以下の論文を参考に書きました。
Luis Vaqueroら, 2013, "The rich club phenomenon in the classroom. ", Scientific Reports, 2013; 3 DOI: 10.1038/srep01174
(文・絵: やまざきしんじ)