2013年05月14日

イラストにすればいいってもんじゃない

グラフ2種.jpg

心理学にしろ経済学にしろ、学問で面白いのは直感に反する事実を知ることです。もちろん研究としては、直感に合うものが直感どおりであることを明らかにするということも大事ですが、直感と違うものを明らかにするほうが遥かに重要だと思います。

オハイオ州立大学のJennifer Kaminskiらの研究は、グラフの教育効果についての研究です。グラフといえば、ヤバい統計学の著者が作っているJunk Chartsというホームページはダメなグラフがたくさん載っています。




Kaminskiらの研究は6歳から8歳の小学生を対象としたものです。この研究では、靴や花のような画像を使った棒グラフと、単なるベタ塗りの棒グラフのどちらが教育効果が高いかを確認しました。

この研究によると、絵を使った棒グラフは視覚的なアピールがあり興味を持たれますが、表面への興味が先行するためか、教育的な効果は低くなってしまいます。つまり、棒グラフはシンプルな方がいいということですね。


ちなみに16人の幼稚園と小学校の先生に、どちらのグラフが有効と思うかと確認したところ、全員が絵を使ったグラフの方が教育的にも有効であると考えていました。これは私たちの直感にも合うのではないでしょうか?

しかし、実際にはシンプルなグラフの方がいいのです。実はこの結果は様々なものに言えそうです。ビジネス業界では、ビジュアルなんとかといわれる様々な技法が営業・宣伝されていますが、これらについても「直感的にいいと思う」と「本当に有効」の間にはギャップがあるかもしれませんね。

この記事は、以下を参考に書きました。
Ohio State University. "Look! Something shiny! How some textbook visuals can hurt learning." ScienceDaily, 8 May 2013. Web. 14 May 2013.

(文・絵: やまざきしんじ)
posted by さいころ at 06:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 発想法・問題解決
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