
最近はGoogleの動画広告サービス、スマートフォンの普及や帯域の拡大などもあり、動画広告が増えてきています。でも、どういう動画広告が有効なんでしょうか?
最近は動画広告も流行ってきつつあり、様々なことが言われていますが、ほとんどのものは自分の経験談やどこかで聞いた少数の事例を話しているだけではないでしょうか?
マサチューセッツ大学アーメスト校のRamesh Sitaramanらは、この動画広告に関して6億5000万以上の広告へリンクされた2億5700万以上のデータと、3億6700万以上の広告が挿入されたビデオを解析し、広告がどこまで見られたか、といったことを解析しました。
まず、全ての視聴者は同じような行動をしていたわけではないことが分かりました。一回だけ見る視聴者もいれば、特定のサイトを何度もヘビーウォッチャーもいました。ヘビーウォッチャーは、一つの動画を何度も見るし、広告も気にしませんでした。
また、短い動画に挿入された広告は途中で止められる可能性が高いのに対して、映画やテレビ番組のような長い番組に入っている広告はより最後まで見られました。これは、当たり前でしょうか。映画やテレビ番組といった長い番組には、より価値がみなされているためか広告をそのまま見るのです。
また、この研究では、動画の読み込みに時間がかかるビデオと、ビデオがはじまる前にかならず広告を見せられる動画のどちらが多く見られるかも確認しました。最近の日本の環境では、あまり読み込みに時間がかかるということは少なくなったと思います。一方、ビデオがはじまる前に動画が流れると、そのまま停止してしまう経験はよくあります。
この結果は、動画開始10秒の時点で、読み込みに時間がかかる動画は45%の視聴者が停止していましたが、最初に広告が出る動画は13%の視聴者が停止しただけでした。
逆に言えば、読み込みに時間がかかる動画は55%の人だけが見て、最初に広告があると87%の人に見てもらえるということですよね。これは動画の冒頭に広告を入れることは視聴者がアリとみなしているということです。この停止率の違いについては、動画の読み込みに時間がかかる場合はどれだけ待てばいいか分からないが、最初に広告が流れる場合は待ち時間の見当がつくからと考えられています。
また、広告を全部見る割合は、平日と土日では特に変わらないことも分かりました。平日は忙しいし、土日は時間があるといった差も考えられましたが、そのような差はないようです。
私も動画には注目していますが、うちの塾ではYoutubeで多少動画をアップしていますが情報提供といったレベルで、まだYoutubeを活用できているとは言えません。また、動画活用といっても、個々人の経験や神話レベルの話がまだまだ多く、データから実証的に有効といった手法はまだまだ明らかになっていないように思います。今回は、アカマイ社から提供された匿名化されたデータを元にした研究のようですが、これからもこのようなビッグデータ的な研究が増えると、より消費者の行動がわかっていきますよね。楽しみです。
この記事はマサチューセッツ大学の"UMass Amherst Researcher Quantifies the Effectiveness of Video Ads"を参考に書きました。
(文: やまざきしんじ)