2011年07月12日

選択の複雑化

悩んでいる20代の女性[1544514] - 写真素材
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最近の研究では、人は自分で勝手に問題を難しくしてしまうことが分かりました。

コロンビア大学のRom Schrift, Oded Netzer, Ran Kivetzの研究によると、様々な面から意思決定をするといった時に、大して重要でもない面を勝手に重要視してしまうということがあるようです。

例えば、他の条件が同じなら、以下の2つの携帯音楽プレイヤーのどちらがいいでしょうか?
A.メモリが2GBで、バッテリーが10時間もつ携帯音楽プレイヤー
B.メモリが1GBで、バッテリーが5時間もつ携帯音楽プレイヤー

また、以下の2つの仕事のどちらを選びますか?
1.通勤が片道15分で、年収700万の仕事
2.通勤が片道75分で、年収650万の仕事

ほとんどの人はこの質問にAと1と回答するはずです。


設問を少々変えて、以下の2つの選択ではどうでしょうか?
A’.メモリが2GBで、バッテリーが10時間もつ、ラジオ受信機能のない、携帯音楽プレイヤー
B’.メモリが1GBで、バッテリーが5時間もつ、ラジオ受信機能のある、携帯音楽プレイヤー

このように設問をかえると最初は重要ではなかったはずの”ラジオ受信機能”という面が過大に評価されて、A'よりもB’を選ぶ人が増えます。

そして、ここで1つのツッコミの余地があります。「だって、ラジオ受信機能は、必要じゃん!」って。ちなみに僕が持っている携帯音楽プレイヤーには1つもラジオ受信機能はありません。でも、たしかにラジオが欲しい気持ちは理解できます。


それでは、以下の2つの仕事のどちらを選びますか?
1.通勤が片道15分で、年収700万の仕事、仕事は3人のチームで行う
2.通勤が片道75分で、年収650万の仕事、仕事は6人のチームで行う

このように設問をかえると、最初は気にしていなかった、チームの人数というのがフォーカスされ、2を選ぶ人が増えます。

もちろん、ここで1つのツッコミの余地があります。「チームの人数は6人くらいがベストだし」と。


というわけで、今度は別の質問をしてみます。
1.通勤が片道15分で、年収700万の仕事、仕事は6人のチームで行う
2.通勤が片道75分で、年収650万の仕事、仕事は3人のチームで行う

このような設問をすると、今度も2を選ぶ人が増えます。つまり、チームの人数のベストが6人というわけでなく、3つめの属性を見て、もう一方が魅力的に思えるのです。


これは”選択の複雑化”(complicating choice)と名付けられた現象です。人はこのように、簡単なはずの2つの選択肢の第3の面を重視してしまって勝手に難しくするということがあるのです。こうして簡単なはずだった選択をより難しくしてしまうのです。

この”選択の複雑化”では、
1.通勤が片道15分で、年収700万の仕事、仕事は6人のチームで行う
2.通勤が片道75分で、年収650万の仕事、仕事は3人のチームで行う

という選択肢をまず提示して、1を選択していたとしても、その後で

3.通勤が片道40分で、年収670万の仕事、仕事は4人のチームで行う

という第3の選択肢を提示されると、「おっ、ちょうどいい」と思うこともあるのです。


この”選択の複雑化”は応用の広い考え方といえます。自分が何かを選択する際には事前に重視する面を明確にしておく必要がありますし、その場で新しい面を検討しはじめたら、本来は必要でないものを重要視してしまっている可能性も疑いましょう。パソコンや家を買うとき、会社を選ぶ、恋人を選ぶ、様々な状況の選で、”選択の複雑化”が起こっていると考えるべきです。

また、商品を販売する場合には、論理的に考えれば魅力的でない商品でも”第3の面”を見せることで、買ってしまう人がいるということを認識しておくといいでしょう。


この記事は以下を参考にしました。
Columbia Business School (2011, July 8). How decision-makers complicate choice. ScienceDaily. Retrieved July 11, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/07/110708124540.htm

元の論文はこちら(現時点ではまだ未公刊のようです)


(文: SY)
posted by さいころ at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年06月23日

音楽のイメージはブランドにすぐ効く!

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スペインのバスク大学のVanessa Apaolaza-Ibáñezらが、広告で音楽を使われた時に印象やブランドイメージにどのような影響があるかを調べました。

これはスペインの15歳から65歳の540人を対象として、架空のブランドのミネラルウォーターの宣伝をラジオで行い実験しました。

以下のような音楽を使って4つの実験をしました。全てで同じ文章とブランド名を使いました。なお、被験者の記憶に影響がないように歌詞がないインストゥルメンタルの曲で行っています。

1.一切、曲なしで宣伝を行った
2.有名でない曲(115bpsのアップテンポな曲)で宣伝を行った
3.有名でない曲(70bpsのスローテンポな曲)で宣伝を行った
4.ルイ・アームストロングの"What a Wonderful World"を使って宣伝を行った

ここで、感情的な反応は1の曲がないものよりも、2〜3の曲があるものの方が有意に高いという結果になりました。さらに4の有名な曲を使ったものが一番高い結果になりました。

また、ブランドのイメージについても、2〜4でそれぞれ異なることが分かりました。2のアップテンポの曲は、”若々しく、活動的で、スポーティーな”イメージを、3のスローテンポな曲は”柔らかく、ヘルシーで、リラックスできる”イメージをブランドに持つということが分かりました。ちなみに4の”What a Wonderful World”も3とほぼ同様のイメージですが、こちらの方がより強いイメージを持たせることが分かりました。


この実験では、音楽はすぐに被験者に影響を与えるということを述べています。もちろんラジオのCMなので、ブランドのイメージは言葉と音楽でしか与えられませんが、音楽の影響が大きくて、すぐに与えるということを示しています。


これはラジオでのブランド広告の実験ですが、もちろんテレビCMにも当てはめることができますし、また、実店舗においても同様のことが言えると思います。109ブランドやヒップホップ系のお店では、大音量でイメージを流していますが、意外とお店では音楽でブランドイメージを強めるということは行われていないのではないでしょうか?残念ながら、たとえ音楽がかかっていても、FMや有線を流していたり、店主の趣味で音楽をチョイスしていることが多いです。

人は音楽とブランドをすぐに関連づけてしまうので、与えたいイメージにあった音楽を慎重に選ばないといけないということも、この実験は示しています。


元の論文情報はこちら本文はこちら

この記事は以下を参考に書きました。
Plataforma SINC (2011, June 22). An explanation of how advertising music affects brand perception. ScienceDaily. Retrieved June 23, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/06/110622045135.htm


(文: SY)
posted by さいころ at 16:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年06月17日

タレントの魅力と広告の関係

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魅力的なタレントが広告をしても、人はその広告には興味を持っても商品には興味は持たないといったことが言われることがあります。これは本当でしょうか?それでは、一体何故、広告には魅力的なタレントが出てくるのでしょうか?

心理学的にはハロー効果として知られるものがありますが、今回は宣伝するタレントの魅力と広告について考えてみたいと思います。


オランダのティルバーグ大学のJanne van DoornとDiederik A. Stapeが研究をしました。現時点ではプレスリリースだけなので詳細は不明ですが、この研究によると「魅力的な人が、商品を宣伝する時は、魅力的な人と魅力的な商品が同じようなイメージを持つ時に、消費者は特定のファッションに反応したり、広告された商品に影響を受ける」ということです。


これは販売のための広告でなく、イメージのための広告でよく行われている手法です。例えばクリスチャン・ディオールやバーバリーなどは、魅力的な男女やタレントが商品の広告を行っています。これはブランドイメージや知名度を向上させる広告であって、直接商品を売る広告でないと言えます。

例えば、バーバリーの宣伝では、レディー・ガガでなく、エマ・ワトソンが広告するのは、バーバリーのイメージとタレントのイメージから必然に思えます(エマ・ワトソンは降ろされましたが…) ブランドイメージを向上させる広告でなく販売するための広告でも、チープな商品にはチープなイメージを持つタレントを、高級な商品には高級なイメージを持つタレントを、と言われていますが。


では、「魅力的な人が商品を宣伝した場合には効果があるのか?」という問いについては、この研究はどう答えているのでしょうか。

その答えは、「場合によって、効果があったり、逆効果だったり、効果がなかったりする」となっているようですが、どちらかといえばポジティブな答えのようです。

タレントが商品を推薦するような場合は、美容に関する商品については、美容の商品で自分が美しくなれると思っているならば広告の効果があるようです。

また、タレントが商品を推薦せずに、タレントはあくまでもイメージとして現れてから商品の広告をするというものは効果があるようです。


最近は、ネット広告が増えており、直接販売を意識した広告へシフトしつつありますが、今後はネットでの動画広告が増えていくと同時にイメージ広告が増えていくでしょう。ネット広告では、テレビと違って見る人によって違う広告を出して反応率を調査しやすいため、様々な研究が増えていくのではないかと思います。今後はこのような広告に関する研究もより盛んになるのではないか、と期待しています。


この記事は以下の記事を参考にしました。
University of Chicago Press Journals (2011, June 16). Sexy doesn't always sell: When do beautiful models help?. ScienceDaily. Retrieved June 17, 2011, from http://www.sciencedaily.com/releases/2011/06/110615120351.htm

元論文はこちら(ただし、まだリンク先はないようです)

(文: SY)
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2011年06月03日

人のリスク選択は状況によります!

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行動経済学などでよく出てくる例で、人はリスクを避けようとするというのがあります。

被験者に対して1,2の2つの条件を説明してそれぞれどちらかを選択してもらいます。
1.確実に1000円もらえる、もしくは50%の確率で2000円もらえるか50%の確率でもらえないというギャンブル
2.確実に1000円損する、もしくは50%の確率で2000円損するか、50%の確率で損しないというギャンブル

この場合、多くの人は1では確実に1000円もらえる方を、2では50%の確率で損しない方を選びます。


Alberta大学のMarcia Spetchとプリンストン大学のElliot Ludvigの研究によると、これには条件があるようです。

この選択は、あくまでも1と2の条件を示した場合です。ですが、実際の確率や賭け率は教えずにゲームをやってもらった後にどちらかを選んでもらうと、1の場合は50%の確率で2000円もらえる方を、2の場合は確実に1000円損する方を選ぶことが分かりました。つまり最初に説明を受けた場合と、実際にゲームをやってルールを覚えた場合では結果が反対になります。

リスク傾向の変化.001.jpg

この結果についてSpetchは、「実際にゲームをやったことで、頭の中に”2000円の儲け”、”2000円の損失”という大きな数字が残ってしまい、それが影響を与えているのではないか」と述べています。

※実際の実験は”1000円と2000円”というわけではありません。


この記事は、"Past choices help form gambling decisions, study finds"を参考にしました。


(文: SY)

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2011年06月02日

クリエイティブな広告の隠れた効果

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クリエティブなメッセージやデザインやブランドロゴは、消費者をよりクリエティブにさせます。そして、抽象的なメッセージを好む消費者は「その製品を使うことで生活が豊かになる、リビングでくつろいで使える」といった抽象的な広告に惹かれるし、具体的なメッセージを好む消費者は「GPS機能搭載、カメラの解像度が2000万画素」といった具体的な広告に惹かれます。

ウィスコンシン大学のXiaojing Yangらの研究によると、さらに消費者がクリエティブになった場合は、抽象的なメッセージを好む消費者には具体的な広告が有効で、具体的なメッセージを好む消費者には抽象的な広告が有効になります。

消費者はクリエイティブになると通常の好みと逆になる、つまり、事前にクリエティブな広告やデザインを事前に見せることで好みが転換するようです。1枚のチラシというものでは、これらの効果が混ざった形で反応しますが、CMのような動画の場合は広告の順番が影響を与えてきそうですね。


そういえば、広告やプレゼンでよく名前が出てくるアップル社は、本来はスペックオタクが多そうなコンピュータ業界で熱狂的な支持を集めていますよね。ブランドイメージや商品デザインなどで相手にクリエティブな気持ちを持たせておいて、抽象的なイメージ広告で物を売っているということでしょうか。ちょうどこの研究の実例と言えそうです。


以下の記事を参考に書きました。
University of Chicago Press Journals (2011, May 31). How do creative ads shake up the way we think?. ScienceDaily. Retrieved June 2, 2011, from http://www.sciencedaily.com releases/2011/05/110509114025.htm

元論文の情報はこちらです。ただし、論文は2011年12月号です。アメリカは日本と違ってこんな前からプレスリリースするんですよね。すごい。


(文: SY)


この本を読むとプレゼンしたくなります。
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
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posted by さいころ at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年05月24日

蟹の殻の心理学

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昨日、カニを食べました。帰り道に「カニって意外とお腹がいっぱいになるよね」って話で盛り上がっていました。あまりカニを食べないので「どうなのかなー?」と思ったのですが、たしかにカニはお腹がいっぱいになる気がします。

カニについてはお腹がいっぱいになる要素は3つ考えられます。

1.殻つきのカニは、意識して食べないといけない
2.殻つきのカニは、食べるのに時間がかかる
3.殻つきのカニは、食べると殻が残る

1については、殻つきのカニは殻をむくなどの手続きが必要で、意識的に食べないといけないです。無意識に食べると満腹感が増えにくいですが、殻をむきながらなどのように意識して食べないといけないものは満腹度が増えます。


2については、1にも関連していることですが、殻つきのカニは食べるのに時間がかかります。時間がかかると、より満腹度が増すと考えられますが、この件については証拠となりそうな研究がみつかりませんでした。ですので、この件は実際には影響がないかもしれません。


3については、カニは食べると殻が残ります。”そのひとクチがブタのもと”という本では、カニでなくチキンを使った実験が載っています。この実験はスーパーボールの日にアメリカで行ったもので、学生をスポーツバーに招待して無料のチキンウイングを提供しました。そして、あるテーブルでは定期的に骨を片付けて、もう一方のテーブルでは骨を片付けないということをしました。この結果として、骨を定期的に片付けたテーブルでは平均して一人あたり7本のチキンを食べ、骨を片付けていないテーブルでは5本のチキンを食べました。つまり、人は自分が食べたあとのものを見ることで、満腹度が増すのです。


このように、殻つきのカニは満腹度を増す要素があるものです。殻つきのカニだけでも心理学の実験がいろいろできそうです。ただし、カニでやるとお金がかかるので、殻つきエビあたりがオススメです。


(文: SY)

食べ物と心理学を考えるにはこの本がオススメです。社会心理学の応用とはどういうものか、というのが分かる良書です。
そのひとクチがブタのもと
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2011年05月19日

タバコのことだけは考えるな

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「シロクマのことだけは考えるな」と言われると、シロクマのことを考えてしまうという有名な実験があります。

これに似たような研究を、オックスフォード大学のBrian Earpが発表しました。この研究は、被験者に写真を見せて、その後に様々なイメージを選ぶというものです。

最初に被験者に写真を見せる時に半分の被験者には、禁煙の印が背景にあるようにしました。すると、背景に禁煙マークが出ていた被験者は、イメージを選ぶ際に、灰皿やタバコなどを選ぶ傾向があることが分かりました。


結局、禁煙マークが「タバコのことは考えるな」と命じたことになってしまいタバコを思い出してしまうようです。


この記事は、British Psychological Societyの"No smoking signs may encourage smokers"を参考に書きました。

(文: SY)
posted by さいころ at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年05月05日

ナローブランド戦略

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ナローブランド戦略(狭いブランド戦略)というのがあります。簡単に言うと、マジックリンに対するガラスマジックリン戦略とでも言うものです。一つのブランドをより狭い用途にひもづけることで、”ガラス掃除にはこっちがいいんじゃない?”と思わせてプレミア価格を払わせることが可能です。同時に、本当は一つですむのに複数のものを買わせることで余分の消費をさせることもできるという戦略です。

このナローブランド戦略についてノルウェーマネージメントスクールのLars Erling Olsenが研究をしました。この結果によると、ある事象(例えば、アウトドア向けの靴や、映画館で食べる食品)に結びついたナローブランド戦略を取っているブランドはそうでないブランドよりもより早く想起されることが分かりました。また、同じようにナローブランド戦略を取っている商品でも、ある事象により深く結びついているものはより強くされることが分かりました。

例えば、”ナイキにはアスリート向けの靴”という結びつきがありますが、これは”パタゴニアにはアウトドア向けの用品”という結びつきよりも弱いです。

適切なポジショニングをする必要がありますが、このような強い結びつきを持ったナローブランドは実際により強く認知される(例えばより早い時間で想起される)ため、マーケティング上で実際に有効であるということが実験的に分かったといえます。


この研究はこれまで言われていた有効な戦略の有効性を実際に確めただけですが、このようにマーケティングと心理学のオーバーラップの研究はいつ読んでも面白いですねー。


こちらの”Narrow brands make you want to buy”を参考にしました。


(文: SY)
posted by さいころ at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年04月29日

ビールは缶の色も大事

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ビールの缶の色が消費者行動に影響を与えます。ミズーリ大学のChris LoerschとBruce Bartholowの研究から、ビールの缶の色が自分と関係した大学のスクールカラーと同じだと、ビールがより”安全”と感じられることが分かりました。


阪神ファンにはトラ縞の缶、中日ファンには青い缶でビールを出すと、ビールをよりたくさん飲んでくれそうです。この研究はビールについての研究ですが、自分たちが属しているコミュニティの色にパッケージを合わせると商品をより親密に、より安全に感じるということが言えそうです。

このことから、企業の試飲キャンペーンなどで近くの大学のスクールカラーなどの紙コップを渡すといったことが考えられますね。


この記事はミズーリ大学のChris LoerschとBruce Bartholowの"The color of safety: Ingroup-associated colors make beer safer"を参考にしました。

(文: SY)
posted by さいころ at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年04月01日

ステレオタイプが販売を邪魔する

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「女性の方は、こういった機械が苦手な方が多いのですが、こちらの商品なら安心ですよ」
こういった商品紹介をしていないでしょうか?


ミネソタ大学の准教授Kathleen D. Vohsらが”Stereotype Threat in the Marketplace: Consumer Anxiety and Purchase Intentions”(購買におけるステレオタイプの脅威: 消費者の困惑と購買決定)という研究をしました。

この研究によると、女性が自動車の修理や金融商品などの購買の決定の際にジェンダーによるステレオタイプが消費意欲を低減します。

1つめの研究では、事前に女性は数学などが苦手ということを思い出させられると、女性は男性のフィナンシャルアドバイザーに対してより困惑をしました。

2つめの研究では、事前に性別を質問して、その後で女性が男性の自動車修理工と取引をする時により困惑をしました。

つまり、「女性は数学が苦手」、「女性は機械が苦手」のようなステレオタイプがある時に、ステレオタイプどころかか性別を思い出させた上で、男性と取引をさせると、取引でより困惑します。なお、これらの「女性は機械が苦手」といったステレオタイプは、その人が信じている必要がなく、そのようなステレオタイプがあると知っているだけで有効になります。


男性にファッション洋品や女性に機械を販売するような、一般的に苦手とされるものを買わせる場合には同一の性別の店員が相手をし、またこのようなステレオタイプを思い出さないような販売設計をしなければなりません。例えば、最初に書いたような「女性は機械を苦手な人多いんですよねー」というような言い回しを店員がしたり、自動車販売店などで行われる販売前のアンケートのフォーマットを工夫するといったことが考えられます。


また、この研究ではステレオタイプの影響を低減させる方法が述べられています。それはバニラの香りがステレオタイプの影響を低減させるというものです。どこからどうしてバニラの香りが有効という検証を行ったのかが謎ですが、香りが消費行動を変化させるというのは面白い結果です。


ステレオタイプの研究としては、「女性は数学が苦手」というステレオタイプによって女性の数学の成績が下がるという有名な研究がありますが、販売活動にもこのステレオタイプは影響するようです。


なお、この実験についてKathleen D. Vohsが説明している動画がYoutubeにあります。



(文: SY)
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2011年02月15日

3年長期保証がダメな訳

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ベルギーのゲント大学のMario Pandelaere、オランダのティルバーグ大学のBarbara Briers、ベルギーのゲント大学のChristophe Lembregtsらは"Journal of Consumer Research"という雑誌の中で、”単位の効果”について語っています。

これは顧客に数字を見せる時に単位を変えることで、より大きく/小さく見せることができるというものです。

「3年長期保証!!」と書くより「36ヶ月長期保証!!」と書いた方がより長く感じるし、「7年」というよりも「84ヶ月」という方がより長く感じるのです。他にもジュールと書くかわりにカロリーと書くといったこともできます。

もちろん、このような単位表記は業界によっては制限されていますが、宣伝などでは単位を工夫することでより魅力的な商品に見せることが可能となります



元の記事はこちら
posted by さいころ at 10:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 消費者行動

2011年02月10日

ハードな日にはジャンクフードで

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人は、ハードに働いた後にどういうものを食べたいでしょうか?

こんな研究を香港大学のEcho Wen Wanとノースウェスタン大学のNidhi Agrawalが研究をしました。人は、仕事で疲れ果てると、長期的なメリットよりも短期的なメリットがあるものをより魅力的に感じるそうです。

人は疲れていない時には、長期的な展望の下に身体に良い食べ物を摂取するといったことができますが、セルフコントロールを続けて疲れた後は、より安易なものを選びます。

当たり前の結論のようですが、自分たちにこのようなバイアスがあることを認識してください。残業続きの時こそ、健康に留意してしっかり食べるということが大事ということですね。

元記事はこちら


参照記事:
University of Chicago Press Journals (2011, January 18). Self-control and choices: Why we take the easy path after exerting ourselves. ScienceDaily. Retrieved February 10, 2011, from http://www.sciencedaily.com /releases/2011/01/110118123550.htm
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2011年02月09日

試飲についての2つの効果

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今日は近所のアピタにあるスターバックスでコーヒーを飲んできました。お昼の2時過ぎに行ったのですがすごい混雑でした。

もうすぐ発売するサクラなんとかという飲み物の試飲をやっていました。ピンクの粉が春っぽいし、甘くてとてもおいしかったです。ところで、このような試飲はどのような意味があるでしょうか?

1つ目は商品の宣伝ということです。これは分かりやすくて、飲食店での試飲は非常にコストが低いので宣伝として見るとかなり有効です。

2つ目はお店への愛着形成です。単純接触効果として知られる「繰り返し接することで、好感が増す」という効果があります。スターバックスの店員は基本的にホスピタリティが高いのですが、通常のオペレーションではお客さんが店員と話すコンタクポイントはレジの際しかありません。試飲を行うことで、コンタクトポイントが増え、その結果としてより好感が増すことが考えられます。


このように単なる試飲ではあっても”コンタクトポイントを増やすもの”として捉えると、単なる宣伝活動ではないことが分かると思います。
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2010年05月11日

難しい商品選択は後悔を招く

難しい商品選択は後悔を招く
同じぐらい魅力的な2つの商品があり、どちらを選ぶか激しく迷った末に一方の商品を購入した場合、その後の商品の満足感はどうなるのだろう?

熟考を重ねて選び抜いた商品だから満足感もずっと続くのだろうか?
それとも、買わなかった商品への未練から、後悔の念が残るのだろうか?

スタンフォード大学のAb LittとZakary L. Tormalaが行った研究によると、2つの商品の間での選択を行った消費者は、自分の選択を正当化するために、選択直後には非常に高い満足感を経験するが、その満足感は非常にもろく、その商品についての些細な悪評に触れただけでも満足感は消失する。

Consumer Remorse: Difficult Choices Can Lead to Second-Guessing

the Journal of Consumer Researchに掲載されるこの研究では、消費者に対して2つの商品(デジタルカメラかカーステレオ)から一つを選択するように求めた。この選択には簡単な選択と難しい選択がある。

簡単な選択は好きな商品と嫌いな商品の2つが提示され、どちらか一方を選ばなければいけないが、難しい選択の場合は、どちらも等しく好きな商品2つからどちらか一方を選ばなければならない。

この結果、困難な選択をした消費者は一見すると非常にポジティブな態度を商品に対して取るが、この態度は驚くぐらい脆弱で、ちょっとしたネガティブ情報に直面するだけで簡単に崩壊することが示された。これを研究者たちはnegativety bubble と呼んでいる。


「消費者は、困難さをもって選択された商品の価値を高く見積もりたいという動機から、短期的には幸福感が高まるが、時間経過と経験によってより大きな不満足のリスクを伴う、ということを私たちの研究は示している」と著者は結論づけている。
posted by さいころ at 16:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2010年04月13日

満足感の続くお金の使い方

30万円のお金を自由に使うことができたなら、あなたは何に使うだろうか?
今まで手の出なかった高級ブランドバッグを思い切って買ってみようか、海外旅行の旅費に使おうか、どちらに費やすべきか悩む人もいるだろう。

そんな時、心理学者は迷わず旅行に費やすことをお勧めする。
なぜならモノよりも経験から得られる満足感の方が長く持続するからだ

社会心理学者のトーマス・ギロビッチ(Thomas Gilovich)は、モノよりも経験から得た満足感や幸福感の方が長続きするのは、経験が極めて個人的なものであり他者との比較が困難だからだと指摘する。

Holidays make us happier than material possessions

 経験から得る満足はその記憶とともに永遠に続くが、モノを得た喜びは、他の人が新しいモデルを持っているのを見た途端に消えうせてしまう。

「新しいテレビを買えば嬉しくなるだろう。しかし、その後、友人の家に行って、そこに自分の家のよりも新しいモデルのテレビがあるのを知ったら、テレビを買った満足感は急速に消失する。

 では、カリブ海にバケーションに行ったとしたらどうだろう。
 あなたは友人もカリブ海に行き、あなたよりも素晴らしいスケジュールで過ごしたことがあると知る。もちろんあなたは多少がっかりするかもしれないだろうが、旅の満足感は消失しない。
 というのも、あなたのカリブ海での経験は、あなただけの思い出を作り出し、それは人と比較できるものではないからだ。」

 この研究では、品物VS旅行という単純な例で示しているが、品物であっても、そこに購入者それぞれの物語を付与することができれば、買った満足感は簡単には消失しないことが推測される。
 
 商品やサービスのリピーターを作り出すには、クオリティが高いだけでなく、顧客が「プライスレス」と感じられるようなオリジナルの物語を生み出せるかどうかが重要ということだろう。
posted by さいころ at 17:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2010年04月06日

スーパーでの買い物はいつも予算オーバー

 スーパーで買い物をするとき、厳密にいくら使ったか計算するほど、買い物しすぎてしまうことが最近の研究で示された。

 Grocery shoppers who try harder to track costs do worse, study finds
 
 アメリカの主婦のほぼ3分の1は限られた予算で買い物をし、6分の1が生活必需品だけを買う余裕しかない。
 だから、限られた予算でやりくりしている消費者が、スーパーでいくらぐらいの金額になるか計算しながら買い物をするのは当然だろう。
 
 しかし、一生懸命計算すればするほど、19%も予算オーバーしてしまうことが、Brian Wansink教授らの研究で明らかにされた。

 「正確に金額を計算しようする消費者と、だいたいの金額を予想する消費者を比較すると、前者ほど予算オーバーしてしまう。」

 正確に使った金額を計算しようとする消費者というのは低所得者のことが多いが、このような行動はむしろ買いすぎを招く。そしてその結果、別のところで買い控えをしなければいけなくなり、それが買い物に対する否定的感情を引き起こしてしまうかもしれない。
 またほぼ正確に金額を見積もれる消費者は、各商品の値段の端数を四捨五入して計算していた。
 
 研究者らが私たちに教えるアドバイスは以下のとおり。
 
 ・2.25ドルは2ドル、5.50ドルは6ドル、というように端数を四捨五入して計算する

 ・もし途中でいくらだったか忘れたら、買い物カゴに入っている商品の数を数え、そしてそれら商品の平均金額を予測し、「その金額×商品数」を計算する。

 ・どうしても正確な合計金額を知りたいならスーパーに計算機を持参する
posted by さいころ at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2010年04月03日

私にはリンゴ、あなたにはポテチ

 the Journal of Consumer Researchに掲載された最新の研究によると、消費者は他者のために食べ物を買うとき、自分のために買うときよりも、健康によくない食べ物を買う傾向にある。
 
 Apples for me, Doritos for you: Consumers buy healthier foods for themselves

 マイアミ大学のJuliano Laranらによる一連の研究は、消費者は自分のために食べ物を購入する際には、より強く自己コントロールが行使されることを明らかにした。
 
 例えば、ある研究では、実験参加者に対して、健康志向の食べ物(レーズンやセロリスティックなど)とそうではない食べ物(チョコレートバーやクッキー、ドリトス)16個を提示し、その中から4つを選択するように求めた。参加者の半分は自分自身のために、残りの参加者は友人のために購入することを想定して選択した。
 
 その結果、自分のために選択する場合には、バランスよく健康志向の食べ物とそうではない食べ物を選ぶが、他者のためとなると、健康的ではない食べ物を選択することが多くなった。
 スーパーマーケットでの聞き取り調査でも同じ現象が見出された。
 
 また別の研究では、事前に健康に対する意識づけを行うと、消費者は他者に対しても健康的な食べ物を選択する傾向が高くなった。
 著者は、教育や啓蒙によって、他者のためによりバランスの取れた食べ物を選択するようにすることができると指摘している。
 
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この研究で言いたいのは「人は他人の健康には無関心」ということでしょうか?

確かに、人にプレゼントとして食べ物を渡すときや、自宅でおもてなしをするときなどには、健康によさそうな質素な食べ物よりも、甘いものや油ものや肉といった健康に悪そうなものを選ぶ傾向があります。
しかしそれは人にはおいしいもの(=体に悪いもの)をあげたいという気持ちからであって決して人のことには無頓着というわけでもないのではないでしょうか。もちろん、毎日の家族の食事ともなれば健康第一で考える必要がありますが。
今回の研究では触れられていませんでしたが、購入するシチュエーションをもっと細分化して(おもてなしとして、日々の食料として、身近な家族に対して、たまに会う友人に対して、など)検証するとまたそれぞれに違った結果が出そうですね。
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2009年06月21日

ポジティブな広告が必ずしも効果的なわけではない

幸福感のようなポジティブな情動を喚起する広告が必ずしも効果的ではないことがthe Journal of Consumer Researchに掲載された研究で示されました。

The Complicated Consumer: Positive Ads Aren't Always The Most Effective

 カリフォルニア大学のLoraine Lau-Geskとミネソタ大学のJoan Meyers-Levyは、なにかしらの情動を喚起する広告に対する消費者の態度を調査。
 この研究によって、広告のレイアウトデザインだけではなく、広告に費やす注意量といった要因が消費者の広告への反応に影響することを明らかにしました。


「ある状況下では消費者はネガティブな情動よりもポジティブな情動を喚起する広告により好ましい反応をするだろうが、いつもそうだとは限らない。広告に対してどれぐらい好ましい反応をするかは、広告に向けることができる注意量が十分あるかどうかによる」と著者は言います。

 ある広告に興味を持っている人とは、その広告について考える心的資源を費やすことができるということであり、そのため、そのような消費者には、ほろ苦いノスタルジーや、不安、罪悪感のようなもっと複雑な情動に訴える広告が効果的であるそうです。

 対照的に、その広告に関心のない消費者は、主に広告の情動的アピールの好ましさに反応しやすいので、幸福感といったポジティブな情動を喚起する広告を提示するのが効果的とのこと。
 
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 広告や広告に掲載されている商品に関心のある人は、それに対してじっくり時間をかけて広告を検討するので、より複雑・詳細な情報を提示するのが効果的で、逆にその広告に関心がない人には、複雑なものよりも感情にダイレクトに訴えかけるような広告の方が効果があるといった研究です。
 
 社会心理学では、説得に関する「精緻化見込みモデル」というモデルがあります。
 これは広告メッセージを理性的に処理する能力は、個人の認知処理能力の高さおよびメッセージ内容に対する動機づけ(興味)と関連すると提唱したものです。
 つまり、広告メッセージに関心のある人は、メッセージそのものを吟味する「中心ルート」を通して情報処理を行いますが、関心のない人は、広告内容とは関係のない情報(起用しているタレントや広告イメージ)などといった周辺てがかりを通して情報処理を行うというものです。
 
 今回の研究も、精緻化見込みモデルで説明可能な研究結果と言えますが、正直なんでいまさら的な感想もなきにしもあらずの研究とついつい思ってしまいます。
 
 ちなみにこの研究を行った1人、Loraine Lau-Geskは、消費者の認知と情動の関連を主な研究テーマとする若手研究者ですが、調べてみると以下のような研究もありました。むしろこっちの研究のが面白そう。

Age-related differences in responses to affective vs. rational ads for hedonic vs. utilitarian products
posted by さいころ at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動

2009年06月09日

不況は女性に浪費させる

Hertfordshire大学のKaren Pine教授らが行なった最近の調査によると、経済的不況期でも女性は浪費し続け、また精神疾患のリスクが増加する可能性をがあるそうです。

Money Worries Make Women Spend More

 この調査の対象者である700人の女性のうち、浪費する理由として10人に4人が「抑うつ的なとき」と答え、また10人に6人が「気分が沈んでいるとき」と回答しました。
 女性の場合、激しい情動状態の時、それがネガティブなものであれ、ポジティブなものであれ、高揚した情動を落ち着かせるための情動調節手段として買い物を利用する傾向にあることをこの調査では示しています。
 
 Pine教授は「もし買い物が女性にとって情動調節のための習慣となっているなら、経済的不況期であっても浪費したいという欲求を女性は感じるだろう。そして、もしも浪費することができない状況になったら、不安や抑うつといった心理的問題を引き起こすかもしれない。」と述べています。
 
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 買い物依存症は、一見すると女性に多い依存症と考えられがちですが、別のアメリカの研究では、男性と女性でその比率は大差がないことを示しています。
 
 Men as Addicted to Shopping as Women 
 
 この調査によると、買い物依存症(強迫的購買行動)の発生比率はアメリカの場合、女性で6%、男性で5.5%であり、性差がないことを指摘しています(ただし、脅迫的購買行動の内容そのものには男女差があるとのこと)。
 
 今回のPine教授らの研究は、女性の浪費理由を取り上げ、それが情動調整機能によるものだと結論づけていますが、男性の買い物依存症の場合、女性とは違う理由があるのかも知りたいところです。
 
 ちなみに買い物依存症傾向テストによると私には全くその傾向はない(あるいは、あってもかなり軽い)そうです。
 一般的に適度な買い物好きは、女性らしさの表れと考えられるので、全く買い物依存症傾向がないと言われるのもなんだか複雑な感じです。
 
posted by さいころ at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 消費者行動